バッハ変奏曲

May 20, 2011

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.16

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
幻想曲 ・ 変奏曲 ・ 葬送頌歌 ・ 演奏会用独奏曲

Disc.16
1. B-A-C-Hの主題による幻想曲とフーガ S.529ii
2. "泣き、嘆き、憂い、おののき" 前奏曲 (バッハ) S.179
3. "泣き、嘆き、憂い、おののき" バッハの動機による変奏曲 S.180
  3つの葬送頌歌
4. 死者たち - 弔辞 S.516 
5. 夜 S.516a
6. タッソーの葬送的凱旋 S.517
7. 演奏会用大独奏曲 S.176

Hyperion CDA66302
Recorded: 1988

〔メモ〕
〔1〕「B-A-C-Hの主題」というのはバッハの名をドイツ音名で「ベー(シ♭)」、「アー(ラ)」、「ツェー(ド)」、「ハー(シ)」と当てはめたもの。オルガン曲の「B-A-C-Hの主題による前奏曲とフーガ」をピアノへ編曲し、そしてさらなる改訂の際にタイトルを「前奏曲と~」の部分を「幻想曲と~」と変えたもの。もともとこの曲はリスト自身による即興演奏から作られたもの。ちなみにJ.S.バッハ自身による同工の曲「B-A-C-Hの主題による前奏曲とフーガ BWV898」もあるが、偽作の疑いがあるとのこと(グールドの録音あり)。 〔2〕〔3〕両曲ともにアントン・ルビンシテインへ献呈。この2曲が新リスト全集にて「編曲作品」のカテゴリーに入れられてることに対しハワードは「ブラームスのヘンデル変奏曲を編曲作品とすることがないのと同様に、これらは完全なるオリジナル作品なのでそこに含むのはおかしい」と主張。 〔2〕前奏曲というタイトルが付いているが、実質的にはパッサカリア(変奏曲)。主題はバッハのカンタータ「泣き、嘆き、憂い、おののき」から。 〔3〕通称「バッハ変奏曲」。娘ブランディーヌの死に直面し失意の底で書かれた。主題は〔2〕同様バッハのカンタータより。正式名称は「バッハの動機による変奏曲 (ヨハン・ゼバスティアン・バッハのカンタータ《泣き、嘆き、憂い、おののき》とロ短調ミサの《クルチフィクスス》の通奏低音による)」。コーダの前にコラール「神なし給う御業こそいと善けれ」からの引用あり。ちなみにそのコラールのリストによるピアノ独奏編曲もある(Disc.18)。 〔4〕~〔6〕管弦楽版をはじめ様々な版がある。ハワードによるとリストはこの3曲は(抜粋ではなく)全曲演奏されることを意図したとのこと。 〔4〕息子ダニエルの死を悼んで。ラムネーの詩「オレゾン(弔辞)」に基づいて作曲された。 〔5〕巡礼の年第2年(Disc.10)の第2曲「物思いに沈む人」の拡大編曲。タイトルはミケランジェロの詩から。あまり演奏されないがツィマーマンやダルベルトの録音あり。 〔6〕「交響詩《タッソー、悲劇と勝利》へのエピローグ」という別名あり。楽譜には序文としてピエラントニオ・セラッシによるタッソーの葬送の説明文がある。交響詩との共通主題もあり。 〔7〕ロ短調ソナタを予見しているような作品。パリ音楽院の試験の課題曲として作られる。アドルフ・ヘンゼルトへ献呈したが、彼はこの曲を弾けないと言ったとか。リストはこの曲にかなりこだわっていたとのこと。2台ピアノ稿や協奏稿もあり。このピアノ独奏稿はほとんど演奏される機会がないが、なぜか2台ピアノ稿である「悲愴協奏曲」はたまに演奏される。ドホナーニ+バルトーク、リヒテル+ヴェデルニコフ、アルゲリッチ+フレイレなど。

BACH幻想曲とフーガ、バッハ変奏曲、夜などの真の傑作が含まれたこのアルバムは素晴らしい。ブレンデルもBACH幻想曲とフーガとバッハ変奏曲を含んだアルバムを出していますが、演奏面でもブレンデルからの影響もあるのかなと思います。

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タワレコ : レスリー・ハワード リスト ピアノ作品全集 


