ハンガリー狂詩曲

March 17, 2016

リストのややこしい事4 -ラーコーツィ行進曲編-

ラーコーツィ行進曲はハンガリーの民俗旋律で国民に親しまれた旋律です。ハンガリーの国歌「賛称」が制定される前、ラーコーツィ行進曲は非公式の国歌のような扱いだったそうです。フェレンツ・ラーコーツィⅡ世が好んだためこの名前が付けられました。日本ではラコッツィ行進曲と呼ばれることもあります。リストもこの旋律にちなんだ曲をいくつか書いています。ここではピアノ独奏曲をまとめてみたいと思います。

試聴はこちらからどうぞ(YouTube)

● 代表グループ
- 〔A〕ハンガリー狂詩曲 第15番 ラーコーツィ行進曲 S.244/15
- 〔B〕ハンガリー狂詩曲 第15番 ラーコーツィ行進曲 〔異稿〕 S.244/15bis
- 〔C〕ラーコーツィ行進曲 〔普及稿〕 S.244c
まず「リストのラーコーツィ行進曲」と言えばハンガリー狂詩曲のもの〔A〕を指します。リストの代表曲の一つとして親しまれています。〔B〕はそのオッシアを演奏した異稿であり、〔C〕は〔A〕を簡素にしたものです。

● 前身グループ
- 〔D〕マジャール狂詩曲 第13番 ラーコーツィ行進曲 S.242/13
- 〔E〕ハンガリーの民俗旋律 (ラーコーツィ行進曲 マジャール狂詩曲 第13番a) S.242/13a
- 〔F〕ジプシーの叙事詩 第7番 ラーコーツィ行進曲 S.695b/7 
マジャール狂詩曲という曲集はハンガリー狂詩曲集の前身となるものです。つまり〔D〕が発展して〔A〕となります。〔E〕は〔D〕の簡易稿です。〔F〕は楽譜が書かれておらず「マジャール狂詩曲 第13番(おそらく簡易稿)を挿入するように」という指示があるだけなので、つまり〔E〕=〔F〕となります。

● 編曲グループ 
- 〔G〕ラーコーツィ行進曲 〔管弦楽稿より編曲〕 S.244a
- 〔H〕ラーコーツィ行進曲 〔管弦楽稿より簡易編曲〕 S.244b 
リストはラーコーツィ行進曲の旋律を使用して管弦楽作品も書いている。〔G〕はそのトランスクリプションであり、〔H〕は〔G〕の簡易稿。 

● その他グループ
- 〔I〕ラーコーツィ行進曲 〔第1稿〕 S.242a
- 〔J〕ラーコーツィ行進曲 〔第1稿・異稿〕 S.692d
- 〔K〕アルバムリーフ "ラーコーツィ行進曲" S.164f 
〔I〕は1839年辺りに書かれた、ラーコーツィ行進曲を使用した最初期のピアノ作品。〔J〕は〔I〕の簡易稿だが未完。〔K〕は戯れに書いたと思われる20秒弱の楽想。

● ホロヴィッツ
- ラーコーツィ行進曲 〔ホロヴィッツ編〕
ベルリオーズもラーコーツィ行進曲を使用した管弦楽作品を書いている。そのベルリオーズ版の編曲とリストのピアニズムを参考にしてホロヴィッツが再編成したものがこのホロヴィッツ版ラーコーツィ変奏曲。
ホロヴィッツ版の試聴はこちらからどうぞ(YouTube) 

関連記事: リストのややこしい事1 -アヴェ・マリア編- 
関連記事: リストのややこしい事2 -悲しみのゴンドラ編-
関連記事: リストのややこしい事3 -子守歌編- 


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June 14, 2013

BOROWSKY plays LISZT

アレクサンドル・ボロフスキー

BOROWSKY plays LISZT 

borowsky liszt

Disc.1
1. ハンガリー狂詩曲 第1番 S.244/1 
2. ハンガリー狂詩曲 第2番 S.244/2 
3. ハンガリー狂詩曲 第3番 S.244/3 
4. ハンガリー狂詩曲 第4番 S.244/4 
5. ハンガリー狂詩曲 第5番 S.244/5 
6. ハンガリー狂詩曲 第6番 S.244/6 
7. ハンガリー狂詩曲 第7番 S.244/7 
8. ハンガリー狂詩曲 第8番 S.244/8
9. ハンガリー狂詩曲 第9番 S.244/9 
10. ハンガリー狂詩曲 第10番 S.244/10 
11. ハンガリー狂詩曲 第11番 S.244/11 

