レスリー・ハワード:ピアノ作品全集

May 30, 2013

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.91

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
新発見 3 

Disc.91
  スペインのロマンツェーロ S.695c
1. 序奏と変奏付きファンダンゴ
2. 知られざる主題の編曲
3. ホタ・アラゴネーサとコーダ 
  オラトリオ《キリスト》より2つの小品 S.498c 
4. 第1番a 序曲
5. 第1番b 田園曲
6. 第2番 奇跡 
7. マニフィカト S.182a
  3つの歌 S.510a
8. 慰め
9. 戦の前
10. 希望
11. アルバムリーフ "アンダンティーノ" S.166p
12. アルバムリーフ S.166q
13. 変奏曲 "ティサの美しき娘" S.384a 
14. かつて - ロマンス 〔第1中間稿〕 S.577ibis (ウィルホルスキー)
15. まどろみの歌 〔ラハムントのための稿〕 S.186/7a
16. 即興ワルツ 〔簡易版〕 S.213bis

Recorded: 2009 

〔メモ〕
〔1〕~〔3〕スペイン女王イザベルⅡ世への献呈も計画されていた作品だが結局出版されなかった。タイトルは「スペインの旋律集成」の意。自筆譜はゲーテ=シラー・アルヒーフにページがばらばらのまま保管されていたが、ハワードがページを集め、並べ替え、補筆し再現したもの。ホタ・アラゴネーサ(アラゴンのホタ)は「スペイン狂詩曲 S.254」(Disc.36)でもその旋律が引用されている。この作品はイギリス・リスト協会ジャーナルにて2009年に初めて公開される。 〔4〕~〔6〕オラトリオ「キリスト」のピアノ伴奏版の譜面に書かれていたピアノトランスクリプション。序曲にて単旋律聖歌「天よ、露をしたたらせ」の旋律が引用されている。他の「キリスト」関連作品はDisc.23に収録。 〔7〕「アレルヤ S.183/1」(Disc.14)の初稿。この自筆譜にリストは「無効である」と書いている。つまり出版の意図はなかった。 〔8〕~〔10〕「男声のための曲集 S.90」の第4番~第6番までのアウグスト・ホルンによるトランスクリプション。しかしハワードはこの編曲にリスト自身も関与しているのではと疑っている。仮にリスト自身による編曲であるなら、「戦士の歌 S.511」(Disc.26)の前身ということになる。そのS.511と比較するとタイトルや順番がややこしいことになっている。 〔8〕タイトルは「La consolation(慰め)」だが、S.511の第2番「臆することなかれ!」と同じ曲の編曲。S.511の第1番と第3番には「Trost!(慰め)」という別タイトルがあるが、第2番にはそのようなタイトルはない。 〔9〕タイトルは「Avant la bataille(戦の前)」だが、S.511の第1番「Vor der Schlacht(戦の前)」ではなく、第3番「神は我らを戒めり」と同じ曲の編曲。 〔10〕S.511の第1番「戦の前」と同じ曲の編曲と思われる。 〔11〕個人所有の音楽帳に書かれていた小品で、2004年にとあるオークションで出品され、それをハワードがコピーしたもの。旋律はポーランドの民俗旋律で、リストは「ヴォロニンツェの落ち穂拾い S.249」(Disc.30)の第2番「ポーランドの旋律」で使用しているものと同じ。またショパンが歌曲「願い Op.74/1」で使用した旋律と同じでもある。リストはその歌曲も編曲しているが、その「乙女の願い S.480/1」はDisc.52に収録。 〔12〕同じく2004年のオークションで出品され、ハワードがコピーしたもの。「コンソレーション 〔第1稿〕 S.171a」(Disc.26)の第6番の短縮稿のようなもの。 〔13〕リストの作品カタログ内で言及されることがしばしばあるが、リスト自身による自筆譜は残されていなく、フェレティ・パールによる写譜しか残されていない。書法は未熟であり、リストの友人による作品である可能性がある(その際にリスト自身が助言を与えたかもしれない)。 〔14〕ウィルホルスキーの「ロマンス」のリストによる編曲は第1稿と第2稿が知られていたが、その二つの稿の間に書かれた中間稿が二つ新たに判明した。第1稿はDisc.29に、第2稿はDisc.53に収録。 〔15〕曲集「クリスマスツリー」の第7番の第1稿と第2稿の中間稿。リストの弟子カール・ラハムントが所有していたもので、シャーマー社が出版するさいにラハムントが編集した。 〔16〕ペータース社が出版したもので、「即興ワルツ S.213」(Disc.20)の別人による編曲である可能性もあるが、ハワードはリスト自身によるものだと信じている。




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April 28, 2013

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.90

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
新発見 2 

Disc.90 
  詩的で宗教的な前奏と調べ 〔補筆:ハワード〕 S.171d
1. 第1番 
2. 第2番 "倦怠?" 
3. 第3番 
4. 第4番 "- 最後の幻影(?)" 
5. 第5番
6. 第6番 "心せよ" 
7. 第7番 "代わり" 
8. 第8番 "M.K." 
9. 管弦楽の無い協奏曲 S.524a
10. アルバムリーフ "マジャール" S.164e/2 
11. ハンガリー行進曲 S.229a 
12. 思想 "夜想曲" S.168b 
13. アルバムリーフ S.164h
14. アルバムリーフ "前奏曲" S.164j 
15. アルバムリーフ S.166l 
16. アルバムリーフ S.167h
17. おお、愛しうるかぎり愛せ 〔補筆:ハワード〕 S.540b 

