世界の偉大なるピアノ音楽 第72巻リスト:超絶技巧練習曲、ため息/リヒテル

September 25, 2012

20世紀の偉大なるピアニストたち -後記-

CDシリーズ「20世紀の偉大なるピアニストたち」の全100巻(CD200枚)を全て紹介し終わりました。

大したことは書いてませんが、完走したということで達成感があります(笑)。僕はちょうどCDを集め始めた頃にこのCDセットと出会い、ピアノ鑑賞の面白さにのめり込んでいきました。当時それほどリストに興味が無かった僕がリスト好きに変わったのも、このセットによる影響も大きいです。このような企画を実現してくれた、制作者たちに感謝したいと思います。

● データ
レーベル: フィリップス
スポンサー: スタインウェイ
発売: 1999年
巻数: 100巻 (CD200枚)
ピアニスト数: 72人
プロデューサー: トム・ディーコン
参加レーベル: Philips, DG, Decca, EMI, Sony Classical, BMG(RCA, Melodiya含む), Warner Music他
備考: このセットのドイツ版ではクララ・ハスキルのスカルラッティのソナタ集(Westminster録音)が収録された補巻があるそうです。

● 個人的に思うこと
ピアノファンたちが集まるフォーラムなどを覗いてみると、このセットに対して「○○が含まれてない。なんでだ!」とか、逆に「なんで××が含まれているんだ!」という文句も多くみられます。全ピアノファンを満足させるチョイスは不可能なので、それは仕方ないことだというのも理解できるのですが、できればラザール・ベルマンを含めて欲しかったです。過去のことをグチグチ言っても始まらないのですが、これだけは言いたい(笑)。もしベルマンが含まれていたら、おそらく1963年録音の超絶技巧練習曲の録音が含まれると思います。この超絶の音源は日本以外ではCDでリリースされたことありません。そういう意味でも、もしベルマンが含まれていたら意義深いことになったと思います。

● ピアニストの系譜
記事を読んでいただけると、お気づきになるかと思いますが、師弟関係を遡っていけばリストにつきあたるピアニストに限り「フランツ・リスト→~」と記述しました。72人のうち45人のピアニストが師弟関係を遡っていくとリストに辿りつきます。リストのピアノ教師としての影響力の大きさがうかがい知れます。この45人というのはもちろん「僕が知る限り」ですので、「少なくとも45人」と考えていただいてよいと思います。他には19世紀の偉大なピアノ教師だったレシェティツキの系譜に属するピアニストも多いですね。

● 今後
今後は記事を書き直したり、第1巻→第2巻→第3巻~と記事をリンクで繋げていきたいと思います。


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ミッチ at 22:51│Comments(4)TrackBack(0) 20世紀の偉大なるピアニストたち 



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この記事へのコメント

1. Posted by klavier   September 26, 2012 15:42
膨大なシリーズのCD集、これだけ多くのものを、丁寧に聴かれて紹介して下さったのですね!私の知らないピアニストも沢山で、色々と参考になります。

それにしても、72人のうち、少なくとも45人のピアニストは、師弟関係を遡ればリストに辿り着くというのも、すごいことでですね!改めて、リストが沢山の作品と共に、教育という面でも、後世に向けて多大なる貢献をしてくれたのだと、感謝する思いです。

これからもピアノ音楽を愛するミッチさんの記事を、楽しみにしていますね!
2. Posted by ミッチ   September 26, 2012 23:22
そのような言葉をかけていただいて、ありがとうございます。励みになります。

CDは確かに「紹介するために丁寧に聴く」ということもありますが、逆に「丁寧に聴くために紹介する」という側面もあります。CD200枚というボリュームだと、こうでもしないと隅々まで聴こうと思いません(笑)

リストのピアニストとしての影響は本当に大きいです。しかもチェルニーがリストにそうしてくれたように、リストも弟子たちに無償でレッスンしてました。リストの弟子、生徒は何百人単位でいますので、現代にもリストのピアニズムは脈々と受け継がれているでしょう。
3. Posted by yoshimi   September 26, 2012 23:25
全巻のレビュー記事完結、おめでとうございます!
記事を拝見して思い出した録音もいろいろありました。随分昔に買ったCDを聴き直すと、年をとったせいか(?)、印象が随分変わっていることも多かったです。聴き直すというのも、大事なことですね。

このシリーズは、廃盤の音源が入っていたりして重宝なのですが、ピアニストによって収録曲の数や内容にかなり差があるので、ピアニスト10人分くらい買いました。
今でも、新しく聴くピアニストの巻で聴きたい曲が入っていると、たまに買ってます。

個人的には、ゼルキンの音源がモーツァルトばかりというのは??ですが、SONYが音源を提供しなかったからかも...と想像してしまいました。
全巻をチェックしたことがないので、ワイルドやユージナなどの巻があるのは知りませんでしたが、どちらも選曲が良いですね。
たしかにベルマンが入っていないのは、どうしてでしょうね?(シフラはちゃんと入っているのに)

大手レーベルも自社の廉価盤ばかり出していないで、このシリーズも廉価盤で再販してほしいものです。
4. Posted by ミッチ   September 27, 2012 18:47
ありがとうございます!

以前は「ここの部分はこうじゃなきゃだめ」といった頑固さのようなものが自分の中にあったのですが、最近は多様性を受け入れるということができるようになり、鑑賞の幅が広がったと思います。やはりいろいろ聴きなおすのは重要ですね!

このシリーズでよく言われるのは「S○nyはグールドのバッハ録音の提供をしなかったのではないか」といことです。ゼルキンについてのご指摘もあながち間違っていないのかもしれません。

このシリーズの再発は難しそうですね。当のPhilipsがDeccaに吸収されてますし、SonyとBMGがいっしょになったり、EMIが最近Sonyやユニバーサルに売却されたというニュースもありました。

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