シュナーベルは語る -音楽家の在り方-Vladimir Sofronitsky Vol.IV

September 16, 2010

Legendary Performances Vol.2

エミール・ギレリス

エロイカ

スペイン狂詩曲」は僕にとって思い出の曲です。正直言うと、僕は以前アンチリストでした。「技巧ばかりがうるさい作曲家」としか思っていなかったのですが、この曲を聴いて衝撃を受け、「技巧を駆使すればこんなにも素晴らしい音楽ができるのか」と、技巧に対する考え方が一変しました。そしてアンチリストだった僕はその日からリスト好きになったのです。前置きが長くなりましたが、そのスペイン狂詩曲での特にお気に入りの演奏はギレリスによるものです。彼の演奏するロ短調ソナタが、どこかで「英雄的」という評価を受けていましたが、僕はこのスペイン狂詩曲の演奏にこそ、その言葉が合っているのではないかと思っています。解説によるとギレリスはこの曲で「師であるネイガウスを圧倒した」そうなのですが、なるほど、技巧の迫力もすごいものがあります。でも僕が一番好きな所は、前半の「速過ぎないテンポ設定」です。これによりこの曲のメランコリーや英雄的な部分が存分に発揮されています。この曲もたくさんの名演奏がありますが、一番聴きたくなるのはこの録音です。ギレリスのこの演奏により「一リストファン」としての今の僕がある、と言っても過言ではないです。


記事一覧(サイトマップ)

ミッチ at 10:25│Comments(0)TrackBack(2) 伝説的名演(リスト作品) 



トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. Legendary Performances Vol.1  [ フランツ・リストに花束を エクスターナルブログ ]   January 01, 2011 22:26
アルフレート・ブレンデル泣き、嘆き、憂い、おののきピアニストのヴァレリー・アファナシェフはフランツ・リストのことを“最も美しい音楽と最も醜い音楽を書いた偉大な芸術家 ...
2. Legendary Performances Vol.3  [ フランツ・リストに花束を エクスターナルブログ ]   January 02, 2011 16:17
ウラディミール・ホロヴィッツピアノの悪魔リストに例えて、ホロヴィッツは「ピアノの魔術師」と呼ばれることがありますが、彼の演奏を聴いていると、もはや魔術師どころではない ...

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
シュナーベルは語る -音楽家の在り方-Vladimir Sofronitsky Vol.IV