Disc.2
1. ハンガリー狂詩曲 第12番 S.244/12
2. ハンガリー狂詩曲 第13番 S.244/13 
3. ハンガリー狂詩曲 第14番 S.244/14
4. ハンガリー狂詩曲 第15番 S.244/15
5. 泉のほとりで S.160/4 
6.-8. 協奏曲 BWV1052 (バッハ=ブゾーニ)* 
9.-11. 協奏曲 BWV1056 (バッハ)* 
12. 幻想曲とフーガ S.463 (バッハ=リスト) 

*ウジェーヌ・ビゴー指揮/ラムルー管弦楽団 

Pearl GEMM CDS 9235 
Recorded: 1935-1938 

〔メモ〕
ボロフスキーは最初は母ヴェラ・ヴェンゲーロワにピアノを学び、ペテルブルク音楽院ではアンナ・エシポワに師事します。母はサフォノフの弟子であり、エシポワはレシェティツキーの弟子で妻でもありました。つまり「レシェティツキー→サフォノフ→V.ヴェンゲーロワ→ボロフスキー」と「レシェティツキー→エシポワ→ボロフスキー」という流れがあり、ボロフスキーはレシェティツキー直系ピアニストと言えるでしょう。
19世紀のピアニストの2大流派といえば共にチェルニー門下であったリスト派とレシェティツキー派です。個人的に面白く感じるのは、「録音」というものが始まった最初期にリストのハンガリー狂詩曲を積極的に録音していたのはレシェティツキーの系譜に属するマルク・ハンブルグ、アレクサンドル・ボロフスキー、アレクサンダー・ブライロフスキーたちだということです。ハンブルグは1番~14番+ラーコーツィ行進曲普及版をHMVに、ボロフスキーは1番~15番までをポリドールに(当CD)、ブライロフスキーも1番~15番までをRCAにそれぞれ録音しています。
ハンガリー狂詩曲の演奏として、レシェティツキー派のハンブルグやリスト派のシフラと比べると、彼らが強引さやエグさのある演奏だとするならば、ボロフスキーの演奏はさらりと流れる流麗さがあります。洗練された趣味の良さをも持ち合わせています。バッハ作品も明晰で素晴らしい。

ちなみにボロフスキーは後年ハンガリー狂詩曲の完全全集(1番~19番)も録音しています。そちらはおそらくCD化されていないと思います。


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November 07, 2012

LISZT Intégrale des Rhapsodies Hongroises: Setrak

セトラク

LISZT Intégrale des Rhapsodies Hongroises

setrak rhapsodies

Disc.1
1. ハンガリー狂詩曲 第1番 S.244/1  
2. ハンガリー狂詩曲 第2番 〔カデンツァ:ダルベール〕 S.244/2 
3. ハンガリー狂詩曲 第3番 S.244/3
4. ハンガリー狂詩曲 第4番 S.244/4 
5. 悲劇的な英雄の詩 S.242/12
6. ハンガリー狂詩曲 第5番 S.244/5
7. ハンガリー狂詩曲 第6番 S.244/6 
8. ハンガリー狂詩曲 第7番 S.244/7
9. ハンガリー狂詩曲 第8番 カプリッチオ S.244/8

Disc.2
1. ハンガリー狂詩曲 第9番 ペシュトの謝肉祭 S.244/9
2. ハンガリー狂詩曲 第10番 S.244/10 
3. ハンガリー狂詩曲 第11番 S.244/11 
4. ハンガリー狂詩曲 第12番 S.244/12 
5. ハンガリー狂詩曲 第13番 S.244/13
6. ハンガリー狂詩曲 第14番 S.244/14
7. ハンガリー狂詩曲 第15番 ラーコーツィ行進曲 S.244/15
8. ハンガリー狂詩曲 第16番 S.244/16
9. ハンガリー狂詩曲 第17番 S.244/17

