KENTNER: The pioneering Liszt recordings Vol.2VOLODOS PLAYS LISZT

March 17, 2016

リストのややこしい事4 -ラーコーツィ行進曲編-

ラーコーツィ行進曲はハンガリーの民俗旋律で国民に親しまれた旋律です。ハンガリーの国歌「賛称」が制定される前、ラーコーツィ行進曲は非公式の国歌のような扱いだったそうです。フェレンツ・ラーコーツィⅡ世が好んだためこの名前が付けられました。日本ではラコッツィ行進曲と呼ばれることもあります。リストもこの旋律にちなんだ曲をいくつか書いています。ここではピアノ独奏曲をまとめてみたいと思います。

試聴はこちらからどうぞ(YouTube)

● 代表グループ
- 〔A〕ハンガリー狂詩曲 第15番 ラーコーツィ行進曲 S.244/15
- 〔B〕ハンガリー狂詩曲 第15番 ラーコーツィ行進曲 〔異稿〕 S.244/15bis
- 〔C〕ラーコーツィ行進曲 〔普及稿〕 S.244c
まず「リストのラーコーツィ行進曲」と言えばハンガリー狂詩曲のもの〔A〕を指します。リストの代表曲の一つとして親しまれています。〔B〕はそのオッシアを演奏した異稿であり、〔C〕は〔A〕を簡素にしたものです。

● 前身グループ
- 〔D〕マジャール狂詩曲 第13番 ラーコーツィ行進曲 S.242/13
- 〔E〕ハンガリーの民俗旋律 (ラーコーツィ行進曲 マジャール狂詩曲 第13番a) S.242/13a
- 〔F〕ジプシーの叙事詩 第7番 ラーコーツィ行進曲 S.695b/7 
マジャール狂詩曲という曲集はハンガリー狂詩曲集の前身となるものです。つまり〔D〕が発展して〔A〕となります。〔E〕は〔D〕の簡易稿です。〔F〕は楽譜が書かれておらず「マジャール狂詩曲 第13番(おそらく簡易稿)を挿入するように」という指示があるだけなので、つまり〔E〕=〔F〕となります。

● 編曲グループ 
- 〔G〕ラーコーツィ行進曲 〔管弦楽稿より編曲〕 S.244a
- 〔H〕ラーコーツィ行進曲 〔管弦楽稿より簡易編曲〕 S.244b 
リストはラーコーツィ行進曲の旋律を使用して管弦楽作品も書いている。〔G〕はそのトランスクリプションであり、〔H〕は〔G〕の簡易稿。 

● その他グループ
- 〔I〕ラーコーツィ行進曲 〔第1稿〕 S.242a
- 〔J〕ラーコーツィ行進曲 〔第1稿・異稿〕 S.692d
- 〔K〕アルバムリーフ "ラーコーツィ行進曲" S.164f 
〔I〕は1839年辺りに書かれた、ラーコーツィ行進曲を使用した最初期のピアノ作品。〔J〕は〔I〕の簡易稿だが未完。〔K〕は戯れに書いたと思われる20秒弱の楽想。

● ホロヴィッツ
- ラーコーツィ行進曲 〔ホロヴィッツ編〕
ベルリオーズもラーコーツィ行進曲を使用した管弦楽作品を書いている。そのベルリオーズ版の編曲とリストのピアニズムを参考にしてホロヴィッツが再編成したものがこのホロヴィッツ版ラーコーツィ変奏曲。
ホロヴィッツ版の試聴はこちらからどうぞ(YouTube) 

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