ルイス
July 09, 2013
Liszt ● Sonata en si mineur ● Paul Lewis
ポール・ルイス
Liszt ● Sonata en si mineur
1.-3. ピアノソナタ S.178
4. 暗い雲 - 灰色の雲 S.199
5. R.W.- ヴェネツィア S.201
6. 凶星! S.208
7.-10. 4つのピアノ小品 S.192/1-4
11. 夢の中で S.207
12. 眠れぬ夜! 問いと答え S.203i
13. 悲しみのゴンドラⅡ S.200/2
harmonia mundi HMC 901845
Recorded: 2003
〔メモ〕
音楽学校時代にはリシャルト・バクストやジョーン・ヘイヴィルに学び、その後アルフレート・ブレンデルから定期的に指導を受けたポール・ルイスです。彼が紹介されるとき、おそらくほとんどの場合「ブレンデルの弟子」と紹介されますが、そのように紹介したくなるのもわかる気がします。ルイスはブレンデルと同じくベートーヴェン、シューベルト、リストを得意とし、特にベートーヴェンとシューベルトの演奏で世界的に高い評価を得ています。そしてブレンデルのように洞察力に優れ、全体に目が行き届いているような演奏をします。これは決してブレンデルの亜流だと言いたいわけではなく、もちろん彼独自の個性もそこにはちゃんとあります。
ロ短調ソナタは全体を見据えたバランスのとれた演奏であり、これを録音した当時は若手と言ってもよい年齢でしたが、客観的で精神的に落ち着いた演奏です。後期作品も彼の冷静さがうまく作用し、冷たく硬質でクリスタルのような美しさがあります。
個人的に一番嬉しいのは「4つのピアノ小品 S.192/1-4」を収録してくれたことです。僕はブレンデルに録音して欲しかったリスト作品がいくつかあります。それは例えば「巡礼の年 第3年(全曲)」「詩的で宗教的な調べ (全曲)」「2つのエレジー」「ハンガリーの歴史的肖像」などです。ブレンデルは巡礼第3年や詩的~は抜粋でしか録音していません。そしてこのS.192の4つの小品もブレンデルは第3番のみ録音をしていますが、これもまさに全曲で録音してもらいたかった作品です(正直第5番はどっちでもいいです)。しかしブレンデルがこの曲集を録音しなかったことを悲しむ必要はなくなりました。この曲集はコンソレーションの瞑想性をより高めたような作品ですが、もっと知られて欲しい曲集です。ここでのルイスの演奏は爽やかで清々しいと同時に深い叙情性もあり本当に素晴らしいです。
ちなみに「悲しみのゴンドラⅡ」は耳慣れない音が出てきます。例えば第47小節の通常ラ♭から下降してくるところはレからの下降に、第64小節の通常ソから下降してくるところはレ♭からの下降になっています。
フランツ・リスト→アレクサンドル・ジロティ→コンスタンティン・イグムノフ→リシャルト・バクスト→ポール・ルイス
フランツ・リスト→ハンス・フォン・ビューロー→カール・H・バルト→ゲンリヒ・ネイガウス→リシャルト・バクスト→ポール・ルイス
フランツ・リスト→アールパード・センディ→イロナ・カボシュ→ジョーン・ヘイヴィル→ポール・ルイス
フランツ・リスト→イシュトヴァーン・トマーン→アルノルド・セーケイ→ルイス・ケントナー→ジョーン・ヘイヴィル→ポール・ルイス
フランツ・リスト→ベルンハルト・シュターヴェンハーゲン→ルトヴィカ・フォン・カーン→アルフレート・ブレンデル→ポール・ルイス
フランツ・リスト→マルティン・クラウゼ→エトヴィン・フィッシャー→アルフレート・ブレンデル→ポール・ルイス
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