ジョルジュ
February 27, 2011
Great Pianists of The 20th Century Vol.23
20世紀の偉大なるピアニストたち 23
ジョルジュ・シフラ
Disc.1
1. ポロネーズ 第2番 S.223/2 (リスト)<63>
2. ペトラルカのソネット 第123番 S.161/6 (リスト)<63>
3.-4. B.A.C.H.の主題による幻想曲とフーガ S.529 (リスト)<63>
5. ため息 S.144/3 (リスト)<63>
6. タランテラ S.162/3 (リスト)<63>
7. ラ・レジェレッツァ S.144/2 (リスト)<63>
8. 波を渡るパオラの聖フランチェスコ S.175/2 (リスト)<63>
9. 雪あらし S.139/12 (リスト)<58>
10. 《ポルティチの唖娘》による華麗なるタランテラ S.386 (オーベール=リスト)<58>
11. メフィストワルツ 第1番 S.514 (リスト)<61>
Disc.2
1.-12. 練習曲 Op.10 (全曲)(ショパン)<62>
13.-24. 練習曲 Op.25 (全曲)(ショパン)<62>
25. ポロネーズ 第6番 英雄 Op.53 (ショパン)<?>
音源: Philips, EMI
Philips 456 760-2
〔メモ〕
不屈の男ジョルジュ・シフラです。彼はジプシーの家系に生まれますが、一家は非常な貧困に喘いでいました。そして5歳のジェルジ少年は家計をささえるためにサーカスでピアノの即興演奏をして(させられて?)いました。そして9歳の時、幸運にもブダペストのフランツ・リスト・アカデミーに入学でき、そこでリスト直系ピアニストとも言えるエルンスト・ドホナーニに師事することになります。その後も従軍した際に捕虜になったり、成人してからも自分の妻子の生活を支えるためバーやクラブでピアノ演奏をしなければいけなかったり、政治犯として逮捕されたりと苦労話には事欠きません。おそらくシフラにとって最も悲痛だったと思われる事件は息子ジェルジ・シフラ・ジュニアの火事による死ではないでしょうか。
こういうことをピアノ演奏に結びつけるのは安易な考えかもしれませんが、彼がジプシーの血を受け継いでいることや、非常な苦労をしてそれでも負けなかった不屈の精神というものは、やはり彼の演奏に反映されてるように思えてなりません。このディスクでは残念ながらハンガリー狂詩曲は収録されていませんが、ポロネーズやタランテラなどの舞曲における「シフラ節」はやはりツィゴイネル(ジプシー的)なものを感じる。
フランツ・リスト→オイゲン・ダルベール→エルンスト・ドホナーニ→ジョルジュ・シフラ
フランツ・リスト→イシュトヴァン・トマーン→エルンスト・ドホナーニ→ジョルジュ・シフラ
フランツ・リスト→イシュトヴァン・トマーン→ジェルジ・フェレンチ→ジョルジュ・シフラ
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January 27, 2011
Legendary Performances Vol.6
ジョルジュ・シフラ
鍵盤上の指の疾駆
“シフラの手がはやすぎて、何をしてるかわからなかったよ!”とピアニストのタマーシュ・ヴァーシャリは嬉しそうに語っていました。ギャロップというのはもともと「馬の疾駆」を意味するらしいのですが、シフラの演奏する「半音階的大ギャロップ」は正に鍵盤上をシフラの指が駆け巡る痛快な演奏。これぞ男シフラのド根性ピアニズム!
リヒテルは宇宙と交信してるかのように音楽を広大に繰り広げた。ホロヴィッツは悪魔と契約を交わしていたかのように変幻自在のピアニズムを繰り広げた。しかしシフラには「宇宙との交信」も「悪魔との契約」もない。シフラにあるのは「強靭な指、肉体」と「ド根性」だ。これはチープで陳腐な見世物ではない。ピアノ演奏芸術という牙城に、その肉体一つで挑む熱き男の魂の闘争である。
この演奏は是非映像付きでご覧ください。
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