詩的で宗教的な調べ

May 24, 2013

詩的で宗教的な調べ -幻の1845年稿-

曲集「詩的で宗教的な調べ」の初期の構想について、おおまかな解説はハワードとブルセーのCDの記事で書いたのですが、もう一度整理したいと思います。

● 「詩的で宗教的な調べ」(1834年)と「眠りから覚めた御子への祈り」(1840年?)
ラマルティーヌが「絶望に曝された限られた一部の人々へ」書いた詩集「詩的で宗教的な調べ」に自分を投影し、そのタイトルを拝借してリストが単独曲「詩的で宗教的な調べ S154」を書いたのは1834年です。この曲が同名の曲集の全ての始まりとなります。この曲を書いた数週間後にリストはマリー・ダグーへの手紙で「6曲の詩的で宗教的な調べを書く」ことを言及しています。それからしばらくの間が空き、「眠りから覚めた御子への祈り S.171c」という曲を曲集「詩的で宗教的な調べ」のために作ります。作られたのはおそらく1840年です。この曲は最終稿「眠りから覚めた御子への讃歌」となる曲です。 

● 1845年稿
1846年マリー・ダグーへの手紙でリストは「詩的で宗教的な調べは3分の2は完成した」と言及しています。この時点ですでにリストの中では「6曲の曲集」という考えは変わっていて、さらに大規模にするつもりだったそうです。ワイマールに所蔵されている「スケッチブックN5」に書かれているピアノ曲群の多くがそこへ含むつもりで書いた作品群だと思われます。同スケッチブック内にチェックリストがあり、これが曲集として構想していたものではないかと専門家は推測しています。そのチェックリストの内容は:

2. 変ホ長調
3. ハ短調
4. プロイセン皇太子のエレジー 
5. 巡礼者の行進
6. M.K.
7. ショパン 
8. 変ニ長調 
9. 子への祈り
10. 変ト長調
11. 第2ソネット (嬰ヘ長調)

まず〔1〕がありませんが、これはおそらく1834年の単独曲「詩的で宗教的な調べ S.154」になるのでしょう。
〔2〕はスケッチブックN5収録の「孤独の中の神の祝福」の初稿で、ブルセーは「前奏曲」と呼び、ハワードはS.171d/1と番号をつけたものです。
〔3〕はスケッチブックN5収録の「倦怠」のことです。
〔4〕についてですが、「プロイセン皇太子ルイ・フェルディナントの動機によるエレジー S.168」は初稿が1844年に作曲されています。おそらくこの曲でしょうか。
〔5〕ベルリオーズの「イタリアのハロルド」の「巡礼者の行進」のリストによるトランスクリプションは1830年代後半に書かれたとみられる。ハワードはおそらくこの曲のことだと思っているようです。
〔6〕スケッチブックN5の収録曲です。M.K.はマリア・カレルギスのこと。 
〔7〕何の曲を指しているのか全く不明。ショパンというタイトルの曲を作ろうとしたか?ショパン作品の編曲か?
〔8〕スケッチブックN5収録の「最後の幻影」のこと。
〔9〕おそらく1840年(?)の「眠りから覚めた御子への祈り S.171c」のこと。
〔10〕スケッチブックN5の収録曲。ハワードがS.171d/5と番号をつけたもの。
〔11〕おそらく「ペトラルカのソネット第104番」のこと。

このチェックリストはリストが曲集「詩的で宗教的な調べ」としてまとめようとしたものである可能性はありますが、個人的に言うとなんかまとまりのない曲集のように感じられます(笑)。これがフランツ・リストが1845年稿として考えていた形なら面白いですね。

● マリアの連梼の初稿(1846年) 
1846年に「マリアの連梼」の初稿が書かれています。この曲が「1845年稿に含めるために書いた」のか「1847年稿への発端」となったのかはわかりません。

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May 12, 2013

Harmonies poetiques et religieuses (early versions)

