楽曲紹介

October 23, 2016

愛の夢 第3番 S.541/3


愛の夢 - ピアノフォルテのための3つの夜想曲 S.541
第3番 おお、愛しうるかぎり愛せ
Liebesträume - 3 Notturnos für das Pianoforte S.541 No.3
O lieb, so lang du lieben kannst

〔楽曲メモ〕
愛の夢とは全3曲あり、この第3番が最も人気があります。1845年頃作曲され、キストナー社により1847年に初版された作品です。フライリヒラートの詩に歌を付けた歌曲をピアノ独奏に編曲したトランスクリプションです。この作品はリストの最も有名な曲というだけでなく「エリーゼのために」や「別れの曲」のように世界中で最も愛されている曲のひとつでもあります。とにかく美しい旋律が特徴です。

〔名演〕
上でも申しましたがこの曲は最も愛されている曲なので録音も多いです。個人的にはアラウ(Decca)の録音を一番よく聴きます。ふくよかな音色で包み込んでくれるような優しさのある演奏です。他には愛を高らかに情熱的に歌い上げるシフラ(EMI)も名演だと思います。録音の状態に起因するものだと思いますが、こちらはちょっと音がこもっているように聴こえます。濃厚でロマンティックに香り立つボレット(Decca)も素敵です。


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October 01, 2016

ピアノソナタ S.178



ピアノソナタ S.178 / Sonate S.178 

〔楽曲メモ〕 
リストのピアノ作品の最高峰であるピアノソナタです。「ロ短調ソナタ」とも呼ばれます。リストにとって唯一の正式なピアノソナタです。1851年から1853年にかけて作られたものです。シューマンが彼の傑作である「幻想曲 Op.17」をリストへ献呈した返礼として、リストはこの大ソナタをシューマンへ献呈しました。シューマンはこの曲に熱中することはなかったらしく、時の批評家ハンスリックはこの曲を酷評しましたが、ワーグナーは「あらゆる概念を超越してこのソナタは美しく、偉大で、愛らしく、深遠で、気高い - まるであなたのように」という最大の賛辞を贈っています。ワーグナーはこの曲をリスト自身の音楽的肖像だと考えていたようです。1857年1月22日にリストの弟子で偉大なピアニストであるハンス・フォン・ビューローが初演し成功を収めました。過去にはリストの管弦楽曲の最高峰「ファウスト交響曲 S.108」に倣い「ファウストソナタ」というあだ名を付けられたこともあり、アレグロ・エネルジーコ部をファウスト、アンダンテ・ソステヌート部をグレートヒェン、フガート部をメフィストフェレスと解釈する人もいました。

〔名演〕 
この曲はピアノ作品の傑作ということで多くの名ピアニストたちが録音しています。僕がとりあえずみなさんに聴いていただきたいのはアラウ(Decca)の1970年の録音になります(上の動画)。ワーグナーが指摘したようにこの曲はいろいろな要素を含みます。このアラウの名演が高貴さ愛らしさ深さ美しさなどを総合的に表現していると僕は感じます。
他に好きな演奏としてはマルタ・アルゲリッチ(DG)のものがあります。これは彼女が何かに取り憑かれたかのような演奏であり、超常現象のような超越的名演です。
他にはコルトー、ホロヴィッツ、ベルマン、フィオレンティーノ、ブレンデル、ボレット、シフラ、ギレリス、リヒテル、ソフロニツキー、ワッツ、ツィマーマン、エマールなどいろいろな名演があり、挙げていけばキリがありません。これらの違いを聴くことも楽しみのひとつです。


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