April 02, 2012

バルトークは語る -リストの先進性-

バルトークはリストがハンガリー民謡について誤った認識を持っていたことは批判していましたが、基本的にはリストの偉大さを認めた良き理解者でした。彼のリストについてのコメントをご紹介しましょう。

"音楽の発展への貢献ということであれば、リストはワーグナーより重要視されるべきである" 

"ここでリストの後世への影響について述べさせていただく。リヒャルト・シュトラウス初期の比較的無味乾燥とも言える作品群は表面的にブラームスをほのめかすものがあるが、ブラームスの楽想に溢れた音楽には遠く及ばない。そしてワーグナーの音楽に触れることにより、彼の音楽は劇的な変化を迎えた。いや、それは何もかもリストの影響下での話である。シュトラウスは突然、交響詩を書き始めたのだ。そして例えば巡礼の年や詩的で宗教的な調べのような作品と、新たなフランス音楽芸術を象徴するドビュッシーとラヴェルの素晴らしい作品群に驚くべき共通点が見うけられよう。エステ荘の噴水やその他の作品なくして、この似通った大気を創造する2人のフランスの作曲家は存在しえなかったのだと私は確信している。そしてどれ程多くのハンガリーの作曲家の作品からリストから受け継いだものを感じ取れようか!"

後半は「Liszt Problémák」(リストに関する諸問題)という論文からの抜粋です。バルトークがリストの事を正しく評価できたのは二人の影響があると思います。その二人とはリスト賛美者でありバルトークの友人であったブゾーニと、ピアニストとしてリストの弟子でバルトークの師であったイシュトヴァーン・トマーンのことです。バルトークはリストに関する講演をことあるごとに開いたり、演奏会でもリスト作品を多く取り上げていました。当時誤解されがちだったリスト受容に最も大きな影響を与えた人物のひとりと言っていいでしょう。

関連記事: シェーンベルク 「フランツ・リスト その活動と本質」 
関連記事: ラヴェルは語る -リスト作品の欠陥- 
関連記事: ブゾーニは語る -リストという木- 


記事一覧(サイトマップ)

ミッチ at 19:23│Comments(2)TrackBack(0)リストのこと 



トラックバックURL

この記事へのコメント

1. Posted by klavier   April 03, 2012 15:32
>"音楽の発展への貢献ということであれば、リストはワーグナーより重要視されるべきである"

そしてリストが、後のフランスやハンガリーの作曲家たちに与えた影響、とても深いバルトークの洞察ですね!リストを知るほどに、彼の音楽の発展への貢献、功績は、本当に素晴らしいものだと、実感させられます。

また「リストに関する諸問題」という論文も興味深いものですね。まだ日本語出版されていない論文なのでしょうか?バルトークがリストに関してこのような理解とその音楽の普及につとめたという事を、私も知る事が出来て良かったです!
2. Posted by ミッチ   April 03, 2012 21:09
こんばんは!
生年から言うとリストは初期ロマン派の作曲家ということになりますが、後期ロマン派を飛び越えて近代音楽の近くまで音楽語法を進ませていたというのは本当にすごいですよね。しかも印象主義だけではなく無調音楽まで行ってたというのは驚きです。

僕は調性感がギリギリあるかないかぐらいの音楽が好きなので、リスト後期作品が(バルトークやスクリャービン後期も)大好きです。

「リストに関する諸問題」は「バルトーク音楽論集」という本に全文訳が載っていたと思いますが、今手元にないのでちょっと確認できません。おそらくその本は買うとなると入手困難だと思いますので、図書館などで探してみるのはいかがでしょう。

ちなみに上の訳はその本の抜粋ではなく僕が翻訳したものです。

コメントする

名前
URL
 
  絵文字