中村紘子

January 11, 2006

中村紘子は語る ―リヒテル―

今度はリヒテルについて

“リヒテルの演奏は、すべての若いピアニストが考え得る限り最高の手本とすべき、ユニークにしてまっとうな正当さ、とでもいったもので確固と築き上げられている。そのふところの深さには宇宙的ともいうべきものがあり、ときにはシニカルなまで作品を客体化してしまう洞察力をみせる。彼の集中力は、実に驚異的なもので、ほとんど念力とか超能力とでもいう分野に近い。”

チャイコフスキーコンクール (中公文庫)
中村紘子著

58p

リヒテルの演奏を聴いて、僕が言葉で言いたくても言えなかったことを、ズバリ見事に表現していて、彼女の洞察力と作家としての能力の高さに感心します。さすがプロ。


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January 10, 2006

中村紘子は語る ―ホロヴィッツ―

中村紘子著の「チャイコフスキーコンクール」という本を読みましたが、非常に興味深い記述があるので、引用します。ピアニストの理想の典型がホロヴィッツとリヒテルに代表される、と言った後に

“審査員たちが、思わず冗談半分にぼやく言葉がある。「こんなに厳しい審査では、仮にホロヴィッツが受けたとしても、とうてい受かりっこないだろうね。」
          ~中略~
ところがそうぼやく彼らが、ではピアニストの中でいったい誰を一番尊敬しているかといえば、異口同音に、「ホロヴィッツ」という答えが返ってくるのだ。”

チャイコフスキーコンクール (中公文庫)
中村紘子著
56p

ここから読み取れるのは「ホロヴィッツが絶対的な存在であること」と「コンクールというモノのジレンマ」だと思います。審査員が尊敬するホロヴィッツですら通過できない程、厳しくメカニックをチェックするなら、「第二のホロヴィッツ」はコンクールから誕生しないことになります。しかしコンクール出身の大ピアニストが少なくないという事も事実です。アルゲリッチ、ポリーニ、ツィマーマンやプレトニョフが代表でしょう。そしてさらに興味深いのは、今挙げたピアニストに続く世代の代表格がキーシン、アンスネスというコンクールを経験せずに名を挙げた人が多くいることです。一見現在のコンクールの権威が揺らいできているようにも見えます。
ユンディ・リがショパンコンクールで名をあげて、ラン・ランがコンサート活動で名をあげたという事実も対照的で面白いですね。


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