アルベルト・ブルセー 

Harmonies poetiques et religieuses (early versions) 

brussee harmonies 1834

  詩的で宗教的な調べ 〔初期稿〕
1. 詩的で宗教的な調べ S.154 
2. 眠りから覚めた御子への讃歌 〔第1稿〕 S.171c
3. 前奏曲 S.171d/1 
4. 倦怠 S.171d/2
5. 皇太子L.F.の音楽に S.171d/3 
6. 最後の幻影 S.171d/4-5 
7. 心せよ S.171d/6 
8. M.K. S.171d/8 
9. マリアの連梼 〔第1稿〕 S.171e 

AB I-04 
Recorded: 2000

〔メモ〕
曲集「詩的で宗教的な調べ」といえば、最終稿のS.173とその前身である1847年稿の172aが知られているが、ここでのブルセーはそれより以前の「詩的で宗教的な調べ」の初期の構想を、自身の見識に基づいて再現したもの。トラック〔4〕から〔8〕まで世界初録音と思われる。 〔1〕「詩的で宗教的な調べ」というタイトルで言及された初めての作品で、「死者の追憶」の初稿。1834年作曲。ラマルティーヌの詩集「詩的で宗教的な調べ」に触発されて作ったもので、ラマルティーヌへ献呈している。 〔2〕「眠りから覚めた御子への讃歌 S.173/6」の初稿。最も初期の構想では「6曲の詩的で宗教的な調べを作る」とリスト本人はマリー・ダグーへの手紙の中で言及している。その6曲とはどの曲を指しているかはわからないが、トラック〔1〕のS.154と当トラックS.171cは含まれていると思われる。ゲーテ=シラー・アルヒーフに所蔵されている自筆譜に「フォンテーヌブロー - 10月8日」と書いてある。この時点でリストが付けたタイトルは「眠りから覚めた御子への祈り」(ちなみにハワードはこちらを採用している)。 〔3〕「孤独の中の神の祝福 S.173/3」の初稿。上で述べたように最初期の構想でリストは「6曲」を作る予定だったが、その数年後のマリー・ダグーへの手紙では「200ページほどの曲集となる」と本人は言及している。この「200ページほどの曲集」に含めようと書いた作品群が当ディスクのトラック〔3〕から〔8〕であり、これらはワイマールのゲーテ=シラー・アルヒーフにて「スケッチブックN5」と呼ばれる自筆譜に収録されている。 〔4〕ブルセーによると、テオドール・ケルナーの詩「プロイセン皇太子ルイ・フェルディナントの音楽に」に触発されて書かれた作品。1845年に着手。 〔5〕同じくケルナーの詩に触発されたもの。リストの作品「ルイ・フェルディナントの動機によるエレジー S.168」とは別の曲だが、ブルセーは「漂う雰囲気は似ている」と指摘している。 〔6〕後に「バラード 第1番 S.170」などに旋律が転用される作品。「écrit pour Marie(マリーのために書いた)」と書かれているが、これはもちろんマリー・ダグーのこと。ハワードはこの「最後の幻影」の次に書かれている譜面を別の曲としたが、ブルセーはその譜面も「最後の幻影」の続きと判断し1つの曲として演奏している。 〔7〕タイトル「Attente」は聖書の中のパウロの手紙などによく出てくる単語で、「心を構えよ」という意味。終結部が欠落しているためブルセーが補筆した。 〔8〕「M.K.」とはリストやショパンの友人であったマリア・カレルギスのこと。譜面は不完全な形だったのでブルセーが編集して演奏できる状態にした。 〔9〕上記トラック〔3〕~〔8〕は同じ曲集へ含めようと意図されて書かれたものである可能性が高いが、この1846年に書かれた「マリアの連梼」の初稿はリストがそこへ含めようと思ったかどうかはわからない。しかし1847年の11曲の曲集「詩的で宗教的な調べ S.172a」には「マリアの連梼」の改訂稿が収録されているため、この初稿もその前身となる曲集へ含める意図があったかもしれない。自筆譜はワイマールのゲーテ=シラー・アルヒーフに所蔵(ただしスケッチブックN5にではない)。