Recorded: 2003 

〔メモ〕
〔1〕~〔8〕ワイマールのゲーテ=シラー・アルヒーフに所蔵されている「スケッチブックN5」に草稿が残されている作品群で、リスト本人は「詩的で宗教的な調べ (詩的で宗教的な前奏と調べ)」という風に書いていて、ハワードはそのカッコ内をタイトルとして採用している。演奏ができない未完成な作品もある。オランダのピアニスト、ピアノ教育家アルベルト・ブルセーがこの曲集を再現し、出版・録音をした。ハワードも自身の見解に基づいて再現した結果、ブルセーのものとは異なるものが出来あがった。ちなみに音楽学者レナ・チャーニン・ミュラーは、交響詩タッソーの短い草稿が収録されていることから、このスケッチブックを「タッソー・スケッチブック」と呼んでいる。曲集タイトルを見るとS.173の曲集「詩的で宗教的な調べ」と関連があるように見えるが、実際直接的な関連があるのは第1曲のみ。そもそもリストがこの曲集を最終的にどのような形(収録曲、曲数など)にしようとしていたかなどの詳細不明。 〔1〕「孤独の中の神の祝福 S.173/3」(Disc.13)の初稿。本来は無題。ハワードはDisc.15においてもこの曲を録音しているので、2度目の録音となる。ちなみにその時は「前奏曲」というタイトルを付けていた。草稿には「ナンシー、1845年11月16日」と書かれている。 〔2〕タイトルらしいものとして自筆で「Langueur?」と書かれている(クエスチョンマークも込みで)。日付は「1845年11月20日」。 〔3〕無題。日付は「1845年12月4日」。 〔4〕後に「バラード 第1番 S.170」(Disc.12)に主題が転用される。そして他の主題も変形されて「コンソレーション 第6番 S.172/6」(Disc.17)に転用されている。タイトルに付いているクエスチョンマークもリスト自身によるもの。終結部が無く、ハワードが補筆している。 〔5〕無題。日付は「1845年12月6日」。リストが宗教的、天上的作品を書く際の典型的な書法が見える。 〔6〕「心せよ」というタイトルが付けられている。この「心せよ」というタイトルは第4番(当ディスク・トラック〔4〕)にも下書きとして書かれている。終結部が無く、ハワードがリスト自身による他の似たような音素材を使用して補筆している。 〔7〕「代わり」と書かれているが、第6番の代わりとして書かれた可能性もあるが詳細は不明。旋律は後に歌曲「我死せり S.308」の旋律に使用される。つまりピアノ独奏曲「愛の夢 第2番 S.541/2」(Disc.24)と同じ旋律を持つ。 〔8〕「M.K.」とはリストの友人であったマリア・カレルギスのこと。ごく一部の下書きが残されているだけで、大部分をハワードが補筆した。 〔9〕「ピアノ協奏曲 第2番 S.125」の初期の草稿で、この時点ではとりあえずピアノ独奏として書かれている(ただしリストはピアノ独奏曲の譜面においても他の楽器挿入をほのめかす書き込みをすることがあり、この曲にも書かれている)。本来は無題だが、上記タイトルはシューマンに倣ってハワードが付けたもの。関連作品「アルバムリーフ S.163a/1」はDisc.89に収録。 〔10〕モシェレスのために書かれた小品。「マジャールの歌 第11番 S.242/11」(Disc.31)の旋律が使用されている。この旋律は「ハンガリー狂詩曲 第3番 S.244/3」でも使用されている。 〔11〕詳細不明の未出版の小品。 〔12〕上記の曲集「詩的で宗教的な前奏と調べ S.171d」と同じくスケッチブックN5に書かれている小品。リストはどうやら「思想」というタイトルの作品をいくつか作ろうとしていた形跡があるが、この1曲しか見つかっていない。1845年11月6日に書かれた。 〔13〕ゲーテ=シラー・アルヒーフに所蔵されている小品。リスト少年期の作品である可能性がある。譜面上に「L」と「D」が重なり合って書いてあるが、これは「Laus Deo (神を称えよ)」を意味している。 〔14〕「アルバムリーフ - リヨン前奏曲 S.166d/1」(Disc.86)の類似作品。曲というよりは指の運動のためのパッセージのようなもの。 〔15〕対位法が特徴的な小品。ゲーテ=シラー・アルヒーフに所蔵されている。 〔16〕音楽の遊び。右手は常に同じ和音を奏でるが、左手の旋律の動きによりその和音は異名同音となる。 〔17〕「愛の夢 第3番 S.541/3」(Disc.24)の初期稿。最終稿は変イ長調だがこちらはイ長調。ゲーテ=シラー・アルヒーフに所蔵されている未完の自筆譜。「ピアノ独奏最終稿」と「歌曲「おお、愛しうるかぎり愛せ S.298」のピアノパート」をイ長調へ移し、それを素材としてハワードが欠落部分を補筆したもの。




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February 16, 2013

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.89

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
新発見 1 

Disc.89 
  マリー・ツー・ザイン=ヴィトゲンシュタイン嬢のアルバムより
1. アルバムリーフ "喜びに満ち、悲しみに満ち" S.166n 
2. リリー S.166m/1
3. ハルヤ S.166m/2
4. マズルカ S.166m/3
5. クラコヴィアク S.166m/4 
  ジプシーの叙事詩 S.695b
6. 第1番
7. 第2番
8. 第3番
9. 第4番
10. 第5番
11. 第6番
12. 第7番 "ラーコーツィ行進曲"  
13. 第8番
14. 第9番
15. 第10番
16. 第11番 
17. ハンガリーの有名な旋律 S.243a
18. 守護天使へ 〔第1草稿修正版〕 S.162a/1bis
19. ものみな涙あり - ハンガリー旋法で 〔中間稿〕 S.162c/ii
20. 後奏曲 - スルスム・コルダ! 〔第1稿〕 S.162e 
21. 悲しみのゴンドラ 〔ヴェネツィア第1草稿〕 S.199a
22. アルバムリーフ S.163a/1
23. アルバムリーフ "フリシュカ" S.166k
24. アルバムリーフ "ダンテ交響曲の和声進行" S.167f 

