November 20, 2016
ナクソス: リスト全集1 (コーエン)
アーナルド・コーエン
1. 《死の舞踏》 S.555 (サン=サーンス)
2. 灰色の雲 (暗い雲) S.199
3. 凶星 S.208
4. 《ユグノー教徒》の回想 - 《ユグノー教徒》による劇的大幻想曲 〔第2最終稿〕S.412 (マイアベーア)
5. 悲しみのゴンドラ I S.200/1
6. 悲しみのゴンドラ II S.200/2
7. 即興曲 (夜想曲) S.191
8. 死の舞踏 S.525
NAXOS 8.553852
Recorded: 1996
〔メモ〕
〔1〕サン=サーンスの第3交響詩「死の舞踏」は1874年に作曲された。その交響詩のピアノトランスクリプションで難曲(交響詩というジャンルはリストが発明したもの)。リストはこのトランスクリプションをサン=サーンスへ送っている。 〔2〕構造自体はシンプルだが、音楽学者イムレ・メッツォによると「シェーンベルク、ベルク、ウェーベルンの第2次ウィーン楽派のセリ―に共通するものがある」とのこと。 〔3〕不吉さを表現した作品で、書法的には近代音楽に近づいている。 〔4〕マイアベーアのオペラ「ユグノー教徒」を基にしたオペラファンタジー。ここでのコーエンは「唯一の正統的な第2最終稿」という表記のあるシュレジンガー版を使用している。 〔5〕〔6〕ワーグナーの死を予感して書かれた傑作エレジー。 〔7〕オルガ・マイエンドルフへ献呈された即興曲。1872年に作曲され1877年にブライトコプフ・ウント・ヘルテル社から出版される。 〔8〕ピアノと管弦楽のための作品として有名な「死の舞踏」だが、ここではピアノ独奏稿が演奏されている。中世の単旋律聖歌「怒りの日」を使用した変奏曲。1860年から1865年までの期間にこの独奏稿を作っている。ピサのカンポサントにあるフレスコ画「死の勝利」に霊感を得たと言われている。
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October 23, 2016
愛の夢 第3番 S.541/3
愛の夢 - ピアノフォルテのための3つの夜想曲 S.541
第3番 おお、愛しうるかぎり愛せ
Liebesträume - 3 Notturnos für das Pianoforte S.541 No.3
O lieb, so lang du lieben kannst
〔楽曲メモ〕
愛の夢とは全3曲あり、この第3番が最も人気があります。1845年頃作曲され、キストナー社により1847年に初版された作品です。フライリヒラートの詩に歌を付けた歌曲をピアノ独奏に編曲したトランスクリプションです。この作品はリストの最も有名な曲というだけでなく「エリーゼのために」や「別れの曲」のように世界中で最も愛されている曲のひとつでもあります。とにかく美しい旋律が特徴です。
〔名演〕
上でも申しましたがこの曲は最も愛されている曲なので録音も多いです。個人的にはアラウ(Decca)の録音を一番よく聴きます。ふくよかな音色で包み込んでくれるような優しさのある演奏です。他には愛を高らかに情熱的に歌い上げるシフラ(EMI)も名演だと思います。録音の状態に起因するものだと思いますが、こちらはちょっと音がこもっているように聴こえます。濃厚でロマンティックに香り立つボレット(Decca)も素敵です。
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October 01, 2016
ピアノソナタ S.178
ピアノソナタ S.178 / Sonate S.178
〔楽曲メモ〕
リストのピアノ作品の最高峰であるピアノソナタです。「ロ短調ソナタ」とも呼ばれます。リストにとって唯一の正式なピアノソナタです。1851年から1853年にかけて作られたものです。シューマンが彼の傑作である「幻想曲 Op.17」をリストへ献呈した返礼として、リストはこの大ソナタをシューマンへ献呈しました。シューマンはこの曲に熱中することはなかったらしく、時の批評家ハンスリックはこの曲を酷評しましたが、ワーグナーは「あらゆる概念を超越してこのソナタは美しく、偉大で、愛らしく、深遠で、気高い - まるであなたのように」という最大の賛辞を贈っています。ワーグナーはこの曲をリスト自身の音楽的肖像だと考えていたようです。1857年1月22日にリストの弟子で偉大なピアニストであるハンス・フォン・ビューローが初演し成功を収めました。過去にはリストの管弦楽曲の最高峰「ファウスト交響曲 S.108」に倣い「ファウストソナタ」というあだ名を付けられたこともあり、アレグロ・エネルジーコ部をファウスト、アンダンテ・ソステヌート部をグレートヒェン、フガート部をメフィストフェレスと解釈する人もいました。