Disc.3 
1. ハンガリー狂詩曲 第18番 S.244/18
2. ハンガリー狂詩曲 第19番 S.244/19
3. スペイン狂詩曲 S.254 
4. ルーマニア狂詩曲 S.242/20 
5. マジャールの歌 第1番 S.242/1
6. マジャールの歌 第2番 S.242/2 
7. マジャールの歌 第3番 S.242/3
8. マジャールの歌 第6番 〔カデンツァ付〕 S.242/6
9. マジャールの歌 第8番 S.242/8 
10. マジャールの歌 第9番 S.242/9 
11. マジャールの歌 第10番 S.242/10 

LE CHANT DU MONDE LDC 278.801/3 
Recorded: 1986 

〔メモ〕
トルコ出身で、パリ音楽院にてコルトー、ロン、ルフェビュールにピアノを師事したセトラクです。ハンガリー狂詩曲の全集はたくさんありますが、ここまで徹底して関連作品まで含めた全集は珍しいです(ハワードやヨハンセンの全集もありますが)。まず19のハンガリー狂詩曲の最終稿があり、そしてそれらとともに出版される機会の多いスペイン狂詩曲があります。マジャールの歌は抜粋で収録されてますが、例えばここに収録されていない4番、5番、11番はハンガリー狂詩曲6番と最終的になる曲なので省略されています。それからマジャール狂詩曲の第12番である悲劇的な英雄の詩(トラック〔5〕)とマジャール狂詩曲第20番の通称「ルーマニア狂詩曲」も収録されています。
僕はハンガリー狂詩曲の演奏に関しては激しさやアクの強さのあるものが好きですが、彼の演奏は微熱的であり、激しさはありません。良く言えば真面目な演奏です。ハンガリー狂詩曲では若干の物足りなさを感じますが、一方スペイン狂詩曲やルーマニア狂詩曲では彼のピアニズムが良い形で作用していて満足度が高いです。 

なおハンガリー狂詩曲19番は一部ブゾーニ版を使用して演奏しています。

ちなみにブックレットの解説は高名なリスト研究家セルジュ・グートによるものです。


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July 26, 2012

MARK HAMBOURG : Liszt

マルク・ハンブルグ

Liszt The Hungarian Rhapsody recordings 

Hambourg liszt

Disc.1
  ハンガリー狂詩曲 S.244
1. 第1番
2. 第2番 〔カデンツァ付〕
3. 第3番
4. 第4番 悲劇的な英雄の詩
5. 第5番
6. 第6番
7. 第7番
8. 第8番
9. 第9番 ペシュトの謝肉祭
10. 第10番
11. 第11番

Disc.2
  ハンガリー狂詩曲 S.244
1. 第12番
2. 第13番
3. 第14番
4. ラーコーツィ行進曲 〔普及稿〕 S.244c 
5. 第2番 〔カデンツァ付〕
6. 第14番
7.-9. 悲愴協奏曲 S.258* 

*Pf: マイカル・ハンブルグ  

apr APR 7040 
Recorded: 1926-1935 

〔メモ〕 
歴史上初めてハンガリー狂詩曲の全集を録音したピアニストとして知られるマルク・ハンブルグです。昔はハンガリー狂詩曲1番から15番までとスペイン狂詩曲がセットで出版されることが多く、15番までで「ハンガリー狂詩曲全集」とみなされていました(16番~19番はあまり知られていなかった)。
ハンブルグは最初父ミハイル・ハンブルグにピアノの手解きを受けますが、父ミハイルはニコライ・ルビンシテイン(ロシアピアニズムの始祖のひとり/モスクワ音楽院創設者)とセルゲイ・タネーエフ(N.ルビンシテインの弟子/名教師)に師事したピアニストです。そしてその後マルク・ハンブルグは19世紀リストと並んで最も偉大な教師と言われたレシェティツキに3年間師事しました。
さて彼の演奏ですが「フリーダム」の一言に尽きます。至る所に即興フレーズを散りばめ、リズムやテンポは急に変更されたり崩されたり、ミスタッチなどお構いなしで、実に生き生きした演奏。正確に演奏された現代の演奏録音に慣れている方が彼の録音を聴いたら「金返せ!」と怒りだす人もいるかもしれません(笑)。しかしこれはいい加減に演奏されているわけではなく、彼のポリシーを貫いた結果なのです。彼はインタビューでことあるごとに「冷酷な正確さ」が音楽性を犠牲にしていると主張していました。演奏哲学は演奏家の数だけあってよいのです。  