Recorded: 2001 

〔メモ〕
〔1〕~〔5〕カロリーネ・ザイン=ヴィトゲンシュタインの娘マリー・ザイン=ヴィトゲンシュタインへ捧げられた音楽帳に収録されていた小品。このアルバムには44の音楽家による作品が収録されているが、その最初の5曲がフランツ・リストによるもの。このアルバムはかつて個人所有であり、未公開の状態だったが1999年にオークションに出品され、ゲーテ=シラー・アルヒーフが落札した。2000年にムジカ・ブダペスト社が初版した。 〔1〕この曲のみ元々カロリーネの母であるイワノフスカ夫人へ献呈されたもので、それをこのアルバムへ後から挿入した。曲自体はゲーテの詩によるリストの歌曲「喜びに満ち、悲しみに満ち S.280」を基にしたピアノ小品。 〔2〕ポーランド民謡を基にしたもの。 〔3〕ポーランド民謡を基にした小品。この旋律は「ヴォロニンツェの落ち穂拾い S.249」(Disc.30)の第1曲「ウクライナのバラード」でも使用されている。 〔4〕ポーランド民謡を基にしたもの。 〔5〕ポーランド民謡を基にしたもの。 〔6〕~〔16〕「マジャールの歌とマジャール狂詩曲 S.242」(Disc.31, Disc.32)の素材を転用して、簡素化し一新した曲集を作ろうとしたが頓挫したもの。当然同曲を前身とする「ハンガリー狂詩曲 S.244」(Disc.33, Disc.34)とも関連が深い。リスト本人による正式名称は「ジプシーの叙事詩、マジャールの歌とマジャール狂詩曲の普及版」。全何曲になる構想だったのかは不明。全ての譜面が書かれたわけではなく、例えば「~番はマジャールの歌~番と同一」や「~番の~小節はマジャール狂詩曲~番の~小節から転用」のように番号が示されているだけの場合が多い。そのようなリストの指示を汲み取りながら、ハワードが11曲を演奏可能な状態にした。 〔6〕「マジャールの歌 第1番 S.242/1」と同一。 〔7〕「マジャールの歌 第2番 S.242/1」と同一。 〔8〕「マジャールの歌 第3番 S.242/3」を基にしているが、後半は改訂されている。 〔9〕「マジャールの歌 第4番 S.242/4」と同一。簡易オッシアがある部分はそれを演奏している。 〔10〕「マジャールの歌 第5番 S.242/5」と同一。 〔11〕「マジャールの歌 第6番 S.242/6」と「マジャール狂詩曲 第12番 悲劇的な英雄の詩 S.242/12」を混合したもの。 〔12〕「マジャール狂詩曲 第13番 - ラーコーツィ行進曲 S.242/13」を挿入するようにというリストの指示がある。マジャール狂詩曲13番は2つの稿(通常稿S.242/13と簡易稿S.242/13a)があり、ハワードは簡易稿を挿入する方がふさわしいと判断し、そちらを演奏している。 〔13〕「マジャールの歌 第10番 S.242/10」を基にして数小節変更したもの。 〔14〕「マジャールの歌 第7番 S.242/7」を基にして数小節変更したもの。 〔15〕「マジャールの歌 第8番 S.242/8」を基にして数小節変更したもの。 〔16〕「マジャールの歌 第9番 S.242/9」を基にして数小節変更したもの。 〔17〕「マジャールの歌 第11番 S.242/11」の後半部をフランシス・プランテのために改訂したもの。「ハンガリー狂詩曲 第6番 S.244/6」(Disc.33)の素材となる。 〔18〕「巡礼の年 第3年 S.163」(Disc.11)の第1曲「アンジェルス!」の第1草稿の修正版。孫娘ダニエラ・フォン・ビューローへの献呈も記載されている。基となった第1草稿はDisc.82に収録。 〔19〕「巡礼の年 第3年 S.163」(Disc.11)の第5曲「ものみな涙あり」の初稿にいくつかの改訂を加えたもの。基となった初稿はDisc.83に収録。 〔20〕「巡礼の年 第3年 S.163」(Disc.11)の第7曲「スルスム・コルダ」の初稿。 〔21〕1882年にヴェネツィアのワーグナーをリストが訪ねた際に作曲されたもの。悲しみのゴンドラの初稿。このヴェネツィア草稿は2002年にルッジネンティ社により初版された。後に改訂され「悲しみのゴンドラⅡ S.200/2」となる。改訂稿「悲しみのゴンドラⅡ S.200/2」とその派生作品「悲しみのゴンドラⅠ S.200/1」はDisc.19に収録。 〔22〕2000年にサザビーのオークションで出品されたもの。譜面にはリストの自筆で「3 avril 1828」(1828年4月3日)と書かれている。「ピアノ協奏曲 第2番 S.125」のスケッチにて素材として使用され、変形はしているものの最終稿にもその名残が見られる。 〔23〕ゲーテ=シラー・アルヒーフに所蔵されている詳細不明の草稿。ハワードは1840年代に書かれたものと推測している。 〔24〕「ダンテ交響曲 S.109」のマニフィカート終盤におけるコード進行の抜粋。全音音階が特徴的。この断片はボストン大学に所蔵されている。 




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January 24, 2013

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.88

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
珍曲 ・ 奇曲 ・ アルバムリーフ ・断章 4 

Disc.88
1. マゼッパ - 交響詩 第6番 S.511c 
2. ワルツ S.210b
3. レントラー S.211a
4. ドゥムカ S.249b
5. コサックの旋律 S.249c
6. 葬送行進曲 S.226a
7. ハンガリーのテンポ S.241b 
8. 羊飼いの結婚式 - ハンガリーの旋律 S.405 (フェシュテティチ)  
9. ラフの《ワルツ Op.54/1》への序奏とコーダ S.551a
10. ルビンシテインの《練習曲 "間違った音符による"》への序奏とコーダ S.554a 
11. スメタナの《ポルカ》への序奏とコーダ S.570 
12. タウジヒの《ヴァルス・カプリス 第3番》への序奏と終結部 S.571a (J.シュトラウスⅡ世) 
13. メフィストワルツ 第3番 〔第1草稿〕 S.215a 
14. 小ワルツ "3つの忘れられたワルツへの後奏曲" 〔補筆:ハワード〕 S.695e 
15. 華麗なる大ワルツ "ベルンの舞踏会" 〔第1稿〕 S.209 