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April 17, 2013

リストのややこしい事1 -アヴェ・マリア編-

フランツ・リストの作品(またその人生も)はややこしい事が多いです。リストのややこしい事をまとめて、少しでもわかりやすいようにしてみようと思います。

まず第1弾はアヴェ・マリアです。アヴェ・マリアと言えばシューベルトの歌曲やバッハの曲をグノーが編曲した歌曲が有名ですが、リストもいくつかアヴェ・マリアという曲を書いています。ここではピアノ独奏曲をまとめてみたいと思います。

● S.173/2 詩的で宗教的な調べ 第2番 アヴェ・マリア 
リストの代表的な曲集の一つと言える「詩的で宗教的な調べ」ですが、その第2曲がアヴェ・マリアというタイトルです。もともとは合唱曲ですが、それをピアノ独奏編曲したものです。チッコリーニの名演が心に響きます。
区別できるように呼称するなら「詩的で宗教的な調べのアヴェ・マリア」か「変ロ長調のアヴェ・マリア」でしょうか。

● S.182 アヴェ・マリア - ローマの鐘 
オリジナルのピアノ独奏曲。レーベルトとシュタルクによるピアノ教本「大ピアノ教程」のために作曲されたものです。あまり演奏される機会はありませんが、リヒテルやハフの録音があります。
区別するための呼称は「ローマの鐘」(これは副題です)か「ホ長調のアヴェ・マリア」ではないでしょうか。

● S.183/2 アルカデルトのアヴェ・マリア 
アルカデルトの曲を編曲したもの・・・と思いきや、この原曲は別人がアルカデルトの作風を模倣してでっち上げたもの。それをリストがピアノ独奏編曲したもの。
区別するための呼称は「アルカデルトのアヴェ・マリア」か「ヘ長調のアヴェ・マリア」とかでしょうか。

● S.504 アヴェ・マリア (Ⅱ) 
フランツ・リストによるモテット「アヴェ・マリアⅡ S.38」をピアノ独奏曲へ編曲したもの。第1稿と第2稿のふたつのバージョンがあり、第1稿はニ長調、第2稿は変ニ長調です。
区別するための呼称は「アヴェ・マリアⅡ」ですかね(Ⅱは「に」でも「ツー」でも「ツヴァイ」でもご自由に)。

● S.545 アヴェ・マリア (Ⅳ) 
フランツ・リストによる歌曲「アヴェ・マリアⅣ S.341」のピアノ独奏編曲です。ルディやハフの録音があります。
呼称は「アヴェ・マリアⅣ」か「ト長調のアヴェ・マリア」でしょうか(同じくⅣは「よん」でも「フォー」でも「フィア」でもご自由に)。

● S.558/12 アヴェ・マリア (シューベルト=リスト) 
ご存じのようにシューベルトの有名な歌曲「アヴェ・マリア (エレンの歌 第3番) D.839」をリストがピアノ独奏編曲したもの。編曲は第1稿(S.557d)と第2稿(S.558/12)のふたつのバージョンがあります。ベルマンによる感動的な名演があります。
呼称はそのまま「シューベルトのアヴェ・マリア」でいいでしょう。

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February 07, 2013

Liszt - Harmonies poétiques et religieuses - Andrea Bonatta

アンドレア・ボナッタ 

Liszt - Harmonies poétiques et religieuses 

bonatta harmonies

Disc.1
  詩的で宗教的な調べ S.173
1. 第1番 祈り
2. 第2番 アヴェ・マリア
3. 第3番 孤独の中の神の祝福
4. 第4番 死者の追憶
5. 第5番 主の祈り

