アシュケナージ
March 28, 2013
FERENC LISZT
ヴラディーミル・アシュケナージ
ラザール・ベルマン
ヴラディーミル・オフチニコフ
グレブ・アクセルロート
アレクサンドル・スロボジャニク
パーヴェル・セレブリャコフ
FERENC LISZT
Disc.1
1. メフィストワルツ 第1番 S.514*
2. タランテラ S.162/3"
3. 回想 S.139/9#
4. ハンガリー狂詩曲 第2番 S.244/2$
5. ハンガリー狂詩曲 第6番 S.244/6!
6. ピアノソナタ S.178!
*ヴラディーミル・アシュケナージ
"ラザール・ベルマン
#ヴラディーミル・オフチニコフ
$グレブ・アクセルロート
!アレクサンドル・スロボジャニク
Disc.2
1. ピアノ協奏曲 S.124*
2. 前奏曲 S.97"
3. タッソー、悲劇と勝利 S.96#
4. オルフェウス S.98#
5. プロメテウス S.99#
*パーヴェル・セレブリャコフ(p)、キリル・コンドラシン指揮/モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団
"ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー指揮/モスクワ放送交響楽団
#マルク・エルムレル指揮/ソヴィエト国立文化省交響楽団
Melodiya MEL CD 1001911
Recorded: 1959-1989
〔メモ〕
元ロシア国営企業だったメロディアレーベルが2011年にフランツ・リストの生誕200年を記念してリリースしたCDです。日本に入って来たのはなぜか2012年になるかならないかぐらいの時でした。膨大な録音を有するメロディアですからCD2枚とは言わず大規模なボックスで出して欲しかったというのが本音ですが、演奏の方はさすがロシアの名演奏家たちによるもので素晴らしいです。CD時代が終わろうというこの時期に今までCDのリリースに積極的でなかったメロディアがリリースを始めたというのは面白いし、個人的には嬉しいことです。
ピアニストに目を向けるとDisc.1の方は全てモスクワ音楽院出身者たちで、モスクワ音楽院の偉大な教授たちであるイグムノフ、ゴリデンヴェイゼル、ネイガウスの系譜のどれかにそれぞれ属しています。一方Disc.2のセレブリャコフはレニングラード音楽院(現ペテルブルク音楽院)出身で、名教授ニコラーエフの門下です。そのセレブリャコフのピアノ協奏曲は非常に端整な出来栄えで、実力派としての腕を発揮した会心の録音です。
ちなみにスロボジャニクはこの録音で1976年にフランツ・リスト賞をハンガリーで受賞しているとのことです。
最後にブックレットに芸術評論家ヴラディーミル・スターソフの言葉が掲載されていますので、引用したいと思います。「もしリストがいなければ、音楽のさだめは別のものになっていただろう」
フランツ・リスト→アレクサンドル・ジロティ→コンスタンティン・イグムノフ→レフ・オボーリン→ヴラディーミル・アシュケナージ
フランツ・リスト→アレクサンドル・ジロティ→アレクサンドル・ゴリデンヴェイゼル→ラザール・ベルマン
フランツ・リスト→ハンス・フォン・ビューロー→カール・H・バルト→ゲンリヒ・ネイガウス→アレクセイ・ナセトキン→ヴラディーミル・オフチニコフ
フランツ・リスト→アレクサンドル・ジロティ→アレクサンドル・ゴリデンヴェイゼル→グリゴリー・ギンズブルグ→グレブ・アクセルロート
フランツ・リスト→ハンス・フォン・ビューロー→カール・H・バルト→ゲンリヒ・ネイガウス→ヴェラ・ゴルノスタエワ→アレクサンドル・スロボジャニク
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November 18, 2012
世界の偉大なるピアノ音楽 第80巻
セルゲイ・ラフマニノフ 2
※リンク先はアメリカのアマゾン(Amazon.com)です
練習曲 - 音の絵 Op.33 (全曲)(ラフマニノフ)*
練習曲 - 音の絵 Op.39/1 (ラフマニノフ)"
練習曲 - 音の絵 Op.39/2 (ラフマニノフ)"
練習曲 - 音の絵 Op.39/4 (ラフマニノフ)"
練習曲 - 音の絵 Op.39/5 (ラフマニノフ)"
練習曲 - 音の絵 Op.39/6 (ラフマニノフ)"
練習曲 - 音の絵 Op.39/9 (ラフマニノフ)"
練習曲 - 音の絵 Op.39/3 (ラフマニノフ)#
練習曲 - 音の絵 Op.39/7 (ラフマニノフ)#
練習曲 - 音の絵 Op.39/8 (ラフマニノフ)#
*アレクセイ・ナセトキン
"エフゲニー・キーシン
#ヴラディーミル・アシュケナージ
Melodiya DE 0200
〔メモ〕
ネイガウス派のナセトキンの歌心溢れるしみじみとした演奏だが、しかし急速な曲ではヴィルトゥオーゾピアニストとしての凄まじい演奏も聴かせる。ゴリデンヴェイゼル派の若き日のキーシンの完成度の高さには舌を巻く。イグムノフ派のアシュケナージは後年の録音では暖か味や優しさがあるけど、この録音では冷たい威圧感がある。