Recorded: 1997/1998  

〔メモ〕
〔1〕リストの交響詩「マゼッパ」を音楽家テオフィル・フォーシュハマーがピアノ独奏編曲し、リスト本人がその編曲を手直ししたもの。このフォーシュハンマー版は未出版で、この自筆譜(リストによる訂正付き)はブダペストのリスト・リサーチセンターに所蔵されている。ちなみに交響詩マゼッパのピアノ独奏編曲は、他にルートヴィヒ・シュタルクによるものもある。 〔2〕1995年にパリのとある自筆原稿の販売展で出品されたもの。自筆譜にはタイトルとして「Walse」と書かれている。アメリカではこの作品を音楽学者レナ・チャーニン・ミュラーが出版している。 〔3〕~〔5〕リュドミラ・ザモイスカ伯爵夫人の蔵書から見つかった作品群で、3曲全てファクシミリ版として出版されている。伯爵夫人とこれら作品群がどのように関連があるのか不明。 〔6〕父アダム・リストの死に直面した時に作曲された。この作品はブーローニュにて1827年8月30日に書かれたが、これは父の死の二日後にあたる。専門家曰く、英雄的表現はベートーヴェンの影響を覗かせる。 〔7〕「ハンガリー狂詩曲 第6番」(Disc.33)と共通の旋律を使用した小品。自筆譜はオックスフォード大学のボドリアン図書館に所蔵されている。 〔8〕レオ・フェシュテティチ伯爵の作品「羊飼いの結婚式」にリストが装飾音を施したもの。 〔9〕~〔12〕既に完成している他人の作品に対して序奏とコーダを付けくわえたもの。 〔9〕リストサークルの一員だったヨアヒム・ラフの「奇想舞曲 Op.54/1」に序奏とコーダを付け加えたもの。リナ・ラーマンの著書「Liszt-Pedagögium」に掲載されたが、「変イ調のワルツ」への追加と誤って言及された。後に正しい作品(Op.54/1)が判明する。 〔10〕リストサークルの一員だったアントン・ルビンシテインの「間違った音符による練習曲(ハ長調)」に序奏とコーダを付け加えたもの。当初誤って「スタッカート練習曲 Op.23/2」への追加と言及された。未出版であり自筆譜はアメリカ議会図書館に所蔵されている。リストは追加のみではなく、この曲の編曲もしようとしていたという説もある。 〔11〕スメタナの「サロンポルカ Op.7/1」に序奏とコーダを付け加えたもの。「Liszt-Pedagögium」に収録。またピアニストのレイモンド・レーヴェンタールによる編集で出版されたこともある。 〔12〕リストの弟子カール・タウジヒの作品「新ウィーンの夜会 - ヴァルス・カプリス 第3番」はヨハン・シュトラウスⅡ世の「投票 Op.250」を原曲とする奇想ワルツ。この作品への序奏と終結部。かつてアメリカでこの序奏部と終結部のみが独立した作品として出版されたこともあった。音楽学者ロバート・スレルフォールがこの作品をタウジヒの作品への追加部と断定した。自筆譜はアメリカ議会図書館に所蔵。 〔13〕「メフィストワルツ 第3番 S.216」(Disc.20)の未出版の初稿。 〔14〕「3つの忘れられたワルツ (第1番~第3番)」(Disc.20)へ付随する曲として作曲された未完の作品をハワードが補筆したもの。この曲が作られた当時まだ「忘れられたワルツ 第4番」は存在しなかった。 〔15〕曲集「3つの奇想ワルツ S.214」の第1番「華麗なるワルツ」(Disc.20)の初稿。「ベルンの舞踏会」というタイトルで出版されたこともあった。   

 


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January 03, 2013

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.87

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
珍曲 ・ 奇曲 ・ アルバムリーフ ・ 断章 3 

Disc.87 
1. いざ楽しまん - パラフレーズ 〔第2稿〕 S.240ii
2. ハンガリー狂詩曲 第2番 〔異稿〕〔カデンツァ:リスト〕 S.244/2bis
3. ハンガリー狂詩曲 第10番 〔異稿〕 S.244/10bis
4. ハンガリー狂詩曲 第15番 〔異稿〕 S.244/15bis
5. ハンガリー狂詩曲 第16番 〔第1稿〕 S.244/16i 
6. ハンガリー狂詩曲 第18番 〔コーダ第1稿〕 S.244/18i
7. メフィストポルカ 〔通常稿〕 S.217ii
8. ハンガリー狂詩曲 第18番 〔コーダ第2稿〕 S.244/18ii 
  3つの演奏会用練習曲 - 3つの詩的カプリース
9. 第3番 ため息への2つのカデンツァ S.144/3ter
10. アルバムリーフ "荘厳ミサのアニュス・デイ" S.167c
11. アルバムリーフ "オルフェウス" S.167d
12. アルバムリーフ "理想" S.167e 
13. 聖スタニスラウスの断章 S.688a
14. ぶどうを作る人の合唱 "プロメテウス" 〔未完〕 S.692e
15. マンドラゴラ "オペラ《ニヴェルのジャン》のバラード" 〔未完〕 S.698 (ドリーブ) 
16. グラスゴーの断章 S.701f
17. オペラ風アリアとしたためられた変奏曲 S.701h/1
18. 地獄のワルツ S.701h/2 (マイアベーア)
19. アレグロ・マエストーソ "嬰ヘ長調の練習曲?" 〔未完〕 S.692c
20. ラーコーツィ行進曲 〔第1稿・簡易稿〕〔未完〕 S.692d
21. 博愛による調べ 〔未完〕 S.701j (ロッシーニ)
22. マリーの詩 〔未完〕 S.701b
23. アンダンテ・センシビリッシモ S.701c 
24. ドリア旋法の旋律 S.701d
25. ダンテの断章 S.701e
26. ポーランド風 S.701g
27. 修正譜 "悲しみのゴンドラ" S.701k 