このディスクは個人的にはすごく面白く聴けます。第2番の録音は2度とも同じようなカデンツァが演奏されていますが、これも笑える面白さ。14番は曲が原型を留めていない。「ハンガリー狂詩曲第14番風インプロヴィゼーション」とでも呼べそうな演奏です。ラーコーツィ行進曲は「ハンガリー狂詩曲第15番」の簡易稿とも言える「普及稿」が演奏されています。

2台ピアノ曲「悲愴協奏曲」で共演しているマイカル・ハンブルグはマルクの娘です。


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February 28, 2012

Shura Cherkassky Live : volume 5 Liszt

シューラ・チェルカスキー 

Live: volume 5 Liszt 

cherkassky decca

1.-2. 幻想曲とフーガ BWV542 S.463 (バッハ=リスト)
3.-5. ピアノソナタ S.178 
6. ハンガリー狂詩曲 第2番 S.244/2 
7. ハンガリー狂詩曲 第12番 S.244/12
8. ハンガリー狂詩曲 第13番 S.244/15 
9. ハンガリー狂詩曲 第15番 ラーコーツィ行進曲 S.244/15 
10. 愛の夢 第3番 S.541/3 

Decca 433 656-2
Recorded: 1970-1991 

〔メモ〕
BBCの管理するライブ音源をDeccaレーベルが発売したチェルカスキーのライブシリーズの第5巻で、リストの音源を集めたディスクになります。彼はフランツ・リスト生誕から100年後にあたる1911年に誕生しました。そして生まれはウクライナのオデッサですが、アメリカのカーティス音楽院でヨゼフ・ホフマンに師事したチェルカスキーです。
彼が最も得意としていたのは師ホフマン同様にロマン派の作品であり、特にショパン、シューマン、リストは彼のレパートリーの中心になっていました。ここでの彼の演奏はチャーミングです。ちょこまかと動き回ったり、たっぷりロマンティックに歌ったり、エレガントに振る舞ったりと表情が目まぐるしく変わります。チェルカスキーの茶目っ気が面白い演奏です。最も素晴らしいと思ったのが、意外にもバッハ編曲の幻想曲とフーガでした。バロック作品をロマンティックに演奏するとバランスが悪くなることがありますが、チェルカスキーは伸び伸びと美しく歌いバランスも取りながらうまく仕上げています。

フランツ・リスト→オイゲン・ダルベール→ヨゼフ・ホフマン→シューラ・チェルカスキー 

関連記事: Shura Cherkassky plays Liszt  


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September 23, 2011

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.34

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
ハンガリー狂詩曲 2 

Disc.34 
  ハンガリー狂詩曲 S.244
1. 第10番 
2. 第11番
3. 第12番
4. 第13番
5. 第14番
6. 第15番 - ラーコーツィ行進曲
7. 第16番 〔第2稿〕
8. 第17番
9. 第18番 〔コーダ最終稿〕
10. 第19番 - K.アーブラーニの《高雅なチャールダーシュ》による 

Hyperion CDA67418/9
Recorded: 1998 

〔メモ〕 
Disc.33のつづき。 〔1〕~〔10〕演奏効果が高く、良く知られた作品集。リストの愛国心の結晶。ハンガリー民謡やジプシーの音楽を基にして作った「マジャールの歌とマジャール狂詩曲」(Disc.31, Disc.32)、「ジプシーの叙事詩」を前身とする作品群。ほとんどの曲が「ラッシュー」という緩徐部と「フリッシュ」という急速部により成り立っている(例外もある)。 〔1〕「マジャール狂詩曲 第16番」を改訂したもの。 〔2〕「マジャール狂詩曲 第14番」を改訂したもの。 〔3〕人気のある作品。「マジャール狂詩曲 第18番」を改訂したもの。一部ブラームスの「ハンガリー舞曲 第15番」と共通の旋律がある。 〔4〕「マジャール狂詩曲 第17番」を改訂したもの。急速部の旋律はサラサーテもその有名作品「ツィゴイネルワイゼン」で使用している。 〔5〕「マジャール狂詩曲 第21番」を改訂したもの。ただしコーダは「マジャール狂詩曲 第22番」のものを転用。ピアノと管弦楽による作品「ハンガリー幻想曲」はこの作品の協奏稿と言ってよい。 〔6〕「マジャール狂詩曲 第13番」の改訂稿。リストはこのハンガリーの国民的旋律ともいえるラーコーツィ行進曲を基にいくつかの作品を書いている。関連作品の「ラーコーツィ行進曲 〔管弦楽稿より編曲〕」はDisc.22に、「ラーコーツィ行進曲 〔第1稿〕」はDisc.30に収録。 〔7〕~〔10〕第16番から第19番は晩年作品。第1番から第15番までが民謡やジプシーの旋律を基にしているのに対し、これらはほとんどリストのオリジナル作品。 〔7〕パリにいたリストの友人でハンガリーの画家であるミハーイ・ムンカーチがブダペストを訪問することを祝して書かれた作品。 〔8〕リストのオリジナル作品。もともとパリの新聞「フィガロ紙」のために書かれたもの。 〔9〕リストのオリジナル作品。「1885年ブダペストのハンガリー展覧会のために」作曲された。 〔10〕コルネール・アーブラーニ(・シニア)の「高雅なチャールダーシュ」に基づく作品で、アーブラーニへ献呈。なぜかよく編曲され、ブゾーニ編、ホロヴィッツ編、シフラ編などがある。