フランツ・リスト→ハンス・フォン・ビューロー→カール・H・バルト→ゲンリヒ・ネイガウス→アレクセイ・ナセトキン
フランツ・リスト→アレクサンドル・ジロティ→アレクサンドル・ゴリデンヴェイゼル→アブラム・シャチケス→アンナ・カントール→エフゲニー・キーシン
フランツ・リスト→アレクサンドル・ジロティ→コンスタンティン・イグムノフ→レフ・オボーリン→ヴラディーミル・アシュケナージ
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September 08, 2011
世界の偉大なるピアノ音楽 第21巻
フレデリック・フランソワ・ショパン 2
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12の練習曲 Op.10 (ショパン)*
12の練習曲 Op.25 (ショパン)*
3つの新練習曲 (ショパン)"
*ヴラディーミル・アシュケナージ
"アレクセイ・スカウロンスキー
Melodiya DE 0136
〔メモ〕
アシュケナージ若き日の記録。フレッシュな演奏。カップリングはサフシンスキーやギンズブルグ門下のスカウロンスキーによる新練習曲。
フランツ・リスト→アレクサンドル・ジロティ→コンスタンティン・イグムノフ→レフ・オボーリン→ヴラディーミル・アシュケナージ
フランツ・リスト→アレクサンドル・ジロティ→アレクサンドル・ゴリデンヴェイゼル→グリゴリー・ギンズブルグ→アレクセイ・スカウロンスキー
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November 06, 2010
鬼火 ~超絶技巧練習曲 第5番
鬼火で僕が素晴らしいと思うのは、なぜかロシア勢が多いです。
クズミン、キーシンも素晴らしい。
でも一番よく聴くのはアシュケナージとリヒテル(ソフィアライブ)です。
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November 05, 2010
アシュケナージのゴルチャコフ即興曲
美しい曲を美しく仕上げることに関しては、やはりアシュケナージはさすがとしか言いようがないです。これは買ってよかったと大満足です。
話は変わりますが、僕はCDを現物で持っていたいので音楽をダウンロードで買うということにいまだに抵抗があります。ブックレットを読む楽しみもないという問題もあります。こういう考え方は古いのかな?
しかし今回のように一曲だけ買うこともできて便利ですね。
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November 01, 2010
Great Pianists of The 20th Century Vol.7
ヴラディーミル・アシュケナージ
Disc.1
1. スケルツォ 第4番 Op.54 (ショパン)<67>
2. 夜想曲 第17番 Op.62/1 (ショパン)<65>
3. マズルカ Op.59/2 (ショパン)<72>
4.-6. 3つの新練習曲 Op.posth. (ショパン)<64>
7. 舟歌 Op.60 (ショパン)<67>
8. 超絶技巧練習曲 第1番 前奏曲 S.139/1 (リスト)<70>
9. 超絶技巧練習曲 第2番 S.139/2 (リスト)<70>
10. 超絶技巧練習曲 第3番 風景 S.139/3 (リスト)<70>
11. 超絶技巧練習曲 第5番 鬼火 S.139/5 (リスト)<70>
12. 超絶技巧練習曲 第10番 S.139/10 (リスト)<70>
13. 超絶技巧練習曲 第11番 夕べの調べ S.139/11 (リスト)<70>
14. 超絶技巧練習曲 第8番 荒々しき狩 S.139/8 (リスト)<70>
15. メフィストワルツ 第1番 S.514 (リスト)<70>
Disc.2
1.-3. 夜のガスパール (ラヴェル)<65>
4.-9. フモレスケ Op.20 (シューマン)<72>
10.-32. コレルリの主題による変奏曲 Op.42 (ラフマニノフ)<72>
33. 別れの前のロメオとジュリエット Op.75/10 (プロコフィエフ)<67/68>
34. スケルツォ (ボロディン)<83>
音源: Decca
Philips 456 715-2
〔メモ〕
ギレリスはその謙虚な性格からか(それとも政府当局に言わされていたのか)、祖国には素晴らしい演奏家がたくさんいて、ギレリス本人よりも素晴らしい人がたくさんいると発言していました。そして若手の演奏家について聞かれた時はアシュケナージの名前を挙げたこともあるそうです。
そのアシュケナージ自身はソヴィエト政府に嫌気が差し、後に亡命し、政府を批判するにまで至ります。政府当局との衝突で様々な苦悩や困難があったことでしょう。
そこで興味深いのが彼の演奏です。彼のスタイルは美しく明るく明朗で、さわやかで清涼感があります。彼の演奏からは苦悩というものがまったく感じられません。いや現実で苦悩をしたから、音楽はその逆で苦悩を排したものになるのでしょうか?