Recorded: 1997/1998 

〔メモ〕
〔1〕「いざ楽しまん - パラフレーズ」の未出版の改訂稿。出版された第1稿はDisc.29に収録。 〔2〕リストは後年「ハンガリー狂詩曲 第2番」へ追加のパッセージをいくつか書いた。その後に書かれた追加部を採用してハワードが録音したもの。またこの曲はカデンツァを挿入してよい箇所があることで有名だが、ここではリストが書いた二つのカデンツァのうちの短い方を採用している。「ハンガリー狂詩曲 第2番」の長いカデンツァが付いた通常稿はDisc.33に収録。 〔3〕「ハンガリー狂詩曲 第10番」のオッシアを演奏したもの。通常稿はDisc.34に収録。 〔4〕「ハンガリー狂詩曲 第15番 - ラーコーツィ行進曲」のオッシアを演奏したもの。通常稿はDisc.34に収録。 〔5〕「ハンガリー狂詩曲 第16番」の初稿。最初に出版されたもの。改訂稿はDisc.34に収録 〔6〕リストは「ハンガリー狂詩曲 第18番」のコーダを書き換える試みを2度した。そのひとつ目。未出版。通常稿はDisc.34に収録。 〔7〕「メフィストポルカ」の通常稿。多くのピアニストが演奏しているのはこちらのバージョン。オッシアを演奏した異稿はDisc.21に収録。 〔8〕リストは「ハンガリー狂詩曲 第18番」のコーダを書き換える試みを2度した。そのふたつ目。未出版。通常稿はDisc.34に収録。 〔9〕リストは「ため息」へのカデンツァをいくつか書いている。ここに収録されているふたつはルイーザ・コグネッティとエドゥアルト・ダンロイターのために書かれたもの。 〔10〕リストの「ミサ・ソレムニス」の「アニュス・デイ」からの抜粋によるピアノ曲。リストの作品カタログによっては「《グランのミサ》のポコ・アダージョ」と呼ばれることもある。 〔11〕交響詩「オルフェウス」の旋律を使用した小品。 〔12〕交響詩「理想」の旋律を使用した小品。しかし同じく交響詩「理想」を素材として作られた作品「芸術家のための祝祭行進 S.520」のほうに近い。 〔13〕未完のオラトリオ「聖スタニスラウス」の断片。このスケッチはアメリカ議会図書館に所蔵されている。 〔14〕合唱曲「解き放たれたプロメテウスへの合唱」の「刈入れ人の合唱」のピアノトランスクリプションの自筆譜の続きに書かれている未完のスケッチ。 〔15〕ドリーブのオペラ「ニヴェルのジャン」の序曲の主題とバラード部分の序奏の編曲。未完。 〔16〕音楽学者でリスト信奉者であるウィリアム・ライトがグラスゴーに所蔵されていた詳細不明の断片をハワードへ提供したもの。オペラ幻想曲風だが、(仮にそうだとして)原曲は不明。 〔17〕その名の通りオペラ風アリアとその主題の変奏。リスト青少年期の未完の作品。 〔18〕トラック〔17〕と同じ自筆譜に書かれた断片。マイアベーアのオペラ「悪魔のロベール」の「地獄のワルツ」より。 〔19〕音楽学者ウィリアム・ライトが発見した断片。後に超絶技巧練習曲となる曲集「12の練習曲 S.136」は当初48曲完成させる予定だった。この断片は嬰ヘ長調の練習曲の冒頭部分となるものだった可能性がある。 〔20〕リスト研究家マリア・エックハルト女史が発見した「ラーコーツィ行進曲 〔第1稿〕 S.242a」(Disc.30)の自筆譜に同じく書かれている未完成の簡易稿。 〔21〕ロッシーニの合唱曲「博愛」の主題を使用した小品。「詩的で宗教的な調べ」の一曲「パレストリーナによるミゼレーレ」の次に配置されるよう指示が書かれている。つまり曲集「詩的な宗教的な調べ」に組み込む構想もあった。 〔22〕オーギュスト・ブリゾーの詩に触発されて書いた作品。「マリーの詩による6つの歌」という作品になるはずだったが、残されているのはこの1ページのみ。 〔23〕詳細は不明。自筆譜はアメリカ議会図書館に所蔵されているスケッチ(の下部に殴り書きしてあるもの)。「avec miaulement(猫の鳴きマネを添えて)」と書いてあることから、リストが戯れに書いた作品と思われる。 〔24〕「死の舞踏」の主題を抜粋した小品。 〔25〕「ダンテソナタ」の最初期の断片。 〔26〕曲集「クリスマスツリー」の一曲として構想されたものだが、結局採用されず別の曲(同名の曲)にとって代わられた。 〔27〕「悲しみのゴンドラ」の初期稿の終盤の改訂案。とあるリストの手紙に添付されていたもの。この自筆譜は現在ボローニャのリスト協会で保管されている。 




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December 14, 2012

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.86

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
珍曲 ・ 奇曲 ・ アルバムリーフ ・ 断章 2 

Disc.86 
1. 祭典の響き - 交響詩 第7番 S.511d 
2. 博愛 〔簡易稿〕 S.552b (ロッシーニ)
3. 《セレナード》と《狂宴》 - 音楽の夜会の動機による大幻想曲 "大幻想曲 第1番" 〔第1稿〕 S.422i (ロッシーニ)
4. 《コリントの包囲》の行進曲の主題による変奏曲への序奏 S.421a (ロッシーニ) 
5. 小品 (へ長) S.695
6. イギリスの主題による幻想曲 S.694
7. 若き日のソナタの冒頭 S.692b
8. アルバムリーフ "アンダンティーノ" 〔未完〕 S.163a/2
9. アルバムリーフ "ああ、ママに言うわ" S.163b
10. アルバムリーフ "プレスブルク" S.163c
11. アルバムリーフ "ウィーン" S.164a
12. アルバムリーフ "ライプツィヒ" S.164b
13. アルバムリーフ "エクセター前奏曲" S.164c
14. アルバムリーフ "デトモルト" S.164d
15. アルバムリーフ "マジャール" S.164e/1
16. アルバムリーフ "ラーコーツィ行進曲" S.164f
17. アルバムリーフ S.166a
18. アルバムリーフ S.166c
19. アルバムリーフ "リヨン前奏曲" S.166d/1
20. アルバムリーフ "オムニトニック前奏曲" S.166e
21. アルバムリーフ "ライプツィヒ" S.163d
22. アルバムリーフ "ベルリン前奏曲" S.164g
23. アルバムリーフ "ブラウンシュヴァイク前奏曲" S.166f/1
24. アルバムリーフ "セレナード" S.166g
25. アルバムリーフ "アンダンテ・レリジオーソ" S.166h
26. マズルカ 〔偽作の疑いあり〕 S.221a