〔名演〕
この曲はピアノ作品の傑作ということで多くの名ピアニストたちが録音しています。僕がとりあえずみなさんに聴いていただきたいのはアラウ(Decca)の1970年の録音になります(上の動画)。ワーグナーが指摘したようにこの曲はいろいろな要素を含みます。このアラウの名演が高貴さ愛らしさ深さ美しさなどを総合的に表現していると僕は感じます。
他に好きな演奏としてはマルタ・アルゲリッチ(DG)のものがあります。これは彼女が何かに取り憑かれたかのような演奏であり、超常現象のような超越的名演です。
他にはコルトー、ホロヴィッツ、ベルマン、フィオレンティーノ、ブレンデル、ボレット、シフラ、ギレリス、リヒテル、ソフロニツキー、ワッツ、ツィマーマン、エマールなどいろいろな名演があり、挙げていけばキリがありません。これらの違いを聴くことも楽しみのひとつです。
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September 17, 2016
阪田知樹さんリストコンクール優勝!
このコンクールはハンガリーの由緒あるコンクールでアニー・フィッシャーやディノ・チアーニなどを輩出しています。
Youtubeにクライバーンコンクールなどの過去の動画がいくつかあったので視聴してみました。理路整然とした知的なアプローチで楽しく聴けました。あとカンパネラを聴いていたら、通常のバージョン(S.141/3)かと思いきや難度の高い前のバージョン(S.140/3)を演奏していて驚きました(笑)*。今後の活躍も期待したいと思います。
*ちなみに葉加瀬太郎さんが最近テレビで紹介したカンパネラの超難度の初期作品はまた別の作品「パガニーニの《鐘》による華麗なる大幻想曲 S.420」です。
外部リンク:Youtube: クライバーンコンクール2013の阪田さんの演奏(カンパネラは28:40あたり)
外部リンク:「君嘘」演奏・阪田知樹、リスト国際ピアノコンクール優勝 日本人男性初
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September 13, 2016
ブレンデルは語る -リストについて-
"ロマン派におけるピアノの天子であり、宗教的ピアノ作品の創始者でもある。音楽的巡礼の編者であり、トランスクリプションやパラフレーズの飽くなき熟達者でもある。近代音楽の急進的先駆者であり、セザール・フランク、スクリャービン、ドビュッシー、ラヴェル、メシアン、リゲティの音楽的源泉でもある。
リストのピアノ音楽を深く知れば、彼が至高のピアノ芸術家であることが実感できるであろう。これは彼のピアニスティックな超絶的技術の話をしているのではなく、表現力の到達点のことを言っているのだ。シューマンが述べたように「表現の天才」であるリストのみが、ピアノが表現しうるどこまでも続く水平に光を照らすことができるのだ。ここでペダルが非常に重要なモノとなることは言うまでもない。
ロ短調ソナタ、巡礼の年、"泣き、嘆き、憂い、おののき"変奏曲、悲しみのゴンドラ、そして上質ないくつかのエチュードなどを例に出すに留めるが、リストの傑出したピアノ作品群はショパンやシューマンらの代表作と比肩しうると私は考えている。ロ短調ソナタについてはそのオリジナリティ、大胆さ、表現力の幅により、ベートーヴェンとシューベルト以降に書かれたこの類の作品全てを凌駕しているのだ。
今日リストの作品は過度なスピードで演奏されている。それ自体を目的とした技巧的な豪華絢爛さはリストにふさわしくない。また一見耳障りの良いものや、なよなよとしたものは避けなければならない。ヴィルヘルム・ケンプによる1950年録音の伝説第一番「小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ」が極上のクオリティによる詩的なリスト演奏を体現しているのだ。"
外部リンク: the guardian / An A-Z of the piano: Alfred Brendel's notes from the concert hall
〔メモ〕