Disc.33へ 
Disc.35へ 




HMV : レスリー・ハワード リスト ピアノ作品全集
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September 16, 2011

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.33

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
ハンガリー狂詩曲 1 

Disc.33
  ハンガリー狂詩曲 S.244 
1. 第1番
2. 第2番 〔カデンツァ:リスト〕
3. 第3番
4. 第4番
5. 第5番 - 悲劇的な英雄の詩 
6. 第6番 
7. 第7番
8. 第8番
9. 第9番 - ペシュトの謝肉祭 

Hyperion CDA67418/9
Recorded: 1998 

〔メモ〕
〔1〕~〔9〕演奏効果が高く、良く知られた作品集。リストの愛国心の結晶。ハンガリー民謡やジプシーの音楽を基にして作った「マジャールの歌とマジャール狂詩曲」(Disc.31, Disc.32)、「ジプシーの叙事詩」を前身とする作品群。ほとんどの曲が「ラッシュー」という緩徐部と「フリッシュ」という急速部により成り立っている(例外もある)。全19曲の曲集で、第10番以降のつづきはDisc.34へ。 〔1〕曲集「コンソレーション」の第1稿(Disc.26)の第3番を基にした未完成の作品「夢想と幻想」を改訂したもの。 〔2〕リストの作品で最も知られた作品のひとつ。アニメ作品でもミッキーマウス、バッグス・バニー、トムとジェリーに演奏させるほどの人気作品。終盤にカデンツァを自由に挿入していい箇所があり、リスト自身もカデンツァを2つ書いている。ここに収録されているカデンツァはリストが弟子のアントニア・ラープのために書いたもの。他に有名なカデンツァとしてはダルベールとラフマニノフの書いたものもある。管弦楽稿あり。 〔3〕「マジャールの歌 第11番」の前半部を素材とした作品。 〔4〕「マジャールの歌 第7番」を改訂したもの。 〔5〕「マジャール狂詩曲 第12番」を大幅に改訂したもの。 〔6〕第2番につづきこの第6番も非常に人気がある。「ハンガリーの民俗旋律」(Disc.30)や「マジャール狂詩曲 第20番」の一部を素材とした作品。 〔7〕「マジャール狂詩曲 第15番」を改訂した作品。 〔8〕「マジャール狂詩曲 第19番」を改訂した作品。急速部の主題はブラームスも「ハンガリー舞曲 第3番」で使用している。 〔9〕「マジャール狂詩曲 第22番」を改訂したもの。 

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September 09, 2011

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.32

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
マジャールの歌 ・ マジャール狂詩曲 2 

Disc.32
  マジャールの歌とマジャール狂詩曲 S.242  
1. マジャール狂詩曲 第16番
2. マジャール狂詩曲 第17番
3. マジャール狂詩曲 第18番
4. マジャール狂詩曲 第19番 
5. マジャール狂詩曲 第20番 - ルーマニア狂詩曲
6. マジャール狂詩曲 第21番
7. マジャール狂詩曲 第22番 - ペシュトの謝肉祭 