Recorded: 1997/1998

〔メモ〕 
〔1〕リストの交響詩 第7番「祭典の響き」のピアノトランスクリプション。リストの弟子ルートヴィヒ・シュタルクがリスト本人の監督下で作成したトランスクリプションと、終結部付近のリスト自身によるトランスクリプションの自筆譜を参照し演奏したもの。 〔2〕ロッシーニの3つの宗教的合唱曲第3番「博愛」のトランスクリプションの簡易稿。この未出版の自筆譜にはヨハネの第一の手紙からの引用がある。 〔3〕リストはロッシーニの音楽の夜会の主題による幻想曲を2曲書いているが、これはその第1番の第1稿。第2稿はDisc.61に収録。 〔4〕詳細不明。そもそも「《コリントの包囲》の行進曲の主題による変奏曲」という作品が存在するのかどうかも不明で、存在するとしてもそれはリストのものなのか別の誰かのものなのかもわからない。多くの謎とこの序奏だけが残されている。ちなみに行方不明のリスト作品としてロッシーニの同オペラであるマオメットの主題による幻想曲という作品もあるが、それとは関係無い。 〔5〕1843年にノネンヴェルトにて書かれた未完の小品。自筆譜には完成してない部分がいくつも書かれているが、その未完部を省き完成している根幹の部分を取り出して演奏したもの。旋律はオペラ調だが、誰による主題かはわからない。リスト自身による可能性もある。 〔6〕この作品は大きく4つに分けることができる。最初はヘンデルのオラトリオ「メサイア」の序曲のアレグロ部のトランスクリプション。次に日本でもおなじみの旋律である、ヘンデルのオラトリオ「ユダス・マカベウス」より「見よ勇者は帰る」の変奏曲。残りの部分はイギリスの愛国歌「ルール・ブリタニア」とイギリス国歌「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」の主題による。未完部、消失部はハワードが編集、補筆を行っている。 〔7〕老リストが伝記作家リナ・ラーマンのために若き日の作品を記憶から掘り出して書き出したもの。 〔8〕オークションでファクシミリ版(自筆譜のコピー)が出品されたもの。一枚の用紙の表裏にまたがる作品だが、表ページしかなく完結しない。 〔9〕有名な「キラキラ星」の旋律を使用した楽想。 〔10〕「華麗なるワルツ S.214/1」(Disc.20)の旋律を使用した楽想。 〔11〕「憂欝なワルツ S.214/2」(Disc.20)の旋律を使用した楽想。 〔12〕何の旋律か不明。 〔13〕「お気に入りの小ワルツ S.212ii」(Disc.21)の序奏を使用した楽想。 〔14〕何の旋律か不明。 〔15〕「マジャールの歌 第10番 S.242/10」(Disc.31)の旋律を使用した楽想。 〔16〕ハンガリーの旋律「ラーコーツィ行進曲」を使用した楽想。 〔17〕何の旋律か不明。 〔18〕「バラード 第1番 S.170」(Disc.12)の旋律を使用した楽想。 〔19〕調性がぼやけたリストお気に入りの音階。 〔20〕同じく調性がぼやけた音階。このパッセージは「超絶技巧練習曲 第10番 S.139/10」(Disc.4)で使用されている。オムニトニックというのはフランソワ=ジョゼフ・フェティスが「調性の進化過程の最終段階」と定義付けたもので、中心音が定まらず調性が安定しない技法(調性の無いバガテルもその一例)。 〔21〕「憂欝なワルツ S.214/2」の旋律を使用した楽想。 〔22〕上記〔20〕同様にオムニトニック音階で最後にハ長で解決する。 〔23〕同じくオムニトニック音階で嬰ヘ長で解決する。 〔24〕「ノネンヴェルトの僧房 S.534iii」(Disc.25)風の楽想。 〔25〕単独曲「詩的で宗教的な調べ S.154」(Disc.13)の旋律を使用した小品。 〔26〕誰の作品かは不明。ウィーン楽友協会が保管していたリストの(本物の)作品群と共に保管されていた。




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November 29, 2012

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.85

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
珍曲 ・ 奇曲 ・ アルバムリーフ ・ 断章 1 

Disc.85 
1. オルフェウス - 交響詩 第4番 S.511b
2.-3. オルガンのための幻想曲とフーガ BWV542 〔第1稿〕 S.463i (バッハ)
4. 我が喜び - ショパンのポーランドの歌による夜想曲 〔第2稿〕 S.480/5bis
5. 愛の歌 (献呈) 〔草稿〕 S.566a (シューマン) 
6. スルタン<アブデュル・メジド=ハーン>のための行進曲 〔簡易稿〕 S.403bis (G.ドニゼッティ)
7. 博愛 〔第1稿〕 S.552a (ロッシーニ)  
8. 物思いに沈む人 〔第1稿〕 S.157b 
9. サルヴァトール・ローザのカンツォネッタ 〔第1稿〕 S.157c  
10. マクシミリアンⅠ世を悼んで - 葬送行進曲 〔第1稿〕 S.162d 
11. アルバムリーフ "ポルトガル" S.166b 
12. アルバムリーフ "コンソレーション 第1番" S.171b 
13. 刈入れ人の合唱 (田園曲 - 《プロメテウス》より刈入れ人の合唱) 〔第1稿〕 S.507a
14. 芸術家のための祝祭行進 〔第1稿〕 S.520i  