Disc.2
  詩的で宗教的な調べ S.173 
1. 第6番 眠りから覚めた御子への讃歌
2. 第7番 葬送曲
3. 第8番 パレストリーナによるミゼレーレ
4. 第9番 アンダンテ・ラクリモーソ
5. 第10番 愛の讃歌 
6.-10. コンソレーション S.172 (全曲) 

ASTRÉE E8711/E8712
Recorded: 1985 

〔メモ〕
フランツ・リスト本人も演奏したというシュタイングレーバーによる1873年製フォルテピアノで、詩的で宗教的な調べを全曲録音したボナッタです。彼はバドゥラ=スコダ、マガロフ、アスケナーゼ、ヴィルヘルム・ケンプなどに師事しました。彼の出身地はイタリアのボルツァーノで、その地で開催されているブゾーニ・コンクールの役員や審査員などを務めたこともあります。現在は教育に力を入れているようです。
演奏は無駄な力みがなく純朴な演奏です。シュタイングレーバーのフォルテピアノも現代のグランドピアノと比べると線の細い素朴な音色です。そして(専門的なことはよくわかりませんが)残響として増幅される音の周波数が現代ピアノと違い特殊な音響効果を出しているように聴こえます。 

「リストは大勢に聴かせるようにピアノを演奏する」というショパンの有名な言葉がありますが、この曲集をこの演奏で聴くとリストの独白に思えて仕方がありません。

フランツ・リスト→マルティン・クラウゼ→エトヴィン・フィッシャー→パウル・バドゥラ=スコダ→アンドレア・ボナッタ
フランツ・リスト→アレクサンドル・ジロティ→ニキタ・マガロフ→アンドレア・ボナッタ
フランツ・リスト→エミール・フォン・ザウアー→ステファン・アスケナーゼ→アンドレア・ボナッタ
フランツ・リスト→ハンス・フォン・ビューロー→カール・H・バルト→ヴィルヘルム・ケンプ→アンドレア・ボナッタ 


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July 11, 2012

Harmonies poetiques et religieuses (1847 version)

アルベルト・ブルセー

Harmonies poetiques et religieuses (1847 version) 

harmonies poetiques 1847

  詩的で宗教的な調べ 〔1847年稿〕 S.172a
1. 第1番 (祈り)
2. 第2番 夜の讃歌
3. 第3番 朝の讃歌
4. 第4番 マリアの連梼
5. 第5番 (パレストリーナによるミゼレーレ)
6. 第7番 眠りから覚めた御子への讃歌
7. 第8番 (死者の追憶)
8. 第9番 寺院の灯火
9. 第10番 (さらなる讃歌)
10. 第11番 (後奏曲) 

XYZ CDXYZ1101 
Recorded: 1998 

〔メモ〕 
詩的で宗教的な調べの1847年稿を編纂、出版したアルベルト・ブルセー教授本人による同曲の録音です。 〔1〕本来無題だけど、このタイトルで呼ばれることが多い。「祈り」の初稿。 〔2〕ラマルティーヌの同名の詩に触発された作品。ソナタ形式。曲集「詩的で宗教的な調べ」の最終稿に含まれなかったのはもったいない。 〔3〕同じくラマルティーヌの詩に触発されて。こちらも最終稿に含まれなかったのはもったいない良作。 〔4〕聖母マリアを讃える連梼を題材とした作品。 〔5〕「パレストリーナによるミゼレーレ」の初稿。本来無題。便宜上この上記タイトルで呼ばれる。ちなみにハワードは単に「ミゼレーレ」としている。 〔6〕「眠りから覚めた御子への讃歌」の第2稿。しかし最終稿の第3稿と大幅な違いはない。 〔7〕「死者の追憶」の前身。ハワードのカタログではタイトルを「死者の言葉 - 深き淵より」としている。また別のカタログでは「死者たち」というタイトルで呼ばれることもある。グレゴリオ聖歌「深き淵より」が引用されている。 〔8〕「アンダンテ・ラクリモーソ」の初稿。 〔9〕本来無題。ハワードは単に「讃歌」としている。この曲は後の曲集に含まれないが、一部「パレストリーナによるミゼレーレ」の最終稿に素材が転用されている。 〔10〕後に「孤独の中の神の祝福」となる作品。上記タイトルはブルセーが付けたもの。

