ブゾーニ

August 19, 2012

ブゾーニは語る -リストという木-

19世紀後半の偉大なる作曲家、編曲家、ピアニストであるフェルッチオ・ブゾーニのリストに対するコメントです。

"まさにバッハはピアノ技法におけるアルファであり、リストはオメガなのである!" 

"私はリストの弱点を知っているが、彼の美点を見誤っているわけではない。根本的に我々は皆、リストから派生していると考えてよい。その点においてワーグナーも例外ではない。我々の作品の源泉をリストに見出すことができるのだ。セザール・フランク、リヒャルト・シュトラウス、ドビュッシーそしてロシア楽派などは皆すべてリストという木になった枝なのである。" 

Feruccio Busoni著
「Wesen und Einheit der Musik」 
第8章 über Franz Liszt : P184-189 より抜粋 

まず最初のアルファとオメガ発言ですが、僕は依然アルファを原点、オメガを頂点と訳しました。しかし(なんとなく言いたいことはわかりますが)ブゾーニが何を意図しているのかハッキリとはわからないので、そのままカタカナで書きました。アルファを原点、オメガを到達点と訳してもいいかもしれません。
ブゾーニはリスト賛美者だったということを考えると、この意見は若干大袈裟な表現に思われます。しかしフランク、シュトラウス、ドビュッシー、ロシア楽派への影響は明らかで、概ね間違いではないでしょう。フランツ・リストが「未来へ向けて放った槍」はちゃんと次の世代に届いていたのですね。

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April 02, 2012

バルトークは語る -リストの先進性-

バルトークはリストがハンガリー民謡について誤った認識を持っていたことは批判していましたが、基本的にはリストの偉大さを認めた良き理解者でした。彼のリストについてのコメントをご紹介しましょう。

"音楽の発展への貢献ということであれば、リストはワーグナーより重要視されるべきである" 

"ここでリストの後世への影響について述べさせていただく。リヒャルト・シュトラウス初期の比較的無味乾燥とも言える作品群は表面的にブラームスをほのめかすものがあるが、ブラームスの楽想に溢れた音楽には遠く及ばない。そしてワーグナーの音楽に触れることにより、彼の音楽は劇的な変化を迎えた。いや、それは何もかもリストの影響下での話である。シュトラウスは突然、交響詩を書き始めたのだ。そして例えば巡礼の年や詩的で宗教的な調べのような作品と、新たなフランス音楽芸術を象徴するドビュッシーとラヴェルの素晴らしい作品群に驚くべき共通点が見うけられよう。エステ荘の噴水やその他の作品なくして、この似通った大気を創造する2人のフランスの作曲家は存在しえなかったのだと私は確信している。そしてどれ程多くのハンガリーの作曲家の作品からリストから受け継いだものを感じ取れようか!"

後半は「Liszt Problémák」(リストに関する諸問題)という論文からの抜粋です。バルトークがリストの事を正しく評価できたのは二人の影響があると思います。その二人とはリスト賛美者でありバルトークの友人であったブゾーニと、ピアニストとしてリストの弟子でバルトークの師であったイシュトヴァーン・トマーンのことです。バルトークはリストに関する講演をことあるごとに開いたり、演奏会でもリスト作品を多く取り上げていました。当時誤解されがちだったリスト受容に最も大きな影響を与えた人物のひとりと言っていいでしょう。

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March 01, 2011

FERRUCCIO BUSONI spielt FRANZ LISZT

フェルッチオ・ブゾーニ

FERRUCCIO BUSONI spielt FRANZ LISZT

busoni spielt liszt

1. 《アテネの廃墟》による幻想曲 S.389 (ベートーヴェン=リスト)
2. ハンガリー行進曲 S.425/2 (シューベルト=リスト)
3. 《ルチア》と《パリジーナ》の動機による演奏会用ワルツ S.214/3 (ドニゼッティ=リスト)
4. ポロネーズ 第2番 S223/2 〔コーダ:ブゾーニ〕
5. 《リゴレット》パラフレーズ S.434 (ヴェルディ=リスト) 
6. 《ノルマ》の回想 S.394 (ベルリーニ=リスト)〔ブゾーニ編〕

Intercord INT 860.856
Performed: 1905/1907
Recorded: 1987

〔メモ〕
ピアニストのニコライ・デミジェンコが絶賛したブゾーニのヴェルテ・ミニヨンのピアノロール録音です。1905年と1907年に記録されたものを、1987年に再現して録音したものです。
ブゾーニはリストを崇拝していました。彼は1911年のリスト生誕100年の際に、オールリストプログラムによる6回の連続演奏会を開いたり、1900年と1901年にはリストに倣ってワイマールでマスタークラスを開いたりしています。
僕は正直ピアノロールの録音はあまり聴きません。それはテンポが安定しなくてヨタヨタする部分があるからです。それからタッチや音色も十分に再現できていないのではと思います(しかし例えばスクリャービンの自作自演のように素晴らしい例外もあります)。でもこのブゾーニの録音は、ところどころヨタヨタしますが割とマシな方だと思います。彼がどのような息使いで演奏したか、彼がどのように編曲をして演奏したかを知るための貴重なドキュメントと言えるでしょう。
「ブゾーニのアコースティック録音」と「ブゾーニのピアノロール録音」と「当時の証言」などを参照することによりピアニスト・ブゾーニの全体像が見えてくるといった感じでしょうか。

