サン=サーンスの初見演奏能力ブレンデルは語る ―ケンプの伝説―

January 15, 2006

4人のリスト弾き

みなさんはリスト弾きと聞いて誰を思い浮かべるでしょうか?おそらくブレンデル、シフラ、アラウ、ボレット、ベルマン、ワッツなどの名前が挙がるのではないでしょうか。他にも全体のレパートリーの割合からしてリストを特別多く取り上げているわけではないけれど、素晴らしいリスト演奏をするピアニストとして、ホロヴィッツやリヒテルなどもあげられます。他にも挙げていけばキリがありません。このピアニスト達は第一線で活躍し、コンサートや録音でその演奏の素晴らしさによりリスト受容に決定的な影響を及ぼしてきました。もし彼らがいなかったら、おそらく「リストへの誤解」は現在のその半分も解かれていなかったでしょう。僕もこのピアニスト達の演奏は大好きでCDはよく集めています。しかし僕がひいきにしているリスト弾きとなるとなぜかまったく違うメンバーになってしまいます。

僕がひいきにしているリスト弾き4人は

●エゴン・ペトリ
ショーンバーグ曰く「今世紀最高のリスト弾き」です(「今世紀」というのはもちろん20世紀のこと)。ブゾーニ系ピアニストは素晴らしい人がたくさんいますが、そのブゾーニ系ピアニストの最高峰ではないでしょうか。音質は悪いですが、彼のリスト録音を初めて聴いた時は、その鮮烈な演奏に衝撃を受けました。

●グリゴリー・ギンズブルグ
ロシアにおける人気や知名度でリヒテル、ギレリスやソフロニツキー、ユージナなどの影に隠れてしまいますが、ギンズブルグは彼らに実力的には勝っても劣らないと信じています。オーソドックスで瑞々しく、いつまでも聴いていたいと思わせる演奏です。

●セルジオ・フィオレンティーノ
同じイタリアのミケランジェリはこの世には自分一人しかピアニストがいないと思っていたそうですが、レコードプロデューサーのE.ルンペ氏によるとそのミケランジェリはフィオレンティーノのことを「もう一人のピアニスト」と認めていたそうです。リストの楽曲は様々な曲種があり、それら全てに対応するのは至難の業です。しかしフィオレンティーノはそれができる。ソナタやバラードなどの大曲には真正面から取り組み最高の成果を挙げ、練習曲などでは鬼のようなエグい技巧をみせ(決して表面的ではない)、ハンガリー狂詩曲ではラプソディックに歌える。そして、コンソレーションや後期作品などで思索的な演奏ができる、という具合です。

●ジョセフ・ヴィラ
ヴィラの場合は技巧ばかりが注目されますが、それだけではないです。例えば愛の賛歌やアデライーデにおける詩的な歌と美しい音色。アラウに匹敵する包容力まで持ち合わせてます。もちろん超絶的な技巧も彼の一つの武器です。運命交響曲はあらゆる意味で素晴らしい。ちなみに彼のベートーヴェンのソナタも最高です。グレゴール・ベンコ氏による「彼がもし生きていたら現在の最も偉大なピアニストだった」という言葉に共感します。

これはリスト演奏に限定した、お気に入りのピアニストです。他の作曲家だと、また好きなピアニストは変ってきます。4人の共通点を考えたのですが、しいて言えば音楽をわかりやすく聴衆に理解させようとしている点ではないでしょうか。

みなさんはどんなリスト弾きをひいきにしていますか?


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ミッチ at 15:12│Comments(0)TrackBack(0) リストのこと 



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