全曲収録かと思いきや、CDの収録時間の関係で第6番「主の祈り」は収録できなかったそうです。 

演奏はオーソドックスで良い。ベーゼンドルファーインペリアルの音色も良い。録音も良い。

ちなみにこのCDは日本では流通していません。僕はブルセー教授ご本人に連絡を取ってみたら、CDを売ってくれました。ダメもとでなんでもやってみるもんです(笑)。

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May 09, 2012

Liszt ● Piano Music / Bavouzet

ジャン=エフラム・バヴゼ 

Liszt ● Piano Music 

bavouzet

1. 祈り 〔第1稿〕 S.172a/1
2. 夜の讃歌 S.172a/2
3. ゆりかごの歌 S.198
4. 眠れぬ夜! 問いと答え S203i 
5. 演奏会用大独奏曲 S.176
6. 調性のないバガテル S.216a
7. 夜 S.516a 
8. 葬送前奏曲と葬送行進曲 S.206 
9. 朝の讃歌 S.172a/3
10 《トリスタンとイゾルデ》の前奏曲 (ワーグナー=コチシュ)
11. イゾルデの愛の死 S.447 (ワーグナー=リスト)
12. 夢の中で - 夜想曲 S.207 

MDG 604 1350-2 
Recorded: 2005  

〔メモ〕 
ピエール・サンカン、パウル・バドゥラ=スコダ、ニキタ・マガロフに師事したバヴゼの意欲的なプログラムのディスクのご紹介です。なぜこのようなプログラムになったのか非常に気になります。それほど異常なプログラムです。1997年に初めて出版された詩的で宗教的な調べの1847年稿より、「祈り」「夜の讃歌」「朝の讃歌」の3曲が収録されています。これらは別世界へ連れて行かれるような神秘性のある曲で、フランツ・リストの底の深さを思い知らされます。 
演奏は潤いのある音色で細部まで丁寧に仕上げを施された演奏です。選曲もそうですが、その音色により全体の幻想性や神秘性が強調されています。ジャケットのゴッホの絵はそれを暗示した素晴らしいチョイスです。「夜の闇」「月や星の光」がリストとバヴゼの心象風景を投影しているようです。美しい曲が揃っていますが、その闇の深さは尋常ではありません。僕はこのディスクをお薦めするのにためらいはありません。

ちなみにこのディスクはいつもお世話になっている「LISZT STYLE」さんで紹介されてて知ったものです。

フランツ・リスト→マルティン・クラウゼ→エトヴィン・フィッシャー→パウル・バドゥラ=スコダ→ジャン=エフラム・バヴゼ 
フランツ・リスト→アレクサンドル・ジロティ→ニキタ・マガロフ→ジャン=エフラム・バヴゼ 


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May 14, 2011

曲集「詩的で宗教的な調べ」の変遷

ハワード先生が「詩的で宗教的な調べ」のわかりやすい表を作ってくれていたのでそれを掲載します。

初期作品18471851
1. 喚起 (祈り)"1. 祈り"
2. 夜の賛歌"
3. 朝の賛歌"
1846/7 マリアの連梼*4. マリアの連梼*
5. ミゼレーレ*8. パレストリーナによるミゼレーレ#
6. 主の祈り (教会プサルモディアによる)*5. 主の祈り"
1840 眠りから覚めた御子への祈り*7. 眠りから覚めた御子への賛歌*6. 眠りから覚めた御子への賛歌"
1834 詩的で宗教的な調べ"8. 死者の言葉 - 深き淵より*4. 死者の追憶"
9. 寺院の灯火 - アンダンテ・ラクリモーソ*9. アンダンテ・ラクリモーソ#
10. 賛歌*
1845 前奏曲*11. 祝福*3. 孤独の中の神の祝福"
2. アヴェ・マリア"
7. 葬送曲#
10. 愛の賛歌#

*レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.15に収録
"レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.13に収録
#レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.14に収録

真ん中の列が曲集「詩的で宗教的な調べ」の1847年版(S.172a)で、それを基準にして左の列がそれ以前の初期作品で右の列が曲集「詩的で宗教的な調べ」の最終稿である1851年版(S.173)です。

HTMLというものを初めていじったので緊張しました(笑)。


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May 13, 2011

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.15

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
マリアの連梼 

Disc.15
  詩的で宗教的な調べ 〔校訂:ハワード〕 S.172a
1. 第4番 マリアの連梼 〔第2稿〕
2. 第5番 ミゼレーレ
3. 第6番 主の祈り (教会プサルモディアによる)
4. 第7番 眠りから覚めた御子への賛歌
5. 第8番 死者の言葉 - 深き淵より
6. 第9番 寺院の灯火 - アンダンテ・ラクリモーソ
7. 第10番 賛歌
8. 第11番 祝福
9. 眠りから覚めた御子への祈り 〔校訂:ハワード〕 S.171c
  詩的で宗教的な前奏と調べ 〔校訂:ハワード〕 S.171d
10. 第1番 前奏曲
11. マリアの連梼 〔第1稿〕〔校訂:ハワード〕 S171e

Hyperion CDA67187
Recorded: 1996

〔メモ〕
〔1〕~〔8〕曲集「詩的で宗教的な調べ」(Disc.13, Disc.14)の前身。第1曲から第3曲はDisc.13に収録。 〔1〕主題のリズムは天使祝詞「サンクタ・マリア、オラ・プロ・ノビス」のリズムであろうとのこと。「祈り」との共通動機も見られる。この曲の原題は「Litanies de Marie」だが、ハワードはこの曲が曲集の最終稿から省かれたことに対し、リストが若い時期に「マリー(・ダグー)への愛」と「聖母マリアへの畏敬の念」を自分の中で区別できなくなっていたことが関連しているかもしれないという考察をしている(この曲集の最終稿は後の恋人カロリーネへ献呈されている)。 〔2〕「パレストリーナによるミゼレーレ」の初稿。 〔3〕「主の祈り」の前身。1846年に作曲した男声合唱曲のトランスクリプション。 〔4〕初稿である〔9〕の改訂稿。そしてさらに改訂され、曲集の最終稿に含まれる。この「御子」とはイエス・キリストのこと。 〔5〕単独曲「詩的で宗教的な調べS.154」(Disc.13)の改訂稿。グレゴリオ聖歌「深き淵より」が織り交ざっている。 〔6〕「アンダンテ・ラクリモーソ」の前身。「アンダンテ~」では序文としてラマルティーヌの詩「涙、または慰め」が掲げられているが、この曲では「寺院の灯火、または神へ示す魂」が掲げられている。 〔7〕後の曲集には含まれず。 〔8〕「孤独の中の神の祝福」の前身。トラック〔10〕をもとにした作品。 〔9〕上記〔4〕とは違い、この曲の時点では「子」というのはリストの子ダニエルを示している。我が子への子守歌。 〔10〕「孤独の中の神の祝福」の原型。「詩的で宗教的な前奏と調べ S.171d」という曲集の第1曲。ハワードの目録では曲集のタイトルを「詩的で宗教的な前奏と調べ」としてるが、研究家によっては単に「詩的で宗教的な調べ」とすることもある。この曲集の全曲はDisc.90に収録。ちなみにこの曲集と最終稿「詩的で宗教的な調べ」(曲集)に共通する曲はこの一曲のみ。 〔11〕上記〔1〕の初稿。終結部が未完成だったが、ここでは第2稿を使用し補筆。

