November 11, 2010
Legendary Performances Vol.4
マルタ・アルゲリッチ
Electricity in the air
「その空間いっぱいに広まる緊張感」というリストの演奏への賛辞を読んだことがあります。言うまでもなく、19世紀を生きたフランツ・リストの演奏の録音は存在しません。リスト好きの人間にとって、フランツ・リスト本人がどのような演奏をしていたか、本を眺めながら思いに馳せるのは楽しいものです。そして、それぞれのリスト像があるかと思いますが、マルタ・アルゲリッチの演奏する「ピアノ・ソナタロ短調」は僕にとってリストの演奏はこのようなものだったのではないかというリスト像にピッタリとあてはまります。出だしの一音から尋常ならざる空気感がある。ピアノの音に電流が宿っているかのような緊張感がある。怒り狂う感情のうねりとほとばしる情熱、しかしながら全体のプロポーションは崩れていない。その瞬間ごとに聴くと、その都度おもむくままの感情を音楽にぶつけているように聴こえますが、全体をみると統一感がある。これは計算をしてやっているのか、天性に従った結果そうなったのかは僕にわかるはずはありません。天才ピアニスト、マルタ・アルゲリッチ、僕はこの演奏になにか恐ろしいものを感じました。これは超常現象のようなものです。
ちなみにカップリングとしてシューマンのソナタ第2番が収録されていますが、そちらも絶品です。
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