ogdon
September 05, 2013
JOHN OGDON: Legendary British Virtuoso
JOHN OGDON: Legendary British Virtuoso
● ハンガリー幻想曲 S.123<1962>*
● スペイン狂詩曲 〔ブゾーニ編・協奏稿〕<1962>*
● ため息 S.144/3<1967>
● 愛の夢 第1番 S.541/1<1967>
● 愛の夢 第3番 S.541/3<1967>
● ピアノソナタ S.178<1964>
● 2つの演奏会用練習曲 S.145<1967>
● 葬送前奏曲と葬送行進曲 S.206<1965>
● 夢の中で - 夜想曲 S.207<1965>
● 《ドン・ジョヴァンニ》の回想 S.418 (モーツァルト=リスト)<1965>
● 《シモン・ボッカネグラ》の回想 S.438 (ヴェルディ=リスト)<1965>
● ダンテを読んで - ソナタ風幻想曲 S.161/7<1961>
● メフィストワルツ 第1番 "村の居酒屋での踊り" S.514<1961>
● メフィストワルツ 第3番 S.216<1965>
● 死のチャールダーシュ S.224<1965>
● ポロネーズ 第2番 S.223<1967>
● ハンガリー狂詩曲 第15番 (ラーコーツィ行進曲) S.244/15<1967>
● パガニーニによる大練習曲 第2番 S.141/2<1967>
● ラ・カンパネラ 〔ブゾーニ編〕<1961>
● 葬送曲 S.173/7<1967>
● 忘れられたワルツ 第1番 S.215/1<1967>
*ジョン・プリッチャード指揮/フィルハーモニア管弦楽団
EMI 50999 7 04637 2 9
〔メモ〕
本名ジョン・アンドリュー・ハワード・オグドンのEMI録音を集めた17枚組のCDボックスです。上記収録曲はリスト作品のみの抜粋となります。オグドンがチャイコフスキーコンクールでアシュケナージと1位を分け合ったのが1962年なので、ここでの録音集はその前後の録音ということになります。
イソ・エリンソン(ブルーメンフェルトの弟子)、ゴードン・グリーン(ペトリの弟子)、デニス・マシューズ(マセイ直系)、エゴン・ペトリ(ブゾーニの弟子)、イロナ・カボシュ(リスト直系)などの錚々たるピアニストたちに師事しています。オグドンは師のひとりであるペトリに「私がこれまで教えた生徒の中で最も非凡な生徒」と称賛されました。後年彼は統合失調症を患い壮絶な人生を送りました。
オグドンの演奏は不安定というか極端な面があります。極端にテンポを早くして演奏したり、その時々で解釈が極端に緻密だったり、逆に極端に大雑把なときもあります。ヘンテコな解釈で演奏することもあります。しかしここでのEMI録音は概ね真っ当な解釈でヘンテコな部分はありません。全体的に気力の充実した、スケールの大きな演奏です。珍しい曲もいくつかあり、この時期にオグドンがこれだけの録音を残してくれたことに感謝したいと思います。
過去のブログ記事で「ため息、ポロネーズ2番などはCD化されていません。CD化してほしい」と書いたのですが、このボックスセットでため息、ポロネーズ第2番、メフィストワルツ第3番は初CD化となりました。めでたい!