ちなみにRPRF(リプロダクション・ピアノロール・ファンデーション)のローログラフィーによると、ノルマの回想のみブゾーニ編曲であることが記されていましたが、ここでの収録曲全体的にブゾーニの編曲がなされています。

それから別レーベルのCDでブゾーニのヴェルテ・ミニヨンのピアノロール録音によるドン・ジョヴァンニの回想、アデライーデ、カンパネラが収録されたディスクがありますが、超入手困難で聴いたことないです。

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January 25, 2011

Busoni and his Legacy

フェルッチオ・ブゾーニ
ロザモンド・レイ
エゴン・ペトリ

Busoni and his Legacy

busoni

1.-2. 平均律クラヴィア曲集 第1巻 第1番 前奏曲とフーガ BWV846 (バッハ)"
3. 今ぞ喜べ、愛するキリスト者の仲間たち (バッハ=ブゾーニ)"
4. エコセーズ (ベートーヴェン=ブゾーニ)"
5. 前奏曲 Op.28/7 (ショパン)"
6. 練習曲 Op.10/5 (ショパン)"
7. 夜想曲 Op.15/2 (ショパン)"
8. 練習曲 Op.25/5 (ショパン)"
9. 練習曲 Op.10/5 (ショパン)"
10. ハンガリー狂詩曲 第13番 〔短縮稿〕 S.244/13"

11. エステ荘の噴水 S.163/4*
12. ダンテを読んで ソナタ風幻想曲 S.161/7*

13. 死の舞踏 (冒頭欠落あり) 〔ジロティ版〕 S.126ii #$
14. ピアノ協奏曲 Op.39 第4楽章 (ブゾーニ)#$

"フェルッチオ・ブゾーニ
*ロザモンド・レイ
#エゴン・ペトリ
$ハンス・ロスバウト指揮/フランクフルト放送交響楽団

ARBITER 134
Recorded: 1922/1942/1936/1942

〔メモ〕
ブゾーニとその弟子たちの録音集です。ブゾーニという人は簡単に説明すると、作曲家であり19世紀の終盤から20世紀の序盤にかけての最高のピアニストでした。そして史上最高のリスティアン(リスト信者)でもあります。余談ですがバルトークもリスティアンであり、ブゾーニがスペイン狂詩曲を協奏版に編曲した時に、ブゾーニ指揮とバルトークのピアノという組み合わせでその曲を初演しています。

これらブゾーニ自身による録音は普通に聴けば素晴らしい演奏なのかもしれませんが、これがブゾーニの全てだとは思いたくないのが僕の本音です。実際ショーンバーグは「ブゾーニはゴルドベルク変奏曲、ハンマー・クラヴィア、ロ短調ソナタなどの大曲を得意とするピアニストであり、これら残された録音だけで彼を判断することは、大海そのものではなく、その海水をミルク瓶につめて鑑賞するようなものだ」と言っています。それからブゾーニは録音が嫌いで、妻に宛てた手紙で何度も愚痴をこぼしています。とは言っても歴史的価値などを考慮に入れれば、やはりこれは聴く価値のある演奏だと思いますが。

レイによる録音はプライベート録音で、熱く激しい演奏です。

ペトリの死の舞踏ですが、オーケストラがピアノに全くついていけてません。しかしピアノだけに耳を傾けると、このきらめく演奏!ペトリの録音はブゾーニ以上にブゾーニ本人の演奏を想像させてくれるような気がします。

なおブゾーニはショパンの第7プレリュードで曲全体をリピートし、2倍の長さにしています。それからその次の曲、第5エチュードにかけて曲と曲を自然につなげるために即興演奏をしています。

フランツ・リスト→カール・タウジヒ→オスカー・ベリンジャー→ロザモンド・レイ 

関連記事:FERRUCCIO BUSONI spielt FRANZ LISZT
関連記事:EGON PETRI His recordings 1929 - 1942


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January 16, 2006

ブレンデルは語る ―ケンプの伝説―

「~~は語る」というのがシリーズ化していますが(笑)、今回はブレンデルのお言葉です。

“1950年のケンプのリストの最初の伝説の古い録音も、誰も真似することができないレヴェルに達している名演です。”

対話録「さすらい人」ブレンデル
マルティン・マイヤー編著
岡本和子訳
音楽之友社
P260

僕はこの演奏を好きだったので、ブレンデルがこのように語っていてうれしくなりました。ヴィルヘルム・ケンプは若い頃、ブゾーニとダルベールを「理想のピアニスト」と崇拝していたようです。おそらくこの両巨匠のリスト演奏もケンプは聴いているのではないでしょうか?そして彼の師バルトはリストの高弟ビューローの弟子です。いや、でも影響関係は抜きにしてもこの演奏はすばらしい。ケンプにはリスト録音をもう少したくさん残して欲しかった。


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January 05, 2006

ブゾーニの愚痴

ブゾーニが録音嫌いで妻に手紙で愚痴をこぼしていることを以前書きましたが、面白い愚痴を紹介します。

“10分はかかるリストのファウストワルツをどうやって4分で弾けというのだ。4分で収めるために省略や即興などをするしかなかったのだ。”

わはは!ファウスト・ワルツを4分で弾くのは無理ですよね。
このブゾーニによるファウストワルツの録音は現在行方不明だそうです。
ぜひ聴いてみたい。


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