Recorded: 1997/1998  

〔メモ〕 
〔1〕交響詩 第4番「オルフェウス」のピアノ独奏編曲。リストの弟子フリードリヒ・シュピロがその交響詩をピアノ独奏編曲し、リスト自身がその編曲を修正、改訂したもの。 〔2〕〔3〕バッハのオルガン曲「幻想曲とフーガ BWV542」のピアノ独奏編曲の初稿。ただしフーガは第2稿と同じもの。第2稿に比べると装飾音が少ない。 〔4〕ショパンの歌曲を抜粋して編曲した「6つのポーランドの歌 S.480」(Disc.52)がフランスで出版された際、第5曲「私の愛しき人」のみ変更や追加コーダが加えられていた。 〔5〕シューマンの歌曲「献呈」の編曲の短縮稿。改訂された「演奏会用稿」(Disc.59)と比べると、より原曲に近い。これは草稿として残されたもので、その草稿はアメリカ議会図書館に所蔵されている。この短縮稿は近年アメリカで出版された。 〔6〕ガエターノ・ドニゼッティの兄ジュゼッペ・ドニゼッティの作品「大行進曲」のリストによるピアノ独奏編曲の簡易稿。演奏会用稿である通常稿はDisc.29に収録。 〔7〕ロッシーニの3つの宗教的合唱曲の第3曲「博愛」のピアノ独奏編曲の初稿。ワイマールのゲーテ=シラー・アルヒーフに所蔵されている自筆譜には、秘書のコンラーディに対する「写譜の清書を作成すること」「書き直しをする部分は空白にしておくように」という指示が書かれている。ゲーテ=シラー・アルヒーフはそのコンラーディによる写譜も所蔵しているが、そちらでは空白はなく演奏できる状態になっている。 〔8〕「巡礼の年 第2年 イタリア S.161」(Disc.10)の第2曲「物思いに沈む人」の初稿。この初稿の自筆譜にはタイトルは書かれていないが、最終稿同様にミケランジェロによる詩の一節が書かれている。 〔9〕「巡礼の年 第2年 イタリア S.161」(Disc.10)の第3曲「サルヴァトール・ローザのカンツォネッタ」の初稿。 〔10〕「巡礼の年 第3年 S.163」の第6曲「葬送行進曲」の初稿。この初稿も最終稿も「1867年6月19日」と書かれているので、リストの作品カタログでは作曲された年を1967年としがちだが、この日付はメキシコ皇帝マクシミリアンⅠ世が処刑された日付であり、作曲年がこの年とは限らない。 〔11〕「バラード 第1番 S.170」(Disc.12)の主題が使用されている小品。 〔12〕「コンソレーション S.172」(Disc.17)の第1番の主題が使用されている小品。 〔13〕合唱曲「刈入れびとの合唱」のピアノ独奏編曲の初稿。この初稿の自筆譜は非常に乱雑に書かれている。第2稿はDisc.49に収録。 〔14〕シラー生誕祭に寄せて書いた作品の初稿。第2稿はDisc.22に収録。ちなみに祝祭行進とは現代風に言うとパレードのこと。 




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November 12, 2012

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.84

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
草稿 ・ 改訂案 5 

Disc.84
1. パガニーニの主題による大幻想曲 - 鐘と《ヴェネツィアの謝肉祭》(による変奏曲) 〔第1稿〕 S.700i
2. アンジェルス! 守護天使への祈り 〔第3草稿〕 S.162a/3
  ハンガリーの歴史的肖像 〔曲順訂正版〕 S.205a
3. 第1番 セーチェーニ・イシュトヴァーン
4. 第2番 デアーク・フェレンツ
5. 第3番 テレキ・ラースロー
6. 第4番 エトヴェシュ・ヨージェフ
7. 第5番 ヴェレシュマルティ・ミハーイ
8. 第6番 ペテーフィ・シャーンドル
9. 第7番 モショニ・ミハーイ 〔改訂コーダ付〕
10. アンジェルス! 守護天使への祈り 〔第4草稿〕 S.162a/4
11. パガニーニの主題による大幻想曲 - 鐘と《ヴェネツィアの謝肉祭》(による変奏曲) 〔第2稿〕 S.700ii

Recorded: 1995/1997/1998

〔メモ〕
〔1〕パガニーニの有名な鐘の主題と「ヴェネツィアの謝肉祭」の主題による巨大な幻想曲。「パガニーニの鐘による大幻想曲 S.420」の素材をそのまま使用しているところもある。またパガニーニのヴァイオリン協奏曲第2番から鐘の主題以外の素材も使用している部分もある。この作品は1845年リスボンにて完成され、現在そのタイトルの付いていない自筆譜はワイマールに所蔵されている。1989年に新リスト全集にて初めて出版される。変奏曲というタイトルは新リスト全集の編纂者のひとりイムレ・メゼーが提案したものだが、ハワードは幻想曲というタイトルがふさわしいと考えている。またハワードは新リスト全集の校訂譜にいくつか問題があることを指摘している。関連作品「パガニーニによる超絶技巧練習曲 第3番 S.140/3」「ラ・カンパネラ S.141/3」はDisc.5に、「パガニーニの鐘による幻想曲 S.420」「《ヴェネツィアの謝肉祭》による変奏曲 S.700a」はDisc.82に収録。 〔2〕「巡礼の年 第3年 S.163」(Disc.11)の第1曲「守護天使への祈り」の草稿のひとつ。その草稿には「Siena, Torre fiorentina, 21-22 Settembre, '80 - F.Liszt (シエーナ、トルレ・フィオレンティーナ1880年9月21、22日 - F.リスト)」と書かれている。 〔3〕~〔9〕「ハンガリーの歴史的肖像 S.205」の一般に普及している出版譜の曲順はリストの弟子アウグスト・ゲレリッヒによるものとされているが、音楽学者デジュー・レガーニがリストの意図した曲順はそうではないという説を主張。ハワードがその曲順に従って録音したもの。 〔9〕アメリカ議会図書館の元音楽部門部長であり、リスト賛美者であったエドワード・ウォーターズの遺品の中から発見されたリストの「モショニ・ミハーイ」の自筆譜のコーダは通常のものと大幅に異なっていた。 〔10〕「巡礼の年 第3年 S.163」(Disc.11)の第1曲「守護天使への祈り」の草稿のひとつ。この草稿はリストの弟子リヒャルト・ブルマイスターの写譜にリスト自身が訂正を書き加えた形で残されている。日付は「in Tivoli - Rom, 1882, Februar(ローマ、ティヴォリにて、1882年2月)」。 〔11〕上記トラック〔1〕の第2稿で、第1稿と第2稿は同じ自筆譜上に書かれている。詳しい説明は上記参照。




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November 04, 2012

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.83

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
草稿 ・ 改訂案 4 

Disc.83 
1. ハンガリー - 交響詩 第9番 S.511e
2. ラーコーツィ行進曲 〔管弦楽稿より簡易編曲〕 S.244b 
3. ものみな涙あり 〔第1稿〕 S.162c/1
  《聖エリザベト》より2つの小品 S.693a 
4. バラの奇跡 
5. 嵐  
6. 忘れられたワルツ 第3番 〔終結部異稿〕 S.215/3a 
7. 半音階的大ギャロップ 〔簡易稿〕 S.219bis 
8. 忠誠行進曲 〔第1稿〕 S.228i  