この文章からブレンデルのリストへの敬愛がとても強く感じられます。そしてリストに対する誤解を少しでも解こうという彼の気持ちがのぞけるような気がします。ブレンデルが最も多く取り上げた作曲家はモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトそしてリストです。リストはワーグナーと共に新ドイツ楽派と言われています。ブレンデルはリストをドイツ・オーストリア圏の作曲家として扱っているような印象を受けます。「ハンガリー出身のロマン派の作曲家」という見方ではなく「ベートーヴェンやシューベルトの精神を受け継ぐ作曲家」という観点を持っているのではないでしょうか。観点の違いによりリストの音楽への接し方が変わってくると思います。
関連記事: シェーンベルク「フランツ・リスト その活動と本質」
関連記事: バルトークは語る -リストの先進性-
関連記事: ラヴェルは語る -リスト作品の欠陥-
関連記事: ブゾーニは語る -リストという木-
関連記事: アンスネスは語る -リスト録音-
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August 31, 2016
FRANZ LISZT: The Piano Concertos
FRANZ LISZT: The Piano Concertos
Disc.1
1.-3. ピアノ協奏曲 第1番 S.124*
4.-9. ピアノ協奏曲 第2番 S.125*
10. ハンガリー幻想曲 S.123*
Disc.2
1. さすらい人幻想曲 S.366 (シューベルト)*
2. ベートーヴェンのアテネの廃墟による幻想曲 S.122*
3. ベルリオーズのレリオによる交響的大幻想曲 S.120*
Disc.3
1. 呪い S.121*
2. 華麗なるポロネーズ S.367 (ウェーバー)*
3. 《魔弾の射手》幻想曲 S.451 (ウェーバー)
4. 死の舞踏 S.126ii*
*アンドラーシュ・リゲティ指揮/ブダペスト交響楽団
CAPRICCIO C7095
Recorded: c1990
〔メモ〕
ハンガリーのリスト音楽院でカタリン・ネメシュやパール・カドシャに師事したヤンドーによるリストの協奏曲集です。リストのピアノ協奏曲のまとまった録音といえばハワードの他にはベロフ、ロルティ、ピアースなどがありますが、ヤンドーもこのようにまとまった形で録音しています。彼は職人気質のピアニストであり、多くのレコード会社に非常に多くの録音を残しています。職人タイプの彼らしく高度な技術を持っています。自分の個性を推し出すのではなく、テンポ早目で元気ハツラツな演奏なのですが、解釈としては淡々としているようにも聴こえます。
ピアニストのレスリー・ハワードはリスト全集録音という偉業を達成しましたが、ヤンドーももしそのような機会があれば達成できたのではないかと思わせるほどの技術力があります。そしてレパートリーも非常に広いのでぜひフンガロトンで全集を達成していただきたかった!
魔弾の射手幻想曲は別人の演奏でしょうか?
フランツ・リスト→オイゲン・ダルベール→エルンスト・フォン・ドホナーニ→シュテファニア・イムレ→カタリン・ネメシュ→イェネ・ヤンドー
フランツ・リスト→イシュトヴァン・トマーン→ケーリ=サーント・イムレ→カタリン・ネメシュ→イェネ・ヤンドー
フランツ・リスト→イシュトヴァン・トマーン→ベラ・バルトーク→カタリン・ネメシュ→イェネ・ヤンドー
フランツ・リスト→イシュトヴァン・トマーン→アルノルド・セーケイ→パール・カドシャ→イェネ・ヤンドー
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August 14, 2016
【楽譜】 新リスト全集 2
ムジカ・ブダペスト出版社 新リスト全集
第1シリーズ 第2巻
3つの演奏会用練習曲 - 3つの詩的カプリース S.144
1. 第1番 悲しみ
2. 第2番 ラ・レジェレッツァ
3. 第3番 ため息
4. アブ・イラート S.143
2つの演奏会用練習曲 S.145
5. 第1番 森のざわめき
6. 第2番 小人の踊り
パガニーニによる大練習曲 S.141
7. 第1番 前奏曲
8. 第2番
9. 第3番 ラ・カンパネラ
10. 第4番
11. 第5番
12. 第6番
Editio Musica Budapest: Z.5412
〔メモ〕
