ヴィラ
January 31, 2012
Liszt Recital : Joseph Villa
LISZT RECITAL
1. 献呈 S.566 (シューマン=リスト)
2. 嵐 S.160/5
3. 夕べの調べ S.139/11
4. コンソレーション 第3番 S.172/3
5. バラード 第2番 S.171
6. 孤独の中の神の祝福 S.173/3
Second Hearing GS 9001
Recorded: 1984
〔メモ〕
ソロピアニストとして活躍する前はヴァイオリニスト、ジョセフ・フックスの伴奏者をしていたヴィラです。ジュリアードの名教授ゴロドニツキやクラウディオ・アラウに師事したピアニストです。1972年のアリス・タリー・ホールでのデビューリサイタルはオールリストプログラムで行っています。
個人的にはジョセフ・ヴィラの良さは超絶技巧と柔軟性があることだと思っていますが、このディスクではその良さがあまり発揮されてないように思います。「嵐」の絨毯爆撃のような技巧は圧巻ですが、全体的に猪突猛進型で容赦のない演奏。例えば献呈やバラード2番は別のCDのライブ録音もありますが、それと比べるとこのスタジオ録音は考え無しに勢い任せにガンガン突っ込んで行くような印象です。夕べの調べ、コンソレーション、孤独の~は秀演だと思います。
フランツ・リスト→マルティン・クラウゼ→クラウディオ・アラウ→ジョセフ・ヴィラ
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January 02, 2012
ハフとヴィラ -十字架の道行-
ピアニストのスティーヴン・ハフが同じくピアニストの親友ジョセフ・ヴィラとの思い出を語っていました。ジョセフ・ヴィラはエイズの合併症で亡くなりますが、その時のことを語っています。要約でご紹介しましょう。
“ある日、私達は彼のアパートメントでリストの「十字架の道行」の連弾稿を譜読みしていました。彼は譜面の音を正確に押さえることすらできませんでした。彼は熟練した偉大な画家のように色彩豊かな演奏をし、リストの様式の広大なキャンヴァスをどのように扱うかを心得ていました。病院に彼を訪ねた時、彼の力が徐々に弱っていくのが目に見えていました。死期が近づき、「極端な肉体的衰弱」という重荷を背負うことは彼にとっての「十字架の道行」のようなものでした。なんたる皮肉でしょう”
十字架の道行はキリストの受難を描いた作品で、ヴィラの最期をそれに例えています。卓越したリスト弾きとも言える二人のピアニストが私的に「十字架の道行」を連弾で演奏していたというのは印象深いものがあります。
外部リンク: StephenHough.com | Joseph Villa
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July 19, 2011
LISZT VISITS VIENNA / Joseph Villa
ジョセフ・ヴィラ
LISZT VISITS VIENNA
1. アデライーデ S.466 (ベートーヴェン=リスト)
2. 《アテネの廃墟》による幻想曲 S.389 (ベートーヴェン=リスト)
3. ウィーンの夜会 第7番 S.427/7 (シューベルト=リスト)
4. 大行進曲 S.426/2 (シューベルト=リスト)
Dante PSG9012
Recorded: 1979?
〔メモ〕
ゴロドニツキやアラウの弟子ジョセフ・ヴィラによるベートーヴェンとシューベルトの編曲集です。ヴィラはシフラにシェーズ・デュー音楽祭へ招聘されたり、ルービンシュタイン、アラウ、ラ・ローチャ、プレヴィンに称賛されたこともあります。このディスクは個人的には最もお気に入りのディスクの中の一枚です。
アメリカのピアニストに不幸な事故がいくつか起こりました。例えば飛行機事故にあったウィリアム・カペルや、手を故障したレオン・フライシャーという例があります。ヴィラの病死(エイズ)もその不幸のひとつでしょう。これらはアメリカピアノ界にとっての大きな損失です。
以前紹介したディスクに収録されているベートーヴェンのソナタや交響曲は非常に素晴らしかった。ここでも特に素晴らしいのはベートーヴェン編曲だと思います。アデライーデと「アテネの廃墟」幻想曲という対比が非常に印象的で、前者の悲しみに満ちた美しさのあとに後者の鮮烈なヴィルトゥオジティがその悲しみを吹き消すかのように演奏されています。「アテネの廃墟」幻想曲の独奏版は録音が少ないので、ヴィラが録音してくれたのは非常に嬉しいです。
フランツ・リスト→マルティン・クラウゼ→クラウディオ・アラウ→ジョセフ・ヴィラ
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February 17, 2011
荒々しき狩 ~超絶技巧練習曲 第8番
ベルマン、オフチニコフ、アラウがそれぞれ秀演ですが、