Recorded: 1995/1997/1998  

〔メモ〕 
〔1〕リストの交響詩第9番「ハンガリー」をフリードリヒ・シュピロがピアノ独奏編曲した。その編曲の出版譜にリスト本人が変更を加え生まれ変わったもの。しかしこの稿は未出版に終わった。この稿のホログラムはワイマールに所蔵されている。この第9交響詩の基となった作品はピアノ独奏曲「ハンガリー様式の英雄行進曲 S.231」(Disc.21)だが、それだけでなく他のハンガリーに因んだ素材(民謡など)も使用している。 〔2〕ラーコーツィ行進曲を基に管弦楽曲を作り、その管弦楽稿のピアノトランスクリプションを作った。この稿はさらにその簡易稿。通常稿はDisc.22に収録。 〔3〕「巡礼の年 第3年 S.163」(Disc.11)の第5曲「ものみな涙あり」の初稿。この初稿の自筆譜にタイトルは書かれていない。 〔4〕~〔5〕ハンガリーの聖人を描いたオラトリオ「聖エリザベトの伝説」の抜粋曲のピアノ独奏稿。実際にはリスト本人はこの2曲をピアノ独奏曲として残してはいない。ハワードがピアノ(独奏/連弾)伴奏版のオラトリオを参考にしピアノ独奏曲へ編集したもの。ハワードは自身の正当性を主張する根拠として、リスト自身やリストの弟子たちがこのオラトリオをピアノ独奏で演奏していたことを例に挙げている。関連作品「《聖エリザベトの伝説》より3つの小品 S.498a」はDisc.23に収録。 〔6〕「忘れられたワルツ 第3番 S.215/3」のパリ草稿で初稿(と思われるもの)。終結部が異なる。通常稿はDisc.20に収録。 〔7〕単に「半音階的大ギャロップ S.219」(Disc.21)の簡易稿かと思いきや、途中で「舞踏会ギャロップ S.220」(Disc.2)が登場する。 〔8〕この「忠誠行進曲」のピアノ独奏稿第1稿はフェルッチオ・ブゾーニが管弦楽稿と誤って認定してしまい、リストの作品カタログには登録されなかった。この自筆譜はパリのフランス国立図書館に所蔵されている。第2稿では「ワイマール民謡 第2番 S.542ii」の主題と共通のものが現れるが、この第1稿ではその主題はまだない。




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October 27, 2012

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.82

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
草稿 ・ 改訂案 3 

Disc.82
1. パガニーニの鐘による華麗なる大幻想曲 S.420
2. 守護天使へ "アンジェルス!" 〔第1草稿〕 S.162a/1
3. お気に入りの小ワルツ 〔第1稿〕 S.212i
4. 憂鬱なワルツ 〔第1稿〕 S.210 
5. ポーランドの旋律 〔草稿〕 S.249a
6. 伝説 第2番 波を渡るパオラの聖フランチェスコ 〔簡易稿〕 S.175/2bis
7. メフィストワルツ 第4番 〔第1稿〕 S.216b
8. 即興ワルツ 〔補筆稿〕 S.213a
9. 憂鬱なワルツ 〔中間稿〕 S.210a
10. ヴァレンシュタットの湖で 〔中間稿〕 S.156/2a bis
11. アンジェルス! 〔第2草稿〕 S.162a/2 
12. エステ荘の糸杉に - 哀歌 〔S.163/3の第1稿〕 S.162b
13. パガニーニの《ヴェネツィアの謝肉祭》による変奏曲 S.700a 

Recorded: 1995/1997/1998 

〔メモ〕
〔1〕リストの有名な練習曲「ラ・カンパネラ」と同様に、パガニーニの第2ヴァイオリン協奏曲のロンドの主題を使用している巨大な幻想曲。1834年初版。ヘルミニー・ヴィアルへ献呈。 〔2〕「巡礼の年 第3年 S.163」(Disc.11)の第1曲「守護天使への祈り」の草稿。その草稿には「27 September 77 Villa d'Este (SS Cosmae et Damiani) FLiszt」(1877年9月27日エステ荘(サンティ・コスマ・エ・ダミアーノ)F.リスト」と書かれている。上記タイトルもその草稿に書かれているもの。 〔3〕「お気に入りの小ワルツ」は後に改訂され「即興ワルツ S.213」(Disc.20)となる作品。その第2稿はDisc.21に収録。 〔4〕「憂欝なワルツ S.214/2」(Disc.20)の初稿。印象的な序奏が特徴。 〔5〕ポーランドの民俗旋律らしいが、詳細は不明。リストはこの旋律を自身の「ヴォロニンツェの落穂拾い S.249」(Disc.30)の第2曲でも使用。 〔6〕「伝説 S.175」の第2曲の簡易稿。当初、通常稿と共に出版される予定だったが、1976年に初めて出版された。 〔7〕「メフィストワルツ 第4番」の草稿。リストのは後にアンダンティーノ部を追加しようと試みるが未完に終わる。その後の未完の改訂稿をハワードは補筆してDisc.20に収録している。 〔8〕即興ワルツへリストは弟子たちのためにいくつかの追加パッセージを書いた。それらをまとめて録音したもの。リナ・ラーマンの著書「Liszt  Pedagögium」へアウグスト・リーゼナウアーが注釈として書き入れたもの。 〔9〕上記トラック〔4〕への修正譜。この修正譜はアメリカ議会図書館に所蔵されている。 〔10〕「旅のアルバム」の第1巻の第2曲aと「巡礼の年 第1年 スイス」の第2曲の中間に位置する稿。 〔11〕上記トラック〔2〕同様「巡礼の年 第3年 S.163」(Disc.11)の第1曲の草稿。「15 ottobre 77 Villa d'Este FLiszt」(1877年10月15日エステ荘、F.リスト)と書かれている。ハルモニウムで演奏してもよいと表記されている。タイトルは「アンジェルス!」のみだが、続けて「in Festa SS Angelorum Custodi」(守護天使の祝祭に)と書かれている。 〔12〕「巡礼の年 第3年 S.163」(Disc.11)の第3曲「エステ荘の糸杉に - 哀歌Ⅱ」の初稿だが、いつ作られたものかわからない。 〔13〕パガニーニがヴェネツィア民謡「愛しいお母さん」を主題としてヴァイオリン用の変奏曲「ヴェネツィアの謝肉祭」を作った。リストもそれに倣い同じ主題を用いて簡素な変奏曲を作った。




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