関連記事:曲集「詩的で宗教的な調べ」の変遷

Disc.14
Disc.16




HMV : レスリー・ハワード リスト ピアノ作品全集
タワレコ : レスリー・ハワード リスト ピアノ作品全集 


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May 06, 2011

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.14

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
詩的で宗教的な調べ 2

Disc.14
  詩的で宗教的な調べ S.173
1. 第7番 葬送曲
2. 第8番 パレストリーナによるミゼレーレ
3. 第9番 アンダンテ・ラクリモーソ
4. 第10番 愛の讃歌
5. アレルヤ S.183/1
6. アルカデルトのアヴェ・マリア S.183/2
7. 主の家へ向かわん S.505
8. おお、高貴なるローマ S.506b
9. スラヴィモ・スラヴノ・スラヴェニ! S.503
10. アヴェ・マリア (II) 〔第1稿〕 S.504i
11. アヴェ・マリア (II) 〔第2稿〕 S.504ii
12. 教皇賛歌 S.530 
13. われらの主イエス・キリストの変容の祝日に S.188
14. 聖ドロテア S.187
15. アヴェ・マリア (IV) S.545
  《ハンガリー戴冠式ミサ》よりベネディクトゥスとオッフェルトリウム S.501
16. ベネディクトゥス
17. オッフェルトリウム
18. スターバト・マーテル S.172b
19. ウルビ・エト・オルビ - 教皇の祝福 S.184
20. 王の御旗は翻り S.185

Recorded: 1989

〔メモ〕
Disc.13の続き。 〔1〕単独で取り上げられることも多い。S.172aの時点では曲集に含まれず。サブタイトルは「1849年10月」。このサブタイトルはショパンの没年と重なり、ショパンの英雄ポロネーズと類似する部分があるため「ショパンを悼んで書かれた」と勘違いされがちだが、実際はハンガリーの革命の失敗で処刑された人々への追悼曲。リストの知人も処刑された人々のなかに多く含まれていた。 〔2〕リストがパレストリーナの作品としてシスティーナ礼拝堂で聴いた「ミゼレーレ」をアルペジオやトレモロで装飾したもの。しかし実際この曲はパレストリーナとは関係が無いとのこと。 〔3〕ラマルティーヌの詩集「詩的で宗教的な調べ」の「涙、または慰め」にインスパイアされて。 〔4〕S.172aの時点では曲集に含まれず。この最終曲で第1曲の調性と暖かな雰囲気へ回帰する。 〔5〕コラールに基づいた作品で、同素材を「聖フランチェスコの太陽賛歌」(Disc.25)へも使用している。 〔6〕トラック〔5〕と同時に出版された。実際にはアルカデルトによる「アヴェ・マリア」という曲は存在しない。ルイ・ディエッチュという人物がアルカデルトの作品「男たちは愛を徳をなすと見ゆ」の素材をアレンジして「アルカデルトの曲を新発見」とでっち上げた曲。 〔7〕〔8〕もとは合唱曲。 〔9〕もとは合唱曲。タイトルはスラヴ語の語呂合わせ。「栄光のスラヴ人を褒め称えよ」の意。 〔10〕同名のモテットからの単純なトランスクリプション。 〔11〕トラック〔10〕の変奏付き拡大稿。 〔12〕教皇ピウスIX世を讃えて。後にオラトリオ「キリスト」にて転用される。ちなみにそのオラトリオの関連作品はDisc.23に収録。 〔13〕〔14〕リストのオリジナルピアノ作品。 〔15〕声楽曲より。 〔16〕〔17〕オルガン、ヴァイオリンとピアノ、ピアノ連弾などのさまざまな稿が存在する。 〔18〕当作品の作曲年は不明だが、リストによるロッシーニのスターバト・マーテル編曲の後であるとのこと。 〔19〕1978年まで出版されず。司祭と人々が交互に歌っているような演出がなされている。 〔20〕1978年まで出版されず。ウェナンティウス・フォルトゥナトゥスの聖歌より。変奏曲形式。後に「十字架の道行」の序曲で同主題が使用されるが、その曲と比較するとこちらは精気に溢れている。「十字架の道行」と「コラール集」の同テーマの曲「王の御旗」はDisc.18に収録。 