〔1〕~〔3〕1849年初版の演奏会用練習曲。パリで出版された際に「3つの詩的カプリース」というタイトルとそれぞれのタイトルが与えられる。レジェレッツァは「軽やかさ」の意。 〔4〕「技巧完成練習曲」というサブタイトルが与えられ1852年に出版された練習曲。アブ・イラートとは「怒りをこめて」の意。フェティスとモシェレスの編纂した教本「諸技法のメトード」へリストより寄稿された「サロン用小品」は当曲の初期稿。 〔5〕〔6〕1863年にレーベルトとシュタルクが編纂した教本「理論的・実用的大ピアノ教程」に寄稿された練習曲。 〔7〕~〔12〕パガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番の終楽章の主題を使用した作品「パガニーニの鐘による華麗なる大幻想曲」が1834年に出版される。シューマンはパガニーニのカプリースを練習曲風トランスクリプションとして1833年(Op.3)と1835年(Op.10)に発表するが、それに倣いリストもパガニーニのカプリースを基に練習曲を作った。それが1840年に発表された「パガニーニによる超絶技巧練習曲」である。全6曲中5曲はパガニーニのカプリースのトランスクリプションであり、唯一第3番だけは上記の「鐘による大幻想曲」を編集して作ったもの。そのリストの曲集に対しシューマンは「シューマンの編曲がその作品の詩的な側面を取り出すものであるならば、リストは、そういう側面が全くないわけではないが、むしろヴィルトゥオーゾ的側面を浮かび上がらせる」と評論している。そして最終的にはここに収録される「パガニーニによる大練習曲」となり1851年に出版される。
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May 21, 2016
Apparitions - Consolations - Csardas, etc J.Swann
Apparitions - Consolations - Csardas, etc J.Swann
1. 顕現 第1番 S.155/1
2. 顕現 第2番 S.155/2
3.-8. コンソレーション S.172 (全曲)
9. 死のチャールダーシュ S.224
10. チャールダーシュ S.225/1
11. 執拗なチャールダーシュ S.255/1
12.-18. ハンガリーの歴史的肖像 S.205 (全曲)
19. ハンガリー狂詩曲 第5番 S.244/5
20. ハンガリー狂詩曲 第12番 S.244/12
AGORA AG 090
Recorded: 1990
〔メモ〕
一時期はリスト弾きとして名を上げたこともあるジェフリー・スワンのご紹介です。彼はアレクサンドル・ウニンスキー、ベヴァリッジ・ウェブスター、ジョゼフ・ブロック、アデル・マーカスに師事しました。ディノ・チアーニコンクール1位、エリザベートコンクール2位などコンクールでも活躍しました。
当ディスクはフランスのモンペリエで行われたフェスティバルにおける彼のコンサートのライブ録音を集めたものです。ライブ録音ゆえにミスタッチも散見されますが、即興性や生き生きとしたモノも感じられます。また個性を発現させることを恐れず、野心的な解釈も見られます。全体的に面白く聴けます。そしてレパートリーも珍しいものが多く含まれ顕現、チャールダーシュやハンガリーの歴史的肖像などは録音される機会の少ない曲であり、そういう意味でもこれは面白いアルバムですね。
彼はこのアルバムの他にピアノ協奏曲全集、巡礼の年全集、超絶技巧練習曲全曲、メフィストワルツ全曲などの録音があります。
フランツ・リスト→テオドール・リテール→イシドール・フィリップ→ベヴァリッジ・ウェブスター→ジェフリー・スワン
フランツ・リスト→コンスタンティン・シュテルンベルク→オルガ・サマロフ→ジョゼフ・ブロック→ジェフリー・スワン
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May 04, 2016
【楽譜】 新リスト全集 1
ムジカ・ブダペスト出版社 新リスト全集
第1シリーズ 第1巻
超絶技巧練習曲 S.139
1. 第1番 前奏曲
2. 第2番
3. 第3番 風景
4. 第4番 マゼッパ
5. 第5番 鬼火
6. 第6番 幻影
7. 第7番 英雄
8. 第8番 荒々しき狩
9. 第9番 回想
10. 第10番
11. 第11番 夕べの調べ
12. 第12番 雪嵐
Editio Musica Budapest: Z.5411
〔メモ〕
