ワーグナー
January 14, 2006
サン=サーンスの初見演奏能力
サン=サーンスのピアノ初見演奏能力はリストのそれと並んで、相当なものだったそうです。ハンス・フォン・ビューローが語るところによれば、ある日ワーグナーとビューローは会話をしていて、その同じ部屋にサン=サーンスもいました。サン=サーンスはドイツ人の会話についていけず、退屈をし始め、そこにあった未完成のジークフリートのスコア(総譜)をピアノに置き演奏し始めました。ワーグナーとビューローは絶句してしまいます。ビューローは後に
“私だってね、スコアから演奏することはできるさ。だけどねぇ私を含めあらゆる人間は彼のような卓越した初見演奏はできないだろう。彼は我々の時代における最も偉大な音楽的精神なのだ。”
と語っています。ビューローは当時最高のピアニストの一人だったのでそのビューローの言葉は間違いないでしょう。スコアを即座にピアノ用に再構築して演奏するなんて、すごすぎです。
ちなみにリヒテルもオーケストラスコアでピアノを練習していた時期があるそうです。