Hyperion CDA66851/2
Recorded: 1993

〔メモ〕
Disc.31のつづき。 〔1〕~〔7〕リストがハンガリーで聴いた音楽を素材とした作品。これらの素材がハンガリーの民謡なのか、ジプシーの音楽なのかの出所をリストはあまり気にしていなかった。「ハンガリー狂詩曲」(Disc.33, Disc.34)の前身とも言える曲集。 〔1〕「ハンガリー狂詩曲 第10番」の前身。 〔2〕「ハンガリー狂詩曲 第13番」の前身。 〔3〕「ハンガリー狂詩曲 第12番」の前身。ロシア全集版にて1973年に初出版される。 〔4〕「ハンガリー狂詩曲 第8番」の前身。ロシア全集版にて1973年に初出版される。 〔5〕通称「ルーマニア狂詩曲」。「ハンガリー狂詩曲 第6番」や「ハンガリー狂詩曲 第12番」の素材が現れる。ブゾーニが「ハンガリー狂詩曲 第20番」という名で編修したため、多くの研究者がこの曲が後の曲集「ハンガリー狂詩曲」の第20番だと勘違いし混乱がおこる。1936年にオクタヴィアン・デューが「ルーマニア狂詩曲」というタイトルで出版。要するに「マジャール狂詩曲 第20番」=「ハンガリー狂詩曲 第20番 ブゾーニ版」=「ルーマニア狂詩曲」。 〔6〕「ハンガリー狂詩曲 第14番」やピアノと管弦楽の「ハンガリー幻想曲」の前身。ロシア全集版にて1973年に初出版される。 〔7〕基本的には「ハンガリー狂詩曲 第9番」の前身。コーダ部は「ハンガリー狂詩曲 第14番」のコーダとして転用される。ピアノトリオ稿あり。

※マジャール狂詩曲という呼称について
マジャールというのはハンガリーと同義です。だから例えばマジャール人とはハンガリー人のことですし、マジャール語はハンガリー語のことです。「じゃあマジャール狂詩曲ってハンガリー狂詩曲じゃないの?」と疑問に思うと思うのですが、まったくその通りです。じゃあなぜ「マジャール狂詩曲」という呼称を使うかというと、後の曲集「ハンガリー狂詩曲」との混同を避けるためです。原題(ハンガリー語)は「Magyar Rapsodiak」ですがこれをそのまま素直に訳すと「ハンガリー狂詩曲」になってしまいます。リストの伝記を執筆された福田弥氏がその著書で混同を避けるため便宜上この「マジャール狂詩曲」という呼称を使用してました。僕もその意見に賛成です。
ちなみに欧米圏(ヨーロッパ言語圏)でもこれら混同をさけるため初期稿の方はハンガリー語「Magyar Rapsodiak」で呼ぶことが多いそうです。

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September 02, 2011

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.31

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
マジャールの歌 ・ マジャール狂詩曲 1

Disc.31
  マジャールの歌とマジャール狂詩曲 S.242
  マジャールの歌 - ハンガリーの民俗旋律
1. マジャールの歌 第1番
2. マジャールの歌 第2番
3. マジャールの歌 第3番
4. マジャールの歌 第4番
5. マジャールの歌 第5番
6. マジャールの歌 第6番
7. マジャールの歌 第7番
8. マジャールの歌 第8番
9. マジャールの歌 第9番
10. マジャールの歌 第10番
11. マジャールの歌 第11番
  マジャール狂詩曲集
12. マジャール狂詩曲 第12番 - 悲劇的な英雄の詩
13. マジャール狂詩曲 第13番 - ラーコーツィ行進曲
14. マジャール狂詩曲 第14番
15. マジャール狂詩曲 第15番

Hyperion CDA6851/2 
Recorded: 1993

〔メモ〕
〔1〕~〔15〕リストがハンガリーで聴いた音楽を素材とした作品。これらの素材がハンガリーの民謡なのか、ジプシーの音楽なのかの出所をリストはあまり気にしていなかった。「ハンガリー狂詩曲」(Disc.33, Disc.34)の前身とも言える曲集。第1番~第11番までは先に出版され、そして第12番以降が出版される際にタイトルが変わってしまっている。続きはDisc.32へ。 〔4〕「ハンガリーの民俗旋律 第2番」(Disc.30)と同一の曲。最終的に「ハンガリー狂詩曲 第6番」の素材として転用される。 〔5〕後に改訂され「ハンガリーの民俗旋律 第1番」(Disc.30)となる。最終的に「ハンガリー狂詩曲 第6番」の素材として転用される。 〔7〕「ハンガリー狂詩曲 第4番」の前身。 〔10〕前半部は後にピアノと管弦楽の「ハンガリー幻想曲」へ転用される。 〔11〕前半部の主題は「ハンガリー狂詩曲 第3番」で使用される。後半部は後に改訂され「ハンガリーの民俗旋律 第3番」(Disc.30)となり、最終的に「ハンガリー狂詩曲 第6番」の素材として転用される。 〔12〕「ハンガリー狂詩曲 第5番」の前身。 〔13〕「ハンガリー狂詩曲 第15番」の前身。 〔14〕「ハンガリー狂詩曲 第11番」の前身。 〔15〕「ハンガリー狂詩曲 第7番」の前身。