「12の課題による練習曲 S.136」が「12の大練習曲 S.137」へと改訂され、その大練習曲を前身とする練習曲集。リストの代表作のひとつでもある。各曲の標題はこの最終稿になってから付けられた。〔3〕「風景」〔4〕「マゼッパ」〔6〕「幻影」はヴィクトル・ユーゴーの詩より付けられた。〔8〕「荒々しき狩」は荒ぶる猟犬を連れ、唸り声を上げる悪霊が大群で空を移動するというヨーロッパの神話を示しているとされている。ちなみにこの狩人の神話はヨーロッパ各地で解釈が異なり、時には魔物化した北欧神話の神オーディンであったり、アーサー王であることもある。
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April 24, 2016
LISZT - POULENC - DEBUSSY - SATIE: Kun Woo Paik
LISZT - POULENC - DEBUSSY - SATIE: Piano works
Disc.1
1. メフィストワルツ 第1番 "村の居酒屋での踊り" S.514
2. ヴァレンシュタットの湖で S.160/2
3. 泉のほとりで S.160/4
4. B.A.C.Hの主題による幻想曲とフーガ S.529ii
5. 愛の夢 第3番 S.541/3
6. ハンガリー狂詩曲 第12番 S.244/12
7. エステ荘の噴水 S.163/4
8. 孤独の中の神の祝福 S.173/3
Disc.2
1. 夜想曲 第1番 FP56/1 (プーランク)
2. 夜想曲 第5番 FP56/5 (プーランク)
3. 夜想曲 第6番 FP56/6 (プーランク)
4. プレスト FP70 (プーランク)
5. 即興曲 第10番 FP63/10 (プーランク)
6. 即興曲 第12番 FP63/12 (プーランク)
7. 即興曲 第15番 FP63/15 (プーランク)
8. 間奏曲 第2番 FP71/2 (プーランク)
9.-11. ピアノのために (ドビュッシー)
12. グノシエンヌ 第4番 (サティ)
13. グノシエンヌ 第5番 (サティ)
14. オジーヴ 第1番 (サティ)
15. オジーヴ 第2番 (サティ)
16. 自動記述法 第1番 (サティ)
17. 自動記述法 第2番 (サティ)
18. あらゆる意味にでっちあげられた数章 第1楽章 (サティ)
19. 太った木製人形のスケッチとからかい 第3番 (サティ)
20. ひからびた胎児 第2番 (サティ)
21. ひからびた胎児 第3番 (サティ)
22. 月の光 (ドビュッシー)
23.-25. 3つの無窮動 FP14 (プーランク)
26.-28. 3つのジムノペディ (サティ)
Virgin Classics 7243 5 61757 2 3
Recorded: 1990
〔メモ〕
韓国を代表する現代の名匠パイクのリスト集とフランスピアノ音楽集のカップリングアルバムのご紹介です。ジュリアード音楽院で名教師ロジーナ・レヴィーンに学び、その後イロナ・カボシュ、ヴィルヘルム・ケンプ、グイド・アゴスティに師事しました。リスト直系ピアニストやブゾーニ直系ピアニストは素晴らしいリスト作品演奏をすることが多いですが彼もその一人です。カボシュとケンプはリスト直系ピアニストであり、アゴスティはブゾーニの弟子です。以前ハフのCDを紹介した際にも似たようなことを言ったのですが、ヴァージン・クラシックスが選ぶピアニスト達は実力派が多いですね。アンスネス、プレトニョフ、ハフ、デュシャーブル、アンデルジェフスキなどですが、パイクは彼らに負けず劣らずの実力派です。
高い技巧を要求される曲に対しては素直にその技巧力を発揮し、筋肉質な演奏をします。全体的に過度な味付けはなく、表情は穏やかです。なのでどんなに超絶技巧を発揮しても嫌味な部分はありません。巡礼の年などの楽曲では穏やかで洗練性のある演奏をしています。その研ぎ澄まされた洗練性も彼の高度な技術があるからこそ実現できたものでしょう。彼のその洗練性はフランス音楽にも遺憾なく発揮されています。
ちなみにこのCDの収録曲に「バッハ変奏曲」が含まれているかのように書いてありますが、それは「BACHの幻想曲とフーガ」の誤りです。
フランツ・リスト→アールパード・センディ→イロナ・カボシュ→クン・ウー・パイク
フランツ・リスト→ハンス・フォン・ビューロー→カール・H・バルト→ヴィルヘルム・ケンプ→クン・ウー・パイク
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