ポリーニ

June 13, 2012

LISZT: Klaviersonate u.a. / Maurizio Pollini

マウリツィオ・ポリーニ 

LISZT: Klaviersonate u.a. 

pollini liszt

1. ピアノソナタ S.178
2. 灰色の雲 S.199
3. 凶星! S.208 
4. 悲しみのゴンドラ I S.200i
5. R.W. - ヴェネツィア S.201

Deutsche Grammophon POCG-20060
Recorded: 1989  

〔メモ〕 
イタリアの名教師カルロ・ヴィドゥッソとイタリアの名匠アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリに師事した、現代を代表するピアニストのひとりであるポリーニのリスト集です。
まずピアノソナタの演奏は、感情のほとばしりやひらめきというものは無く、自分を律した厳めしい演奏です。この多重構造のソナタの構造美を重視した解釈であり、完成したモノはそびえ立つ巨大建造物のような壮観さ、重厚ささえあります。
そしてさらに注目は無調宣言以降の作品である後期作品群でしょう。例えばルイス・ケントナーは戦前からリストの後期の作品を取り上げ、その次の世代であるブレンデルも若い時から後期作品を取り上げていました(ちなみにソフロニツキー、リヒテルも1950年代から「灰色の雲」を演奏していた)。これら後期作品の普及に彼らが果たした役割は大きいです。そしてポリーニのこの演奏、録音がこれら後期作品が市民権を得ることになった決定打だと思います。ポリーニがレクチャーコンサートでこれら無調的作品を20世紀音楽の先駆的作品と定義付けたこともこれらの作品の受容に大きな影響を及ぼしたでしょう。そのレクチャーコンサートではリスト後期作品、シェーンベルク、シュトックハウゼンなどが演奏されたそうです。演奏は上記ソナタと同じように、甘みのない厳しい表情の演奏です。

余談ですが、僕は幸運にもポリーニのリサイタルで超絶技巧練習曲の第10番を聴くことができました。凄まじい演奏で全身が痺れたような衝撃を受けました。できればこの曲も録音して欲しいです。 

フランツ・リスト→カール・タウジヒ→ベニアミーノ・チェージ→ジュゼッペ・マルトゥッチ→ジョヴァンニ・アンフォッシ→アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ→マウリツィオ・ポリーニ 


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April 23, 2012

Great Pianists of The 20th Century Vol.79

20世紀の偉大なるピアニストたち 79 

マウリツィオ・ポリーニ 2 

great pollini 2

Disc.1 
1.-4. ピアノソナタ 第2番 Op.35 (ショパン)<84>
5. 夜想曲 第4番 Op.15/1 (ショパン)<68> 
6. 夜想曲 第5番 Op.15/2 (ショパン)<68> 
7. 夜想曲 第7番 Op.27/1 (ショパン)<68> 
8. 夜想曲 第8番 Op.27/2 (ショパン)<68> 
9. ポロネーズ 第5番 Op.44 (ショパン)<75> 
10. ポロネーズ 第6番 英雄 Op.53 (ショパン)<75> 
11. ポロネーズ 第7番 幻想 Op.61 (ショパン)<75>

Disc.2
1.-12. 練習曲 Op.10 (全曲)(ショパン)<72> 
13. 子守歌 Op.57 (ショパン)<90> 
14. 舟歌 Op.60 (ショパン)<90> 
15.-17. ピアノ協奏曲 第1番 Op.11 (ショパン)<60>* 

*パウル・クレツキ指揮/フィルハーモニア管弦楽団 

音源: DG, EMI 
Philips 456 940-2 

〔メモ〕
ポリーニがショパンコンクールで優勝したことは前回お伝えしましたが、その際に審査委員長だったアルトゥール・ルービンシュタインに「我々審査員の誰よりもうまい」と激賞されています。ちなみに一部の資料によるとポリーニはルービンシュタインにも師事をしたとありますが、真偽は確認できませんでした。現代音楽の旗手のような扱いを受けるポリーニですが、実際それは誤りではありませんが、ショパンもポリーニと最も関連の深い作曲家です。 
ショパンを演奏する際も理知的なアプローチは健在であり、彫刻を磨き上げていくような演奏です。楽曲の構造美が重視され、骨組みのしっかりした演奏となっています。ダ・ヴィンチやミケランジェロを生んだ国から来たピアニストというのがなんとなく納得できます。
特筆すべきはやはり練習曲の演奏でしょうか。ここではOp.25の練習曲集は収録されてませんが、彼の練習曲の録音は不朽の名盤として現在でも最高の評価を受けています。

フランツ・リスト→カール・タウジヒ→ベニアミーノ・チェージ→ジュゼッペ・マルトゥッチ→ジョヴァンニ・アンフォッシ→アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ→マウリツィオ・ポリーニ 