個人的に一番よく聴くのは2つのライブ録音です。
「猛獣注意」のリヒテル(モスクワライブ)
「落雷注意」のヴィラ
この二つは何かを超越したようなトランセンデンタルなものを感じる。
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December 28, 2010
HOMMAGE À JOSEPH VILLA
ジョセフ・ヴィラ
HOMMAGE À JOSEPH VILLA
Disc.1
1.-4. ピアノソナタ 第13番 Op.27/1 (ベートーヴェン)
5.-7. ピアノソナタ 第14番 月光 Op.27/2 (ベートーヴェン)
8.-11. 交響曲 第5番 運命 S.464/5 (ベートーヴェン=リスト)
12. コンソレーション 第3番 S.172/3
13. 練習曲 Op.42/5 (スクリャービン)
Disc.2
1. 献呈 S.566 (シューマン=リスト)
2.-14. 交響的練習曲 Op.13 (シューマン)
15. バラード 第2番 S.171
16. 忘れられたワルツ 第2番 S.215/2
17. 愛の賛歌 S.173/10
超絶技巧練習曲 S.139 より
18. 第11番 夕べの調べ
19. 第8番 荒々しき狩り
Dante HPC 172/173
Recorded: 1989/1987
〔メモ〕
ジュリアードの名教授サッシャ・ゴロドニツキに師事したジョセフ・ヴィラのライブ録音2枚組です。彼はアラウに師事したこともありますが、確かにその演奏に潜む詩情は師匠ゆずりだと思います。技巧性がそのまま魅力へとつながり、技巧性がそのまま詩情へとつながっています。彼はリスト弾きとして知られていたようです。愛の賛歌はその美音が際立っていて、音楽が空間に溶け込んでいくかのように感じます。そして打って変って荒々しき狩りでは稲妻のような激しい表現を発揮しています。最も素晴らしいと思ったのは運命交響曲で、ダイナミズムを駆使し、それでいて微妙なニュアンスを失っていません。僕の日本語表現力なんかでは表現できない神懸かった演奏です。これは何度聴いても鳥肌が立つ。
それからベートーヴェンやシューマンも同様に素晴らしいです。
彼が長い闘病生活の末に夭逝してしまったことは残念です。
フランツ・リスト→マルティン・クラウゼ→クラウディオ・アラウ→ジョセフ・ヴィラ
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January 15, 2006
4人のリスト弾き
僕がひいきにしているリスト弾き4人は
●エゴン・ペトリ
ショーンバーグ曰く「今世紀最高のリスト弾き」です(「今世紀」というのはもちろん20世紀のこと)。ブゾーニ系ピアニストは素晴らしい人がたくさんいますが、そのブゾーニ系ピアニストの最高峰ではないでしょうか。音質は悪いですが、彼のリスト録音を初めて聴いた時は、その鮮烈な演奏に衝撃を受けました。
●グリゴリー・ギンズブルグ
ロシアにおける人気や知名度でリヒテル、ギレリスやソフロニツキー、ユージナなどの影に隠れてしまいますが、ギンズブルグは彼らに実力的には勝っても劣らないと信じています。オーソドックスで瑞々しく、いつまでも聴いていたいと思わせる演奏です。
●セルジオ・フィオレンティーノ
同じイタリアのミケランジェリはこの世には自分一人しかピアニストがいないと思っていたそうですが、レコードプロデューサーのE.ルンペ氏によるとそのミケランジェリはフィオレンティーノのことを「もう一人のピアニスト」と認めていたそうです。リストの楽曲は様々な曲種があり、それら全てに対応するのは至難の業です。しかしフィオレンティーノはそれができる。ソナタやバラードなどの大曲には真正面から取り組み最高の成果を挙げ、練習曲などでは鬼のようなエグい技巧をみせ(決して表面的ではない)、ハンガリー狂詩曲ではラプソディックに歌える。そして、コンソレーションや後期作品などで思索的な演奏ができる、という具合です。
●ジョセフ・ヴィラ
ヴィラの場合は技巧ばかりが注目されますが、それだけではないです。例えば愛の賛歌やアデライーデにおける詩的な歌と美しい音色。アラウに匹敵する包容力まで持ち合わせてます。もちろん超絶的な技巧も彼の一つの武器です。運命交響曲はあらゆる意味で素晴らしい。ちなみに彼のベートーヴェンのソナタも最高です。グレゴール・ベンコ氏による「彼がもし生きていたら現在の最も偉大なピアニストだった」という言葉に共感します。
これはリスト演奏に限定した、お気に入りのピアニストです。他の作曲家だと、また好きなピアニストは変ってきます。4人の共通点を考えたのですが、しいて言えば音楽をわかりやすく聴衆に理解させようとしている点ではないでしょうか。
みなさんはどんなリスト弾きをひいきにしていますか?
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