※マジャール狂詩曲という呼称について
マジャールというのはハンガリーと同義です。だから例えばマジャール人とはハンガリー人のことですし、マジャール語はハンガリー語のことです。「じゃあマジャール狂詩曲ってハンガリー狂詩曲じゃないの?」と疑問に思うと思うのですが、まったくその通りです。じゃあなぜ「マジャール狂詩曲」という呼称を使うかというと、後の曲集「ハンガリー狂詩曲」との混同を避けるためです。原題(ハンガリー語)は「Magyar Rapsodiak」ですがこれをそのまま素直に訳すと「ハンガリー狂詩曲」になってしまいます。リストの伝記を執筆された福田弥氏がその著書で混同を避けるため便宜上この「マジャール狂詩曲」という呼称を使用してました。僕もその意見に賛成です。
ちなみに欧米圏(ヨーロッパ言語圏)でもこれら混同をさけるため初期稿の方はハンガリー語「Magyar Rapsodiak」で呼ぶことが多いそうです。

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June 14, 2011

Georges Cziffra: Ses Enregistrements Studio

ジョルジュ・シフラ

Ses Enregistrements Studio 1956 -1986

cziffra emi

《エフゲニー・オネーギン》のポロネーズ S.429 (チャイコフスキー=リスト)<56>
《リゴレット》パラフレーズ S.434 (ヴェルディ=リスト)<59>
《ポルティチの唖娘》による華麗なるタランテラ S.386 (オーベール=リスト)<58>
《ファウスト》のワルツ S.407 (グノー=リスト)<58>
結婚行進曲と妖精の踊り (《真夏の夜の夢》より) S.410 (メンデルスゾーン=リスト)<59>
《タンホイザー》序曲 S.442 (ワーグナー=リスト)<59>
ナイチンゲール S.250/1 (アリャビエフ=リスト)<58>
ラ・カンパネラ S.141/3 (パガニーニ=リスト)<59> 
ハンガリー狂詩曲 第1番~第15番 S.244/1-15 <56/57> 
スペイン狂詩曲 S.254 <56>
エステ荘の噴水 S.163/4 <57>
忘れられたワルツ 第1番 S.215/1 <57>
即興ワルツ S.213 <57>
愛の夢 第3番 S.541/3 <57> 
半音階的大ギャロップ S.219 <57>
超絶技巧練習曲 S.139 (全曲)<57/58>
メフィストワルツ 第1番 S.514 <57>
小人の踊り S.145/2 <57>
愛の夢 第3番 S.541/3 <77/78>
忘れられたワルツ 第1番 S.215/1 <77/78>
即興ワルツ S.213 <77/78>
パガニーニ大練習曲 第5番 狩り S.141/5 <73>
2つの演奏会用練習曲 S.145 (全曲)<70/69>
ラ・カンパネラ S.141/3 (パガニーニ=リスト)<69>
バラード 第2番 S.171 <78>
ポロネーズ 第1番 S.223/1 <78>
ピアノソナタ S.178 <68>
ハンガリー狂詩曲 第1番~第15番 S.244/1-15 <72-75>
ハンガリー狂詩曲 第16番 S.244/16 〔シフラ編〕<72-75>
ハンガリー狂詩曲 第19番 S.244/19 〔シフラ編〕<72-75>
小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ S.175/1 <77>
葬送曲 S.173/7 <70>
巡礼の年 第1年 スイス S.160 (全曲)<75>
巡礼の年 第2年 イタリア S.161 (全曲)<75/68>
巡礼の年 第2年 補遺 ヴェネツィアとナポリ S.162 (全曲)<76>
巡礼の年 第3年 S.163 (全曲)<76>
メフィストワルツ 第1番 S.514 <85/86>
エステ荘の噴水 S.163/4 <85/86>
即興ワルツ S.213 <85/86>
ウイーンの夜会 第6番 S.427/6 (シューベルト=リスト)<85/86>
波を渡るパオラの聖フランチェスコ S.175/2 <85/86>
雪あらし S.139/12 <85/86>
回想 S.139/9 <85/86>
いざ楽しまん - フモレスケ S.509 <85/86>
ポロネーズ 第2番 S.223/2 <Philips/63>
ペトラルカのソネット 第123番 S.161/6 <Philips/63>
B.A.C.H.の主題による幻想曲とフーガ S.529 <Philips/63>
ため息 S.144/3 <Philips/63>
タランテラ S.162/3 <Philips/63>
ラ・レジェレッツァ S.144/2 <Philips/63>
波を渡るパオラの聖フランチェスコ S.175/2 <Philips/63>
乙女の願い S.480/1 (ショパン=リスト)<75>
愛しい人 S.480/5 (ショパン=リスト)<75>
ポロネーズ 第2番 S.223/2 <81>
超絶技巧練習曲 第10番 S.139/10 <81>
ピアノ協奏曲 第1番 S.124 <69>*
ピアノ協奏曲 第2番 S.125 <69>*
ハンガリー幻想曲 S.123 <68>*
死の舞踏 S.126 <68>*
ピアノ協奏曲 第1番 S.124 <61>"
ピアノ協奏曲 第2番 S.125 <58>"
ハンガリー幻想曲 S.123 <64>"
死の舞踏 S.126 <64>"
ピアノ協奏曲 第1番 S.124 <57>#
ハンガリー幻想曲 S.123 <57>#
即興ワルツ S.213 <56>
超絶技巧練習曲 第10番 S.139/10 <56>