フランツ・リスト→アールパード・センディ→イロナ・カボシュ→ジョン・オグドン
関連記事: ogdon
関連記事: John Ogdon plays A Liszt Recital
記事一覧(サイトマップ)
March 11, 2012
Great Pianists of The 20th Century Vol.73
ジョン・オグドン 2
Disc.1
1. 前奏曲 Op.3/2 (ラフマニノフ)<72>
2. 前奏曲 Op.23/5 (ラフマニノフ)<62>
3. 前奏曲 Op.32/5 (ラフマニノフ)<62>
4. 前奏曲 Op.32/12 (ラフマニノフ)<62>
5.-12. 練習曲集 《音の絵》 Op.33 (全曲)(ラフマニノフ)<74>
13.-21. 練習曲集 《音の絵》 Op.39 (全曲)(ラフマニノフ)<74>
22. イスラメイ (バラキレフ)<62>
Disc.2
1. メフィストワルツ 第1番 S.514 (リスト)<61>
2. 《ドン・ジョヴァンニ》の回想 S.418 (モーツァルト=リスト)<?>
3. 愛の夢 第3番 S.541/3 (リスト)<68>
4. ラ・カンパネラ (パガニーニ=リスト)〔ブゾーニ編〕<63>
5. 葬送曲 S173/7 (リスト)<67>
6. 《ボッカネグラ》の回想 S.438 (ヴェルディ=リスト)<65>
7. ダンテを読んで -ソナタ風幻想曲- S.161/7 (リスト)<85>
音源: EMI, BMG, Altarus Records
Philips 456 916-2
〔メモ〕
ブゾーニの高弟エゴン・ペトリやハンガリー・リスト楽派の重要人物であるイロナ・カボシュに師事したオグドンです。彼は精神分裂症を患い精神病院に収容されたこともありますが、その闘病生活は本人にとってだけでなく、妻のブレンダ・ルーカスにとっても壮絶なものだったことでしょう(ちなみにブレンダ・ルーカスもピアニストであり、オグドンと共演することもありました)。
彼はロンドンのリストコンクールにて優勝した経歴もあります。そして「リストの後期ピアノ音楽」(1970年)というエッセイも残しています。リストもオグドンと深い所縁のある作曲家のひとりと言ってもいいでしょう。結論から言うと、僕はオグドンの演奏が好きです。でもオグドンは必ずしも評価の高い演奏家ではないし、僕もみなさんにおすすめしようとは思いません。万人向けの演奏ではないことは理解しています。しかし闇の中を駆けずり回るような彼の演奏に時折り垣間見える壮絶さはオグドンならではの演奏です。
ちなみにオグドンはリストのピアノ独奏稿「死の舞踏」も時々コンサートで演奏していたそうですが、録音はおそらく残ってないと思われます。聴いてみたかったです。
フランツ・リスト→アールパード・センディ→イロナ・カボシュ→ジョン・オグドン
記事一覧(サイトマップ)
March 04, 2012
Great Pianists of The 20th Century Vol.72
ジョン・オグドン 1
Disc.1
1.-3. ピアノソナタ 第2番 Op.36 (ラフマニノフ)<68>
4.-5. ピアノソナタ 第4番 Op.30 (スクリャービン)<71>
6.-8. ピアノ独奏のための協奏曲 (短調による12の練習曲 Op.39 より)(アルカン)<69>
Disc.2
1. ショパンのハ短調前奏曲による変奏曲 (ブゾーニ)<60/61>
2.-6. ピアノ協奏曲 Op.39 (ブゾーニ)<67>*
*ダニエル・レヴィナーフ指揮/ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団
音源: BMG, EMI
Philips 456 913-2
〔メモ〕
イソ・エリンソン(ブルーメンフェルドの弟子)、エゴン・ペトリ(ブゾーニの弟子)、イロナ・カボシュ(リスト直系)などに師事したオグドンです。オグドンは1962年のチャイコフスキーコンクールでアシュケナージと1位を分け合います。その後の二人のキャリアが対照的なのも興味深い事実です。
例えばバッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパン、シューマン、リスト、ドビュッシーなどの作曲家をピアノ音楽史における正史とするなら、いろいろな理由でその歴史に埋もれてしまった作曲家たちがいます。その代表的な例を挙げると、アルカン、ヘンゼルト、A.ルビンシテイン、ブゾーニ、ゴドフスキ、ソラブジなどで、彼らは言わば「裏ピアノ音楽史」に属していると言ってもいいのではないでしょうか。オグドンは埋もれた作品群を発掘しようと努めたひとりです。
オグドンはブゾーニ信者であり、師ペトリの影響もあってアルカン、ブゾーニの音楽に精通していました。アルカンやブゾーニの作品が普及しない理由のひとつとして「難曲故に演奏者が少ない」という問題がありますが、オグドンは超絶技巧を誇り初見でほとんどの曲を演奏できたそうです。ここでの演奏は音楽をマクロに読み取り、広大なスケールの演奏を繰り広げています。
フランツ・リスト→アールパード・センディ→イロナ・カボシュ→ジョン・オグドン
記事一覧(サイトマップ)
September 06, 2011
ogdon
ジョン・オグドン
Liszt Piano Concertos Nos.1&2, etc.