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April 26, 2011

GERHARD OPPITZ: LISZT

ゲルハルト・オピッツ

LISZT - PIANO WORKS

Oppitz1

1. "泣き、嘆き、憂い、おののき" バッハの動機による変奏曲 S.180 
  2つの伝説 S.175 
2. 小鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ
3. 波を渡るパオラの聖フランチェスコ
4.-9. コンソレーション S.172 (全曲)
10. バラード 第2番 S.171

BMG RD 60954
Recorded: 1991

〔メモ〕
ヴィルヘルム・ケンプに教えを受け、彼から大きな影響を受けたオピッツのリスト集です。当録音は全てベーゼンドルファーのピアノによります。ゲルハルトという名前、そしてその風貌からして「いかにもドイツ」という印象をうけますが、典型的なドイツのピアニストではありません。レパートリーが非常に広く、バッハからメシアン、ブーレーズに至ります。僕は彼のドビュッシー演奏が素晴らしかったことを覚えています。
さてこのディスクの演奏ですが、内容の充実度は目を見張るばかりです。例えば僕はブレンデルのバッハ変奏曲やケンプの伝説を最高の名演とご紹介したことがありますが、それらと比べても全く見劣りしないほど感動的です。そして若干テンポ遅めのコンソレーションも、詩的に歌っていて素敵です。詩を綴っているリストの吐息が聞こえてきそうな名演です。

このディスク現在ではあまり出回ってないと思います。このような名盤は是非再販していただきたい。今度ソニークラシカルがリストボックスを出します。そしてそれに抜粋されて入ってますが、できれば全曲いれて欲しかったなぁ。

フランツ・リスト→ハンス・フォン・ビューロー→カール・H・バルト→ヴィルヘルム・ケンプ→ゲルハルト・オピッツ 


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September 03, 2010

Legendary Performances Vol.1

アルフレート・ブレンデル

泣き、嘆き、憂い、おののき

ピアニストのヴァレリー・アファナシェフはフランツ・リストのことを“最も美しい音楽と最も醜い音楽を書いた偉大な芸術家”と評しましたが、僕は「バッハの動機による変奏曲」を聴くと、いつもこの言葉を思い出します。美しさとグロテスクさがこれほど見事に融合された曲も珍しいと思います。この世界はまさに耽美的な世界なのです。R番号でお馴染みのペーター・ラーベはこの曲をロ短調ソナタと同等の高みに位置付けていますが、この曲を弾きこなせる人は現れないであろう、というようなことも書いてます。しかしそれはラーベの完全なる誤算です。この曲は多くの名演があります。さて録音ですが、マリア・ユージナの常軌を逸した、なにかとてつもないものを聴いているかのような名演もありますが、この曲への思い入れなら、ブレンデルも負けてはいない。実際、彼自身の著書でこの曲への言及がいくつかされています。そしてこの曲の録音は2回行ってます。余談ですが、変奏曲のみのリサイタルを開いた時もこの曲が含まれてました。ブレンデルの演奏は構造を重視しているような演奏で、非常に立体的な音楽で奥行きにも無限の広がりを感じます。オーソドックスながら、どこから聴いても完璧です。技巧という観点から言っても、最も充実していた時ではないかなと思ってます。僕は彼がこの録音を残してくれたことに心から感謝したいです。


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January 08, 2006

リヒテルは語る ~ユージナのバッハ変奏曲~

リヒテルの本に載っていた、リヒテルのユージナのバッハ変奏曲の演奏についてのコメントを紹介したいと思います。

“いちばん印象的だったのは、リストが書いたバッハの主題による変奏曲だ。カンタータ第12番の≫泣き、嘆き、悲しみ、おののき≪から主題が取られている巨大な作品で、天才的な演奏だった。とどろきわたるのではなく、心に染みいるような演奏で、ピアノ曲というよりは、ミサ曲を聴いているようだった。ユージナはまるで儀式を執り行っているようにピアノを弾いた。祝福するように作品を弾くのだ。”

※リヒテルは語る 人とピアノ、芸術と夢
ユーリー・ボリソフ編著 宮澤淳一訳
音楽の友社  P228

ロシアのピアノ楽派のなかで、多くのピアニストがモスクワ楽派ですが、ユージナとソフロニツキーはペテルブルク楽派です。この二人はモスクワ楽派の同僚たちからも尊敬の念を集めていたようで、二人のカリスマ性はすごいものがあったのではないでしょうか。リヒテルが一目置いていた2人のピアニスト、一度実演を聴いてみたかったです。


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