*ジェルジ・シフラJr.指揮/パリ管弦楽団
"アンドレ・ヴァンデルノート/フィルハーモニア管弦楽団
#ピエール・デルヴォー/フランス国立放送管弦楽団

EMI 50999 213251 2 0

〔メモ〕
シフラがEMIとPhilipsに残した全録音集のCD40枚組ボックスです。上記の収録曲目はリスト作品のみの抜粋となります。以前ブレンデルの項で「リストは多面的な芸術家であり、それぞれのピアニストのリスト作品へのアプローチも様々です」と僕は書きましたが、シフラはブレンデルと対極に位置するピアニストと言ってもいいのではないでしょうか。演奏解釈が全く違うのはもちろん、レパートリーで言っても例えばブレンデルは超絶技巧練習曲を弾かないし、シフラは灰色の雲や悲しみのゴンドラを弾かない。どちらが良いとか、どちらが正しいという話をしてるのではないです。それぞれのピアニストのアプローチの仕方によって、「リスト像」が聴衆へそれぞれ異なった形で伝わるということです。シフラ、ブレンデル、アラウ、ボレットの4人はリスト受容に最も決定的な影響を与えたピアニストたちでしょう。しかも4人それぞれがまったく違った形でです。全く違ったリスト像を提示されると聴衆は混乱するかもしれませんが、演奏者ごとに違ったリスト像があるからこそリスト作品を聴く楽しみが膨らむのだと僕は思っています。
シフラの演奏は燃え上がる炎のような技巧、そして男臭く泥臭いド根性ピアニズムにより聴いている者を興奮させます。特に素晴らしいと思ったのはタランテラ、ポロネーズ、半音階ギャロップなどの舞曲です。そして当然の如く忘れちゃいけないのは2回におよぶハンガリー狂詩曲集の録音でしょう。ハンガリー狂詩曲は多くがハンガリージプシーの音楽を基にしていますが、シフラもジプシーの血を受け継いでいます。彼によるこの「哀愁のジプシー節」により演奏されたこれらマジャールのラプソディーは名演であることはもちろん、歴史的・資料的価値も非常に高いと僕は考えています。

イギリスの著名な批評家ブライス・モリソンは「シフラはイカロスのように危険を冒し太陽へ近づいてゆく。そのボルテージにより、彼は魔術師のようにオーラと興奮を創出するのだ」とシフラを評しています。

フランツ・リスト→オイゲン・ダルベール→エルンスト・ドホナーニ→ジョルジュ・シフラ 
フランツ・リスト→イシュトヴァーン・トマーン→ジェルジ・フェレンチ→ジョルジュ・シフラ 

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