彼の明朗さは一人でも多くの人に音楽の素晴らしさを伝えるためのものではないでしょうか。子供に絵本を読んであげるのと同じように、わかりやすく音楽を噛みくだいて聴衆に語りかけているように感じます。彼の人気が非常に高いのも納得です。
個人的な話になりますが、僕がまだクラシックに興味がない頃になぜか彼のショパンのバラード・スケルツォ集が家にありました。僕の家族は誰もクラシック音楽を聴かないのに、いまだになぜそのCDが家にあったか謎です。それを聴き始めることにより僕はピアノ音楽という暗くて深い森に迷い込んでいくのです(笑)
フランツ・リスト→パウル・パブスト→コンスタンティン・イグムノフ→レフ・オボーリン→ヴラディーミル・アシュケナージ
フランツ・リスト→アレクサンドル・ジロティ→コンスタンティン・イグムノフ→レフ・オボーリン→ヴラディーミル・アシュケナージ
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August 19, 2010
SVIATOSLAV RICHTER joue Franz Liszt
スヴャトスラフ・リヒテル
SVIATOSLAV RICHTER joue Franz Liszt
1. ピアノソナタ S.178
2. 葬送曲 S.173/7
超絶技巧練習曲 S.139 より
3. 第1番 前奏曲
4. 第2番
5. 第3番 風景
6. 第5番 鬼火
7. 第7番 英雄
8. 第8番 荒々しき狩
9. 第10番
10. 第11番 夕べの調べ
PALEXA CD-0537
recorded: 1965/1958/1956
〔メモ〕
“私はリヒテルの自発性に圧倒された。1940年代と50年代のリヒテルのピアニズムの自発性というものはピアノ演奏史における特異な現象であったとはっきり申し上げておきたい”
ピアニスト、ラザール・ベルマンはリヒテルについてこのように語っています。ベルマンに超絶技巧練習曲を弾かせるきっかけを作ったのはリヒテルなのではないでしょうか。僕はリヒテルがこの曲集の全曲を演奏しなかったことに対して常々残念に思っていました。リヒテルは好き嫌いのはっきりしたピアニストで、例えば第12番の雪あらしに明らかな嫌悪感を示していました。ラザール・ベルマンが12曲すべてを録音したことは、あたかもリヒテルの仕事を受け継いで完成させたかのように感じてしまいます。真似をしているわけではないですが、音楽の大まかな流れが似ているように感じました。
リヒテルが影響を与えたピアニストと言えば、もう一人アシュケナージがいます。アシュケナージはリヒテルのコンサートに何度も足を運んでいるため、おそらくリヒテルの超絶技巧練習曲の演奏も聞いているのではないでしょうか。アシュケナージはdeccaレーベルにこの曲集を抜粋で録音しています。曲目は1、2、3、5、8、10、11番です。上記のリヒテルの抜粋と比べてみると7番がないだけでほぼ同じです。この曲集に関してはアシュケナージもベルマンもリヒテルの影を追い求めていたのではないでしょうか?
超絶技巧練習曲だけでなくソナタも葬送曲もやはり特別な演奏。リヒテルのずば抜けた集中力は演奏に哲学的な深さを感じさせてくれます。
ただし、このモスクワライブの超絶技巧練習曲は音が悪すぎる。しかも僕のディスクだけかもしれませんが、音飛びがあります。曲数は減ってしまいますが、プラハライブの方が音はいいです。
余談ですが、以前「マイナーレーベルが出すリヒテルのリスト録音はレアになりがち」だと書いたことがありますが、このディスクもそんなに古いものではないのに、すでに品薄状態になりつつあります。なんでもっと多くプレスしとかないの?プレス枚数に制限か何かあるのでしょうか?
フランツ・リスト→ハンス・フォン・ビューロー→カール・H・バルト→ゲンリヒ・ネイガウス→スヴャトスラフ・リヒテル
関連記事:Richter plays Liszt (live, 1956-1961)
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January 17, 2006
アシュケナージ脅迫
冷戦下でソヴィエトの威信をかけた第1回チャイコフスキーコンクールをクライバーンという無名のアメリカ人の取られてしまい、ソヴィエト政府は「次こそは」と躍起になっていたそうです。そこで政府が目を付けたのが、ショパンコンクール2位、エリザベートコンクール優勝のアシュケナージです。しかしアシュケナージは乗り気ではなく、半ば脅迫めいた要請を受けることになります。
“「参加要請を受けぬ限り、君の将来のキャリアを保証しない。国外だけでなく、ソヴィエト国内でも。」と私は正式な通告を受けた。これが当局から脅迫を受けた初めての体験だった。”
後年アシュケナージはさらにこのようにも言ってます。
“ロシアは嘘で満たされた国です。その地で育てられた人間は、「自分が何が好きで、何が嫌いか」すらわからないほどに洗脳されてしまう。”
旧ソヴィエトのこの様な行為は決して許されるべきものではありません。まさに音楽家たちにとって苦難の時代だったことでしょう。しかしその一方で、政府による徹底された音楽家の教育システムにより、優れた演奏家を多数輩出したという事実は皮肉なものです。
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