関連記事:曲集「詩的で宗教的な調べ」の変遷

Disc.13
Disc.15




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タワレコ : レスリー・ハワード リスト ピアノ作品全集 


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April 29, 2011

レスリー・ハワード: リスト ピアノ作品全集 Disc.13

Leslie Howard
The Complete Liszt Piano Music
詩的で宗教的な調べ 1

Disc.13
1. アヴェ・マリア - ローマの鐘 S.182
2. アヴェ・マリス・ステラ S.506
  詩的で宗教的な調べ 〔校訂:ハワード〕S.172a
3. 第1番 喚起 (祈り)
4. 第3番 朝の讃歌
5. 第2番 夜の讃歌
6. 詩的で宗教的な調べ S.154
  詩的で宗教的な調べ S.173
7. 第1番 祈り
8. 第2番 アヴェ・マリア
9. 第3番 孤独の中の神の祝福
10. 第4番 死者の追憶
11. 第5番 主の祈り
12. 第6番 眠りから覚めた御子への賛歌

Hyperion CDA66421/2
Recorded: 1989

〔メモ〕
〔1〕サブタイトル「ローマの鐘」はリスト本人によるものでない可能性がある。レーベルトとシュタルクの教本「大ピアノ教程」のために作った作品。 〔2〕もともとは合唱曲。このピアノ独奏稿のほかに声楽稿、オルガン稿がある。このピアノ稿は合唱稿より色彩豊か。別稿とも言える「2つの教会讃歌 第2曲」はDisc.25に収録。 〔3〕~〔5〕曲集「詩的で宗教的な調べ」の前身。1981年に新リスト全集にて初めて世に出る。全11曲だが当ディスクには3曲のみ収録。続きはDisc.15へ。 〔3〕「祈り」の第1稿。 〔4〕〔5〕両曲は後の曲集には含まれず。 〔6〕リストの「詩的で宗教的な調べ」といえば曲集を思い浮かべる方が多いと思うが、これは単独曲。「死者の追憶」の初稿。ラマルティーヌへ献呈。若きリストの天性が爆発したような特異性をもち、前半は調記号も拍子記号も無くテンポ設定も自由。動機の変容により成り立っている。1834年の作品だが、後期作品を予見している。 〔7〕~〔12〕リストの重要な曲集。ラマルティーヌの同名の詩集にインスパイアされて。カロリーネ・ザイン=ヴィトゲンシュタイン侯爵夫人へ献呈。全10曲だが、当ディスクには最初の6曲のみ収録。続きはDisc.14へ。 〔7〕上記初稿〔3〕より若々しさがある。 〔8〕もとは合唱曲。S.172aの時点では曲集に含まれず。 〔9〕単独で取り上げられることも多い傑作。付加6度和音がメシアンの宗教関連曲を予見している。 〔10〕上記〔6〕とグレゴリオ聖歌「深き淵より」の素材を使用した作品の最終稿。 〔11〕もとは合唱曲。原語をカタカナでそのまま「パーテル・ノステル」とすることもある。 〔12〕もとは合唱曲。

個人的に一番好きな曲は第2番「アヴェ・マリア」ですが、第4番「死者の追憶」はリストの最高傑作のひとつだと思っています。リヒテル(ライブ録音2種)やブレンデル(スタジオ録音2種)の名演があります。

関連記事:曲集「詩的で宗教的な調べ」の変遷

Disc.12
Disc.14




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ミッチ at 18:55|PermalinkComments(0)TrackBack(3)