1.-3. ピアノ協奏曲 第1番 S.124*
4.-7. ピアノ協奏曲 第2番 S.125"
8. メフィストワルツ 第1番 S.514
9. パガニーニの《鐘》による華麗なる大幻想曲 S.420
10. 大練習曲 第11番 S.137/11
*コンスタンティン・シルヴェストリ指揮/ボーンマス交響楽団
"サー・コリン・デイヴィス指揮/BBC交響楽団
BBC BBCL 4089-2
Recorded: 1967/1971/1969/1970
〔メモ〕
このディスクは大分前に特売ワゴンの片隅で売れ残っていて、それを救出したものです(笑)。そんなわけであまり期待はしていなかったのですが、いやいやこれは素晴らしい。2つの協奏曲やメフィストワルツはオグドン大暴れなやんちゃな演奏です。
このディスクのもう一つの注目すべき点は「カンパネラ幻想曲」と「大練習曲11番(夕べの調べの前身)」のような珍しい作品が含まれていることです。オグドンは正統的レパートリーももちろん重要視していましたが、不当に軽視されがちな作品を救出することにも熱心だったと解説に書いてあります。 1960年代イギリスにおいてもリストは軽視されがちであったけれど、主にオグドン、ケントナー、ブレンデルの活躍でリスト作品の地位が向上していったとのことです。オグドンはエゴン・ペトリの弟子でブゾーニ直系のピアニストです。オグドンの「リスト好き」はペトリ、ブゾーニ両名の影響もあるでしょう。
フランツ・リスト→アールパード・センディ→イロナ・カボシュ→ジョン・オグドン
関連記事:John Ogdon plays A Liszt Recital
記事一覧(サイトマップ)
January 12, 2011
John Ogdon plays A Liszt Recital
ジョン・オグドン
A Liszt Recital
1. ダンテを読んで ソナタ風幻想曲 S.161/7
2. 愛の夢 第1番 S.541/1
3. 葬送前奏曲 S.206/1
4. 葬送行進曲 S.206/2
5. ボッカネグラの回想 S.438 (ヴェルディ=リスト)
二つの演奏会用練習曲 S.145
6. 森のざわめき
7. 小人の踊り
パガニーニ大練習曲 S.141 より
8. 第2番 (オクターヴ)
9. 第3番 ラ・カンパネラ 〔ブゾーニ編〕
10. 葬送曲 S.173/7
11. メフィストワルツ 第1番 S.514 〔改編あり〕
TESTAMENT SBT 1133
Recorded: 1961-1968
〔メモ〕
これは先入観かもしれませんが、オグドンは精神を病んでいたらしく、それゆえに演奏から狂気がにじみ出ているように感じます。選曲をみてもオグドンがリストの暗黒面に着目していたことは間違いないと思います。オグドンの演奏に関してよく「繊細さ」ということが言われますが、僕は「繊細さ」というよりも「神経過敏」だと思っています。そして誇大妄想的とも言えるアイデアの巨大さで有無を言わさず圧倒します。オーソドックスな演奏を好む方には、おそらく刺激が強すぎるのではないでしょうか。完全に我が道を行くタイプの演奏です。
小人の踊りにおけるアンリーズナブルなスピード、深く暗部まで沈みこんでいく葬送前奏行進曲などは聴いている人間に対して焦燥感を与える、という意味では最もスリリングな演奏だと思います。個人的にボッカネグラが好きなのですが、この曲は彼の録音を一番よく聴きます。
ちなみにメフィストワルツではブゾーニ編曲版から一ヶ所パッセージが引用されています。
これらはEMIに残されたリスト録音の復刻なのですが、EMIへの彼の他のリスト録音、例えばポロネーズ第2番やため息などが復刻されていません。気長に待ちましょう。
フランツ・リスト→アールパード・センディ→イロナ・カボシュ→ジョン・オグドン
関連記事:ogdon
記事一覧(サイトマップ)