生誕100年記念の寄稿
October 22, 2011
シェーンベルク 「フランツ・リスト その活動と本質」
本日10月22日はフランツ・リストの誕生日であり、200年前の今日フランツ・リストは誕生しました。今日ご紹介する文章は100年前の1911年に作曲家アルノルト・シェーンベルクがリスト生誕100年を記念して寄稿したものの抜粋です。
“偉大なる人物たちの重要性が例外なくそうであるように、リストの重要性もまた「信心」というものの中に見出すことができるのだ。いわばそれは熱狂的な類の信心であるが、そのような信心に心を支配された人間は常人とは大きく異なる。確信を持つのが常人ならば、信心に取り憑かれているのが偉人なのである。”
“リストにとってのこの熱狂的とも言える信心は他の偉大なるものたち同様に特徴的である。常に本能的なものに触れようとし、自我の根源の中に身を置き、彼は信心という能力を有していたのだ。己を信じ、己より偉大なるものを信じた。そして進化、文化、美、道徳、人間性を信じ、なによりも彼は神を信じていたのだ!このような信心は己を通じて導き出される精神性の高みへと他の者をも高めようとする、その人間の強烈な本能に起因するに他ならない。そのような人種はもはや芸術家ではない。むしろより偉大なる者 ―そう預言者なのだ!”
アルノルト・シェーンベルク
引用元:
Arnold Schönberg
Gesammelte Schriften 1: Stil und Gedanke / Aufsätze zur Musik
Franz Liszts Werk und Wesen : P169-173より抜粋
シェーンベルクはリストの「ファウスト交響曲」を高く評価していたようですが、それ以外のリスト作品をどのように評価していたかは僕は知りません。例えばピアニストのマウリツィオ・ポリーニはリストの後期作品をシェーンベルクなどの20世紀音楽へ繋がる作品群と定義しましたが、当のシェーンベルクはリストの後期作品をどう思っていたのか気になります。預言者と言うからにはやはりリストの先進性を評価していたのでしょうか?
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