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April 17, 2012

Great Pianists of The 20th Century Vol.78

20世紀の偉大なるピアニストたち 78 

マウリツィオ・ポリーニ 1 

great pollini 1

Disc.1
1.-4. ピアノソナタ 第1番 Op.11 (シューマン)<73>
5.-7. ピアノソナタ S.178 (リスト)<88>
8. スケルツォ 第1番 Op.20 (ショパン)<90>

Disc.2
1.-3. 3つのピアノ小品 D.946 (シューベルト)<85>
4. アラベスク Op.18 (シューマン)<83> 
5.-7. ピアノのための変奏曲 Op.27 (ウェーベルン)<76> 
8. 練習曲 第7番 (ドビュッシー)<92> 
9. 練習曲 第8番 (ドビュッシー)<92>
10. 練習曲 第9番 (ドビュッシー)<92>
11. 練習曲 第10番 (ドビュッシー)<92>
12. 練習曲 第11番 (ドビュッシー)<92>
13. 練習曲 第12番 (ドビュッシー)<92>
14.-16. ペトルーシュカ (ピアノのための3つの楽章)(ストラヴィンスキー)<71> 

音源:DG 
Philips 456 937-2 

〔メモ〕
カルロ・ロナーティ、カルロ・ヴィドゥッソ、アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリに師事したポリーニです。まず幼少期はロナーティに学び、その後ヴィドゥッソの下で学びます。そして1960年にショパンコンクールで優勝し脚光を浴びますが、約7年自身の研鑽のため第一線から退きます。その間ミケランジェリの弟子となりピアニストとしての自分を磨くだけでなく、多くの学問を学び人間的な研鑽もしていたとのことです。
フランツ・リストのコンサートピアニスト現役時代、ベートーヴェンのハンマークラヴィーアソナタはピカピカのゲンダイオンガクであり、当時の聴衆にとっては難解な音楽で理解が容易ではありませんでした。そしてその当時その謎を演奏活動によって解き明かしていったのがチェルニーの弟子であるフランツ・リスト本人でした。一方ポリーニは難解とされているシェーンベルク、シュトックハウゼン、ブーレーズなどの近・現代音楽の謎を解き明かしてきた貢献者と言えるのではないでしょうか。
「アルゲリッチはデュオニュソス的、ポリーニはアポロ的」とよく言われますが、まさにポリーニは理知的な演奏をするピアニストです。知性により解き明かされた近・現代音楽も素晴らしいですが、ここに収録されたシューマン、リスト、シューベルトなどのロマン派音楽もピカピカに磨かれ、楽曲が生まれ変わったような新鮮さを感じさせます。

フランツ・リスト→カール・タウジヒ→ベニアミーノ・チェージ→ジュゼッペ・マルトゥッチ→ジョヴァンニ・アンフォッシ→アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ→マウリツィオ・ポリーニ 


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January 21, 2006

グリーグは語る -リストの初見演奏能力ー

グリーグは1868年にヴァイオリンソナタを持って、リストを初めて訪問します。その時にリストの初見演奏能力に感動したグリーグの書いた手紙を紹介します。誰に宛てた手紙かはわかりません。

“いいかい、まず最初に知っておいて欲しい。彼はこのソナタを見たことも、聴いたこともない。そして次に、これはピアノパートから独立して、上に下にとヴァイオリンパートがまたがっているのだ。そこでリストはどうしたと思うかね?彼は全体を演奏したよ。ヴァイオリンとピアノ、いやいや、それ以上に音楽を広大に鳴らしていた。彼は文字通り鍵盤全体を駆け巡ったのだ。ミスタッチをすることなしにね。なんという演奏だったであろうか!壮大さ、美しさ、非凡さ、唯一無二の解釈。私はね、笑ってしまったよ ――― 子供のようにね”

過去にこちらのブログで書いた、「ホフマンが持っていた聴いた音楽をすぐに再生できるプレイバック能力」「サン=サーンスに匹敵する初見演奏能力」「ポリーニのような超記憶力」、これらを全て兼ね備えていたリストはやはり只者ではない。


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January 12, 2006

ポリーニの超記憶力

ブレンデルが語るところによれば、ピアニストの中で、楽譜を見ながら一度通して弾くだけで、その曲を暗譜してしまう人種がいるそうです。そしてブレンデルは自分はそうではないと告白しています。
なんとポリーニにはそのような能力があるそうです。ブーレーズのソナタ2番を3回の演奏で暗譜したとのことです。ということはショパンやベートーヴェンなどは一度で覚えたということでしょう。そんなに弾けたら楽しいだろうなぁ。

このような話を読むと、ホントに同じ人間なんだろうか、と思ってしまいます。やはり世界の第一線で活躍する人はそれぐらいずば抜けてないとだめなんでしょうかね。

リストにもそれに似たような能力はあったようですが。


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